学部・研究科 | 総合政策学部 |
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授業科目名 | 卒業研究(演習)Ⅱ/事例研究(演習)Ⅱb |
学期名称 | 後期 |
配当年次 | 4年次配当 |
単位数 | 2単位 |
授業担当教員 | 青木 英孝 |
教員カナ氏名 | アオキ ヒデタカ |
履修条件 | |
科目の目的・到達目標 | ・コーポレート・ガバナンスと企業経営に関する理解を深めること ・分析手法の習得(先行研究レビュー、問題意識とリサーチ・クエスチョンの明確化、仮説の設定と検証、企業財務分析、基本的な統計分析の手法など) ・論理的思考力、ディスカッション能力の向上 ・演習Ⅰ:