シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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地方政府論1/地域政治論1 | 2024 | 春学期 | 木5 | 法学部 | 礒崎 初仁 | イソザキ ハツヒト | 2年次配当 | 2 |
科目ナンバー
JU-PS2-003L
履修条件・関連科目等
「地方政府論1」で取り上げる制度論・機構論と、「地方政府論2」で取り上げる政策論・政権論は関連が深いので、両方を履修することが望ましい。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
この講義にあたっては、基本的な仕組みを正確に理解すること、地方分権改革など変動する制度と現実の関わりを動態的に把握することに重点を置く。そのため、できるだけ具体的な事例やデータを取り上げ、自治体の現場に視点を置きながら考察する。
なお、講義はテキストの構成に沿って進めるが、当然ながらテキストの内容どおりではない。また、随時、テーマに沿った新聞記事やビデオ等による事例紹介を入れるなど、テキスト以外の論点や題材を取り上げる予定である。
さらに、何冊か課題図書(新書など入門的な本)を提示し、その中から1冊を選択して、7月頃に「読書レポート」を提出してもらう予定である。
科目目的
地方自治体は、現代の政治・行政の「結節点」にある。国が福祉、環境、教育など各種の政策を実現しようとする場合、その多くは自治体の活動を通じて実施される。また、地方自治体自身も、地域社会の課題に応じて独自の政策を決定し、実施する。さらに、市民やNPOが国の政策に異議を唱えたり、新しい政策を提案したりする場合、その声はまず地方自治体に届けられて、政策の形成や変更につながるのが通常である。このように、地方自治体の活動は各種のアクターの行動に支えられ、その影響を受けながらも、独自の判断、プロセスによって展開されている。
本講義では、地方自治体も住民を代表し、独自の政策を掲げて活動する「政府」であることを出発点として、その制度、政策、組織、市民との関係について考察する。
「地方政府論1」では、「地方政府の制度と住民自治」を取り上げ、地方自治の基礎的知識を獲得することを目的とする。
なお、何冊か課題図書(新書など入門的な本)を提示し、その中から1冊を選択して、7月頃に「読書レポート」を提出してもらう予定である。これにより、自治体運営の多様な現実に学ぶとともに、本を読む楽しさとレポートを書く難しさを経験してもらう予定である。
到達目標
この講義では、次の点を到達目標とする。
1 地方自治や自治体政策に関する基本的な仕組みを正確に理解すること
2 地方分権改革、地方創生など変動する制度と現実の関わりを動態的に把握すること
3 新聞記事等を素材として現実の問題や事例を分析する力を獲得すること
4 課題図書を読むことによってより広くかつ深く考察する姿勢を身に着けること
授業計画と内容
下記テーマで14回の講義を実施する。
テーマ:地方政府の制度と住民自治
第1部 制度論
1.序論 地方政府とは何か
2.制度論➀ 自治体と地方自治制度
3. 〃 ② 地方自治制度の歴史
4. 〃 ③ 地方分権改革
5. 〃 ④ 都道府県と市町村
6.ケーススタディ(例:大阪都構想ってなに?)
