シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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【通教 通信授業】民事執行・保全法 | 2024 | その他 | ー | 通信教育課程 | 木川 裕一郎 | 3・4年次配当 | 4 |
科目ナンバー
JD-CI3-209L
履修条件・関連科目等
履修条件:通信教育課程の学生対象
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
民法や商法などの実体法により諸君が一定の権利を有することが定められていても、その権利の内容が実現されない場合がある。相手方が当該権利はないと主張する場合には、その権利の有無は改めて当事者の合意により決するか、これが不可能であれば、第三者(特に裁判所)に判断してもらうしかない。裁判所の関与により権利を確定する手続には、調停・仲裁など様々なものがあるが、相手方を手続に引き込むという強制手続であり、かつ示された解決基準に終局的な効力(再度争えないという効力)が原則として与えられるのが、判決手続である。この判決手続は当事者間の手続保障に厚く、判決までに時間が掛かるために、時間の経過が原因で相手方債務者の財産状況に変化が生じて、折角判決が出されたとしても、その時点で判決の命ずる内容の実現が不可能となる可能性もある。
そこで、民事保全法は、民事保全手続という、判決の実効性を担保するための制度を設けている。これに対して、本授業で扱う民事執行は、権利の確定途中で作用する民事保全と異なり基本的には、権利が確定している段階で意義を有する制度である。すなわち、まず、裁判所内外の手続において権利の確定が図られたからといって必ずしも実体法上の権利の実現が達成されるわけではない。
また、裁判所内外の手続において権利が確定されたにも拘わらず、その判断に納得がいかずに判断に従わない債務者がいるだろうし、他方で、納得していたとしてもその判断に従う財産状態にない場合もある。このような場合に、法が何らかの制度を用意していないとすれば、民法など実体法が定めた権利は内実を伴わない(可能性がある)空虚なものとなるし、折角裁判所その他の方途を尽くしたり、相手方と合意により権利の有無を改めて確定したとしても、その意義は半減してしまうであろう。そこで、法は、実体法上の権利を実現させるための制度を規定している。これを規定する法には、民事執行法と倒産法(破産法・民事再生法・会社更生法、商法が定める特別清算手続などの総称)がある。民事執行手続においては、満足を受けるべき権利がどのような権利であるのかに従って、異なる手続を用意している。例えば、金銭債権を実現する手続と物(ぶつ)の引渡請求権を実現するための手続はまったく異なっている。また、単なる債権を実現する手続と担保権を実現(実行)するための手続も大きく手続を異にする。
科目目的
民事執行・保全法の学習を通じて、実体法(民法・手形法など)の知識を確実なものとすることに目標を置く。
到達目標
実体法上の権利の性質に応じて用意された各種執行手続の特徴を勉強することにより、その性質に応じた権利実現方法を使いこなせるのに必要な知識を体得することを目標とする。
授業計画と内容
第1講 実体法と手続法
第2講 民事執行制度の構造
第3講 強制執行総論(総論)
第4講 債務名義と執行文(総論)
第5講 債務名義(各論)
第6講 債務者保護のための制度
第7講 不動産執行
第8講 動産執行
第9講 債権執行
第10講 その他の権利の執行および担保権実行のための競売
第11講 民事紛争処理と民事保全法の要点
授業時間外の学修の内容
その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
履修条件は、設定しないが、民法全般および民事訴訟法を履修済であることが望ましい。『民事執行・保全法』の領域を学習するためには、『民法』・『商法』などの実体法のほか、『民事訴訟法(判決手続)』の理解が前提となる。これらの学習が終了した場合には、是非とも、本科目のほか、併せて破産法を履修することを勧めたい。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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その他 | 100 | 試験(科目試験またはスクーリング試験)により最終評価します。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
その他
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
【通信教育課程はなし】
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
【通信教育課程はなし】
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
【通信教育課程はなし】
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
通信教育課程 在学生サイト 教科書一覧を参照
https://sites.google.com/g.chuo-u.ac.jp/tsukyo-current/textbook?authuser=0
〈参考書〉上原敏夫・長谷部由起子・山本和彦(編)『民事執行・保全判例百選』〔第3版〕別冊ジュリスト 247号(有斐閣・2020)
その他特記事項
【通信教育課程はなし】