シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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民事訴訟法 | 2024 | 春学期複数 | 月2,水5 | 法学部 | 秦 公正 | ハタ キミマサ | 3・4年次配当 | 4 |
科目ナンバー
JU-CI3-008L
履修条件・関連科目等
履修条件は特にありません。もし、これまでに民事裁判法入門を履修していなければ、それとの同時履修が理解を深めるのに役に立ちます。また、民事訴訟は、私権の実現に関わる訴訟ですので、民法分野の基本的な知識が重要です。とくに財産権法(物権、債権総論・各論)の履修をしていないようであれば、その履修を強く勧めます。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
XがYに100万円を貸しましたが、Yが期日を過ぎても返済してくれません。XはYに返済を求めたところ、対するYは「そのお金はもらったものだ」と主張してきました。もし、XがYに100万円を貸した事実があり、Yが100万円を返済したなど(それ以外の例として、Xが免除した、Yが相殺したなど)の事実がなければ、実体法上、XにはYに対し、100万円の返還を求める権利を有していることになります。
しかし、このXが持つ私権を実現するために、実力行使でYから100万円を奪い返すことは法的には許されません。100万円を強制的に返還させるために、民事訴訟が占める位置は非常に重要です。なぜなら、強制執行を行うためには、私権の存否を確認する民事訴訟において勝訴判決を得ることが必要であるからです(ただし、強制執行だけを考えるならば、裁判上の和解や民事調停などでも代用できます)。
この講義はその民事訴訟の手続、すなわち、訴えの提起から判決の確定までの手続(=判決手続)を学ぶことになります。実際の民事訴訟の流れ(訴えの提起→口頭弁論→証拠調べ→判決→確定)に沿って進めていくのが望ましいとも思いますが、前半部分は裁判所や当事者、訴訟物など民事訴訟における基礎概念を理解する講義がメインになります。
科目目的
実体法が定める権利の実現手続としての民事訴訟手続を学ぶための科目です。民法等を学び、権利義務の発生、変更、消滅等について理解しただけでは、総合的な学修としては不十分です。
到達目標
民事訴訟手続に出てくる基本的な用語を理解し、同手続に関して存在する法律問題を理解し、さらに、その点についての重要な学説・判例を理解することを目標とします。
授業計画と内容
1.ガイダンス、民事裁判の仕組み(法的三段論法)・手続の概観
2.当事者と裁判所の役割分担、審理原則
3.裁判所の意義と管轄
4.訴訟の対象―訴え、訴訟物
5.訴えの提起とその方式
6.訴訟当事者―当事者の確定、当事者能力
7.訴訟能力、訴訟上の代理
8.当事者適格
9.訴えの利益①(総論、給付の利益)
10. 訴えの利益②(確認の利益、形成の利益)
11.訴え提起の効果-時効完成猶予効、二重起訴(重複訴訟)の禁止
12.口頭弁論の準備、弁論主義(総論)
13.訴訟の審理-弁論主義第1テーゼ-
14.裁判所の訴訟指揮
15.裁判上の自白 ―弁論主義第2テーゼ―
16.証拠調べ総論、各論①―証人尋問、当事者尋問、鑑定
17.証拠調べ各論②―書証、検証
18.自由心証主義と証明責任
19.処分権主義
20.判決の効力① 総論・既判力総論
21.判決の効力② 既判力の時的限界・客観的範囲
22.判決の効力③ 既判力の主観的範囲・執行力・形成力ほか
23.共同訴訟①―通常共同訴訟
24.共同訴訟②―必要的共同訴訟
25.訴訟参加①―補助参加
26.訴訟参加②―独立当事者参加、訴訟承継その他
27.控訴・上告
28.まとめ
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
毎回のレジュメの末尾に掲載されている、演習問題を授業の間に考えてくること。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 100 | 春学期末に期末試験を実施し、その結果によって評価を行う。 |
成績評価の方法・基準(備考)
※定期試験の出題形式及び評価等について
定期試験は、1.穴埋め問題・語句選択問題(20%)と2.記述式問題(80%)で構成される。
1.は、正しい回答ができているかどうかで評価する。
2.では、制度の定義や趣旨を問う問題、簡易な事例問題を出題する。このうち、事例問題では、法的三段論法により結論を導くにあたり、法律用語・制度及び趣旨の正しい理解、正しい条文の発見・引用、問題のの正確な把握、先行学説・判例の理解(それらの根拠を理解できているか)、自らが正当と考える見解を理由を付した提示、そして、事案へのあてはめ、結論が適切に導けているかなどを基準に採点を行います。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキストは使用しませんが、参考文献として以下のものを挙げておきます。
初学者用 小田 司編『民事訴訟法』(弘文堂、第2版、2016)
中野貞一郎『民事裁判入門』(有斐閣、第3版補訂版、2012)
基本書 中野=松浦=鈴木ほか編『新民事訴訟法講義』(有斐閣、第3版、2018)
伊藤 眞『民事訴訟法』(有斐閣、第7版、2020)
松本博之=上野泰男『民事訴訟法』(弘文堂、第8版、2015)
高橋宏志『民事訴訟法概論』(有斐閣、2016)
三木=笠井=垣内=菱田『民事訴訟法』(有斐閣、第4版、2023)
参考書 高橋宏志『重点講義 民事訴訟法 上』(有斐閣、第2版補訂版、2013)
同 『重点講義 民事訴訟法 下』(有斐閣、第2版補訂版、2014)
判例集 高田裕成=畑 瑞穂=垣内秀介編「民事訴訟法判例百選(第6版)」(有斐閣、2023)