学部・研究科 | 文学部 |
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授業科目名 | 中国文化講義(1)B |
学期名称 | 後期 |
配当年次 | 3・4年次配当 |
単位数 | 2単位 |
授業担当教員 | 川野 明正 |
教員カナ氏名 | カワノ アキマサ |
履修条件 | |
科目の目的・到達目標 | 中国「妖怪」論 文学部ならではの独自の探求課題の1つである人間の心性のあり方の問題を、東アジア特有の民俗観念を比較的に探求することにより、学生1人1人が人間についての何らかの根源的認識にたどり着くことを以て到達目標とする。 ただしかかる教育目標には教員の講義内容からではなく、学生自身の探求によって到達することが大学教育の本質に照らして望ましく、本講義はその一助として行われるに過ぎない。 究極的には、「我何をか知るか?」(モンテーニュ)というような、無知の知を常に自問し続けることが、人文学の営為の根柢にあるともいえ、そのような自覚へと誘うことも大学の授業の重要な目標であるともいえる。 |
授業の概要 | この講義では「中国の民間信仰」をテーマとし,「神」・「祖先」・「鬼」(鬼怪)・「精」(精怪)をキーワードに民間信仰上の民俗観念について概観し、中国人の冥界観のありかたを探究していきます。具体的には、「霊的な毒物」の信仰ともいうべき「蠱毒」信仰や,脱魂的な生霊ともいうべき「鬼人」信仰や,恋の惚れ薬である「恋薬」の伝承、天上の犬精である「天狗」(てんのいぬ)、人間にとり憑く霊的な虫類である「蠱毒」(こどく)、異民族の鬼人イメージの変遷などを取り上げ、中国人の民間信仰のありかたのなかでの位置づけ、とりわけ冥界観の全体像のなかでの位置づけを試みます。中国南部の漢民族・非漢民族に広く伝わる呪術的観念の実態に迫り、中国南部の人々の心性のありかたを垣間見てみたいと思います。 |
授業計画 | 第1回.中国の地理と気候と文化的多様性 第2回.食文化からみた中国文化の多様性 第3回.民族からみた中国文化の多様性 第4回.総論:中国人の冥界観─「神」と「鬼」「精」との動的な関係 第5回.精怪論(1) ─山魈について 第6回.精怪論(2)─五通神について 第7回.精怪論(3)─現代の五通神伝承 第8回.精怪論(4)─厄災・不妊の原因としての「天狗」 第9回.精怪論(5)─子授けの神「張仙」と天狗祓い 第10回.蠱毒論(1)─魏晋南北朝時代と宋代の異民族イメージと「蠱毒」 第11回.蠱毒論(2)─明・清代の異民族イメージと「蠱毒」 第12回.蠱毒論(3)─恋愛呪術における蠱毒と異民族イメージ 第13回.鬼怪論(1)─中国諸民族の生霊信仰 第14回.鬼怪論(2)─「鬼」としての異民族イメージ ※以上はおおよその目安であり、授業であつかう予定のトピックをあげたものである。授業の進度や履修者の関心によって、講義の進め方を変更する場合もありうる。 |
評価方法 | 期末レポートの成績80%、平常点20%(出席確認は5回)。ただし、出席が1回もないものはE判定とする。レポートのフィードバックは授業での講評とする。レポートの提出は文学部事務室で締め切り厳守。締め切りを超えた場合は、受領しない。レポートは授業時間で講評するものとする。 |
テキスト・参考文献等 | <テキスト> 特に指定しない。プリントを配布する。 <参考文献> 川野明正『中国の〈憑きもの〉─華南地方の蠱毒と呪術的伝承』風響社,2005年 川野明正『神像呪符〈甲馬子〉集成─中国雲南省漢族・白族民間信仰誌』東方出版,2005年 渡邊欣雄『漢民族の宗教―社会人類学的研究』第一書房,1991年 文彦生(編)・鈴木 博(訳)『鬼の話(上・下)』 青土社,1997年 |
授業外の学習活動 | 授業中に配布したレジュメや講義ノートを見返しておくこと。また、授業中に紹介した参考文献を随時みておくこと。予習には、これらのことを含めて、毎回、授業時間100分分のイメージトレーニングを課する。 |