第2部 機構論・管理論
7.機構論① 自治体の政治機構-二元代表制
8. 〃 ② 首長と執行機関
9.管理論① 自治体の組織管理と自治体改革
10. 〃 ② 職員の職務と人事管理
11. ケーススタディ(例:公務員試験はどう変わるか)
第3部 市民論
12.市民論① 住民と住民参加
13. 〃 ② コミュニティとNPO
14.ケーススタディ(例:自治会・町内会は生き残れるか)
★6月末~7月上旬 課題図書レポートの提出
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
毎回、授業予定にあわせてテキストの該当する章を事前に読んで臨んでほしい。また、地方自治の動向等について、新聞、TV、ネット等の情報に注目するよう心がけてほしい。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 70 | 授業の内容に即した試験を実施し、その評点を基本として評価する。 |
レポート | 20 | 基本的な図書(入門書)を読んでレポートを提出。その評価に一定の点数を付与する。 |
その他 | 10 | 小テスト・manabaでの回答の「回数」を「参加度」として加点する。自由に記載してもらうため、回答内容は原則として関係しない。 |
成績評価の方法・基準(備考)
成績は、原則として定期試験の評点と読書レポートの評価によって評価する。
1 定期試験は、持ち込み不可とし、基本的な概念の理解と応用問題への回答を問う。
2 課題レポートは、指定した図書(入門書)から1冊を選んで、①得たこと、②疑問に思ったこと、③自分なりの考察について、短いレポートを書いて提出してもらう予定である。
3 授業への参加状況を示すものとして、設問への回答数(manabaでの小テスト、responへの書き込み)を加味する。たとえば定期試験の評点が50点だった場合に、出席数が多ければ10点を加点し、60点と評価する、など。
定期試験は、講義を行った全範囲とし、①初歩的問題(重要用語の穴埋め)、②基本的問題(重要事項の説明を求める問題)、③応用的問題(ある事例や今日的問題について論述を求める問題)で構成する予定である。持ち込みは一切不可なので、直前の試験勉強が不可欠である。
成績評価は甘くも辛くもない(例年、S(A)~C(D)評価がそれぞれ2~3割程度であり、不合格は1割弱)。
授業の初回に「地方政府論1・定期試験の対策と過去問」を配布する予定である。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
グループワーク
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
授業の内容に関連するビデオを視聴したり、設問を設定してresponで回答してもらうなど。
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
神奈川県庁における17年間の実務経験がある(担当:土地利用、介護保険、市町村指導等)。
また、その後6年間、神奈川県参与として知事に対する政策アドバイスを行った。
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
毎回の授業では、実務経験を踏まえて、理論と実務の接点となる視点や論点を取り上げるとともに、説明の際には、常に実務の状況や具体例を盛り込んで、実務の状況や実感が伝わるように工夫する。なお、毎回、新聞記事等によって、直近の課題にも注意を喚起する予定である。
テキスト・参考文献等
■テキスト
礒崎初仁・金井利之・伊藤正次『新版 ホーンブック地方自治』北樹出版、2020年
■参考書
原田尚彦『地方自治の法としくみ(新版)』学陽書房、2005年
礒崎初仁『自治体政策法務講義(改訂版)』第一法規、2018年
礒崎初仁『立法分権のすすめ』ぎょうせい、2021年
礒崎初仁『地方分権と条例-開発規制からコロナ対策まで』第一法規、2023年
稲継裕昭『人事・給与と地方自治』東洋経済新報社、2000年
礒崎初仁『知事と権力-神奈川から拓く自治体政権の可能性』東信堂、2017年
金井利之『自治制度』東京大学出版会、2007年
北村 亘・青木 栄一・平野 淳一『地方自治論 -- 2つの自律性のはざまで』有斐閣、2017年
佐々木信夫『都知事-権力と都政』中公新書、2011年
北村亘『政令指定都市』中公新書、2013年
砂原庸介『大阪-大都市は国家を超えるか』中公新書、2012年
曽我謙悟『日本の地方政府』中公新書、2019年
辻 陽『日本の地方議会』中公新書、2019年
西尾勝『地方分権改革』東大出版会 2007年
西尾勝『自治・分権再考-地方自治を志す人々へ』ぎょうせい、2013年
大森彌『自治体職員再論-人口減少時代を生き抜く』ぎょうせい、2015年
村松岐夫『地方自治』東京大学出版会、1988年
有馬晋作『劇場型ポピュリズムの誕生-橋下劇場と変貌する地方政治』ミネルヴァ書房、2017年
その他特記事項
■レジュメ等の配布■
講義では、ほぼ毎回、レジュメ(パワーポイントのスライド、カラー版)と参考資料(新聞記事、行政資料等)を用意する。これらは、前日(水曜)の午前中までにmanabaにアップするので、印刷して参加してほしい。詳細は、講義の際に説明する。
■授業の工夫■
授業の要点・重要用語を理解しているかを点検するため、授業の終了後、manabaの「小テスト」と「respon」機能を使って、穴埋め問題と応用問題への回答を記入してもらう予定である(提出したか否かは成績評価の加点事由とするが、正解状況は関係しない)。
また、大教室であるが、ある課題を設定し、周辺の学生と協議して答えを出す「ミニ・グループワーク」を行うことがある。
参考URL
礒崎ブログ:http://hatsuisozaki.blog.fc2.com/