シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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国際社会の契約法入門 | 2024 | 後期 | 金5 | 総合政策学部 | 松尾 剛行 | マツオ タカユキ | 1年次配当 | 2 |
科目ナンバー
PS-IR3-0001
履修条件・関連科目等
特になし。なお、法の原理・裁判法・憲法と人権など法律関係の授業を取っておくと、相乗効果があるかもしれません。
「英語力そのもの」は要求しませんが、英語ができた方が便利だとは思います。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
弁護士・ニューヨーク州弁護士として国際法務に15年以上携わり、現在も様々な案件に携わっている講師が、その経験を生かし、「商社の営業部門において外国企業と商談をする」「紛争解決のため国際仲裁で自社の立場を主張する」等、できる限り受講生の皆様が卒業後に直面する可能性のあるシチュエーションを模擬体験できるような、社会人になった後で役に立つ授業としたいと考えています。
なお、講師はインターカレッジ・ネゴシエーション・コンペティション(https://www.negocom.jp/)の審判を継続して務めているので、この内容も取り込みます。
科目目的
国内外において、さまざまな観点から問題の発見・解決、社会現象の解明を行うことができる人材を育成するという当学部の大きな目標の中、この科目は基礎科目群・基幹科目群で身につけた「問題への学際的アプローチ」を基礎にして、さらに具体的な研究テーマについて応用的な学びへと誘う科目である応用科目の1つに位置付けられます。国際社会における重要なインタラクション(やり取り・交流)の一類型である国際取引(国際取引の準備段階の交渉及び国際取引が紛争化した場合の紛争解決を含む)を法律・契約という観点から研究し、また演習の中で具体的事例に触れるすることで、法律・契約という「新しい視点」から、国際取引等における問題の発見・解決・解明に関する能力を習得することを目的とします。
到達目標
国際社会における契約のグローバル・スタンダードたるアメリカ契約法及び最近注目される中国契約法を参照し、国際契約実務を理解する上での基礎力の養成を目的とし、到達目標とします。
より具体的には、
・就職先の企業において営業担当者として国際的な取引の交渉をすることができる
・法務部門に配属された場合に、国際契約の審査をする上で必要な視点を理解している
等が想定されます。
授業計画と内容
第1回 オリエンテーションー国際取引の世界へようこそ
第2回 国際契約のサンプルー守秘義務契約(NDA)を例にとって
第3回 法学入門&契約入門&国際私法入門
第4回 英米法系契約法(米国法を中心に)、大陸法系契約法(中国法を中心に)の基礎と法統一への動き
第5回 契約の「成立」(申込、承諾、約因等)
第6回 契約の主要条項ー国際売買契約を念頭に
第7回 事例演習その1
第8回 準拠法・裁判管轄と紛争解決
第9回 復習
第10回 国際売買契約のポイント
第11回 国際代理店契約・販売店契約のポイント
第12回 国際合弁契約・M&Aのポイント
第13回 事例演習その2前半
第14回 事例演習その2後半
授業時間外の学修の内容
授業終了後の課題提出/その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業終了後の小レポート提出をお願いしています(詳細は「成績評価の方法・基準 」の項目を参照)。
これに加えて、
・具体的事例に即した演習を2回行っており、演習回の前の回では、小レポートの代わりの「プロジェクト」におけるコメントをお願いしています。
・大レポートという授業総まとめレポートの提出をお願いしています(詳細は大レポートの項目を参照)。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 70 | 1 形式的要件の充足 2 レポートとしての体裁の適切性 3 テーマの適切性 4 関連資料の収集・引用の適切性 5 論旨の説得性 6 1〜5を通じての、授業目標への到達度 |
平常点 | 30 | ・小レポート ・(小レポートに替わる)プロジェクトでのコメント |
成績評価の方法・基準(備考)
授業毎の小レポートと期末レポートによる評価を行います。
毎回100字以上の小レポート(及び演習に向けたプロジェクトコメント欄での議論)をお願いします。小レポートは全部で評価の「30%」を構成します。)形式的要求を満たすことで、「30点満点」となります。
第13回目の授業日の前日(従来は授業日「当日」であったものの、授業の参加人数が減るという現象があったので、本年度は「前日」とします。)を提出期限としてmamaba上でワードA4版3頁以上4頁以下(2020年までは「2頁」でしたが、2頁目の1行目で終わらせた学生(実質1頁)がいたので、実質的には2020年までと同じですが、最低でも「3頁目の1行目まで書く」ことを要求することとします。別途ページ数にカウントしない「表紙」をつけることは可能です。)のレポート(小レポートと区別するため「大レポート」といいます。)をご提出下さい。大レポートは評価の「70%」を構成します。
