シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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農業経済論 | 2024 | 後期複数 | 月3,木1 | 経済学部 | 江川 章 | エガワ アキラ | 3年次配当 | 4 |
科目ナンバー
EC-ID3-35XX
履修条件・関連科目等
食料・農業・農村問題、環境・資源問題に関心があり、その現状と対応策を考察・分析したい者を対象とします。そのためには既に学修している「基礎ミクロ経済学 」(EC102)や「日本経済史」([EH105)を土台として、「経済政策論」(EP201)、「産業構造論」(IE201)、「地域システム」(IE235)をあらかじめ履修していることが望ましいでしょう。また、本科目と並行して「空間経済学」(IE301)「流通システム」(IE338)、「産業組織論」(IE331)、「中小企業論」(IE336)を履修することを推奨
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
<学位授与方針と当該授業科目の関連>
<概要>
農業は一般に農学部で技術を中心に学ぶことが主流です。それを一言でいうならば「何を作るか」を研究するものです。それに対し、本科目の農業経済は「誰が作るか」を追求します。そのためには、農業の担い手問題や経営問題、生産環境への配慮から農村問題や環境・資源問題、さらに海外の生産者との関係から貿易問題を学ぶ必要があります。他方、作った後に「誰が食べるか」を考え、価格や流通、安全性の問題について分析することも重要となります。このように、本科目の農業経済では農業にかかわる様々な主体(生産者、消費者、流通業者等)を対象に、消費・流通・貿易の構造や生産構造、さらに資源・環境について理論的な解説を加え、食料・環境問題に対する考え方や方策を講義します。
科目目的
わが国の食料・農業・農村にかかわる諸問題を生産・消費・流通・貿易・農村・環境の側面からとらえ、その基礎的な知識や理論、政策動向が理解できるようにすることを目標とします。
到達目標
具体的には下記のとおりです。
①食料自給率の動向について生産・消費・貿易の観点から理解することができる。
②食料需要と食料生産の特徴を弾力性の観点から分析し、食料の価格変化を説明することができる。
③食料消費の変化を経済的・社会的観点から理解し、近年成長している食品産業の動向と特徴を説明することができる。
④生鮮食料品(青果物・食肉・食肉・花き)における卸売市場の役割を理解し、輸入品も含めた流通構造を分析することができる。
⑤基礎的な貿易理論をもとに農産物貿易の現状と課題を学び、様々な貿易協定(WTO、FTA、TPP等)の仕組みを理解することができる。
⑥農業生産の特徴と農業の担い手・経営構造を理解し、担い手問題を分析することができる。
⑦農地の動向と農地制度を理解することができる。
⑧中山間地域農業と都市農業の現状と制度を理解し、農村問題を分析することができる。
⑨農業の外部効果を理解し、環境保全型農業と農村資源の活用方法を考察することができる。
授業計画と内容
1.ガイダンス
2.食料自給率の種類・動向・対策
3.食生活と食料消費の動向(1):食料需要の特性
4.食生活と食料消費の動向(2):食料消費構造の変化
5.食生活と食料消費の動向(3):食品産業の動向
6.食生活と食料消費の動向(4):食の安全性をめぐる取組み
7.食料・農産物の流通と市場(1):流通の概念と卸売市場の仕組み
8.食料・農産物の流通と市場(2):青果物市場と加工・業務用野菜の動向
9.食料・農産物の流通と市場(3):食肉市場-牛肉を中心に-
10.食料・農産物の流通と市場(4):水産物市場
11.食料・農産物の流通と市場(5):花き市場
12.食料・農産物の流通と市場(6):卸売市場の構造変化と取引形態の変化
13.食料需給と農産物貿易(1):世界の食料需給の動向
14.食料需給と農産物貿易(2):交易(貿易)に関する理論
15.食料需給と農産物貿易(3):農産物の輸出入と農業保護の論理
16.食料需給と農産物貿易(4):農産物貿易交渉をめぐる動向
17.食料需給と農産物貿易(5):FTAとEPAをめぐる動向
18.食料需給と農産物貿易(6):TPP交渉と日EU・EPAについて
19.農業経営と農業構造(1):農業生産の特徴
20.農業経営と農業構造(2):農業の担い手としての農家①:統計基準と家族経営
21.農業経営と農業構造(3):農業の担い手としての農家②:農業構造と経営分析
22.農業経営と農業構造(4):組織経営体(販売目的)
23.農業経営と農業構造(5):農業労働力と新規就農者
24.農業経営と農業構造(6):農地の動向と農地政策
25.農業経営と農業構造(7):農業協同組合の意義と特徴
26.農村社会と農村振興(1):農山村の動向と中山間地域農業
27.農村社会と農村振興(2):都市農村交流と都市農業
28.農村社会と農村振興(3):農業の多面的機能と農村資源・エネルギー
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
manabaに掲載するレジュメに必ず目を通し、授業のポイントについて理解した上で出席してください。また、食料・農業にかかわる基本的情報の整理・収集のため、自学用の参考文献に挙げた農林水産省「食料・農業・農村白書」(農水省のホームページからダウンロード可)を授業と併行して読み込んでおくことが望ましいでしょう。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 30 | 授業期間中に2回のレポートを出題します。出題・提出ではmanabaのレポート欄を利用します。 |
平常点 | 70 | 授業2回ごとに、小テストを行います。小テストはmanabaから出題し、自動採点となります。1回につき、5点満点を配点しますので、14回分で70点満点です。ただし、平常点で50点に届かない場合はE判定(不可)とします。 |
成績評価の方法・基準(備考)
本科目はレポートと平常点(小テスト)は下記のような項目の達成状況を評価します。
①食料・農業・流通・貿易・農村・資源・環境にかかる用語を正確に理解できているか。
②食料自給率の内容や動向を理解しているか。
③食料消費の変化と流通構造の動向を説明することできるか。
④WTOやFTA/EPAの動向を踏まえ、農産物貿易の特徴を論じることができるか。
⑤農業生産の特徴と課題を理解できるか。
⑥農業の地域性や農業と環境との関係性を理解できるか。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
「manaba」に掲載された本講義への要望や課題等を「manaba」もしくは講義内で紹介します。
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
ノートPCやスマートを授業中に小テスト等で活用する場合があるので、持参してください。
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
農林水産省農林水産政策研究所で研究職として勤務し、農業・農村政策の分析、農村調査を行ってきました(1995年4月~2014年3月)。また、株式会社農林中金総合研究所に出向し、研究員として農協の信用事業の分析を行いました(2006年4月~2008年3月)。
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
農業は政策の影響を強く受けるため、政策の歴史や意義を学ぶ必要があります。政策効果や政策情報を提供するという点で、農林水産省における政策分析の経験を生かすことができます。
テキスト・参考文献等
講義ではテキストは用いず、レジュメ等の資料を使用します。資料はmanabaに掲載しますので、受講生は各自プリントアウトをしてください。
自学用の参考文献は下記のとおりです。
・農林水産省『食料・農業・農村白書』(農水省のホームページからダウンロード可)
・田代洋一『農業・食料問題入門』大月書店、2012年
・日本農業市場学会『農産物・食品の市場と流通』筑波書房、2019年
・荏開津典生『農業経済学 第5版』岩波書店、2020年
その他特記事項
私語は他人の授業を受ける機会を妨げる迷惑行為です。厳しく対処します。また、授業中に利用する場合があるので、スマートフォンやノート PC、タブレットなどを持参して下さい。
参考URL
特になし