大レポートのテーマにつきましては、基本的には、「授業と関係するテーマを自ら任意に選ぶ」というものですが、原則として個別指導のやり取りにより、自分が考えている大レポートのテーマ、参考資料、構成等について講師とやり取りをし、テーマの授業との関連性や内容の深掘りの方法について講師の助言を得た上で大レポートを作成するようにしてください。
12回の授業の前日までに「レポートドラフト提出用」コーナーにドラフトを提出し、添削を受けることを求めます。ドラフト添削なしでいきなり大レポートを提出された場合には、このrequirementを満たしていないという前提で評価しますので、この点に十分ご留意下さい。
【レポート締め切り直前にパソコンが壊れたり、保存していたレポートのファイルが開けなくなったりという現象が生じることはよく見られますが、早め早めに準備をし、バックアップを取る等、自衛してください。】
なお、授業における発言等の授業への貢献に対しては、上記の評価結果(素点)を踏まえた上で加点要素として考慮します。加点要素があると考える学生は第14回小レポートの末尾になぜ加点要素があると考えるかを具体的に説明してご申告ください。申告が正当と考えられる場合には、相応に加点します。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
小レポートに対しては、個別指導でフィードバックを行います(なお、プロジェクトについては、プロジェクトの機能を利用してコメントバックを行います)。
大レポートについては、レポート指導を通じてフィードバックを行います。
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート/その他
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業内で2回「演習」を行います。2023年は、
・国際売買契約を想定しての模擬契約交渉
・国際売買契約を想定しての模擬仲裁
を行いました。
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
対面授業です。そこで、特に理由がなければ対面授業に参加してください。但し、例えば当日濃厚接触者になった等という場合に突然ハイブリッドの依頼が来ても対応できませんので、オンラインの回線は常にオープンにし、申告なしで入っても良いということとするつもりです。このように、オンラインはあくまでも緊急避難用ですので、特に理由がなければ対面でご参加ください。
特に演習回では対面参加をお願いします。
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
講師は2007年に弁護士登録(第一東京弁護士会)して桃尾・松尾・難波法律事務所にて業務を開始し、現在に至る(なお、現在は同事務所パートナー(中国チーム担当)でニューヨーク州弁護士)。米国、中国及びドイツでの留学経験を生かし、国際売買契約、国際代理店・販売店契約、国際フランチャイズ契約、国際M&A契約等の様々な類型の国際契約のドラフト、レビューや、契約の解釈が争われる国際訴訟・国際仲裁等、国際法務案件に多数従事。
なお、講師は、2020-2022年度INC 大学対抗交渉コンペティション( Intercollegiate Negotiation Competition )審査員(仲裁・交渉双方)を務めており、【2023年度 大学対抗交渉コンペティション参加者の受講を歓迎します】。
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
・実務経験を踏まえた「演習」を実施する
・授業内で「その授業内容と関係する実務経験」を守秘義務に反しない限りで共有する
・授業内で契約書サンプル等を教材として利用する
テキスト・参考文献等
テキストなし:ワードのレジュメを当日配布します。必要に応じてパワーポイントを使うことがあります。
参考文献:必要に応じて、
松尾剛行『キャリアデザインのための企業法務入門』(有斐閣、2022年)【講師単著】
松尾剛行『キャリアプランニングのための企業法務弁護士入門』(有斐閣、2023年)【講師単著】
松尾剛行『法学部生のためのキャリアエデュケーション』(有斐閣、2024年)【講師単著】
田中信行『入門中国法(第2版)』(弘文堂、2019年)【講師共著書】
平野晋『体系アメリカ契約法:英文契約の理論と法務』(中央大学出版部、2009年)
平野晋『国際契約の"起案学"―法律英語の地球標準』(木鐸社、2011年)
住友商事株式会社法務部=三井物産株式会社法務部=三菱商事株式会社法務部『新・国際売買契約ハンドブック』(有斐閣、2018年)
森下哲朗ほか『ケースで学ぶ国際企業法務のエッセンス』(有斐閣、2017年)。
を参照して下さい。
その他、これまで法律に触れる機会が少なかった学生は、
稲正樹他『法学入門』北樹出版、2019年)【講師共著書】
横田明美『カフェパウゼで法学を~対話で見つける〈学び方〉』(弘文堂、2018年)
森田果『法学を学ぶのはなぜ?』(有斐閣、2020年)
のうち、自分に合っているものを1冊を読んでおくと良いと思います。
その他特記事項
伝統ある本授業の「Think like a lawyer」の精神を引き継ぐ、法的思考力を養う授業としたいと思います。
本シラバスの【】は太字の代わりです。
参考URL
講師のこれまでの著作等につき
https://researchmap.jp/tm1984/
を参照のこと。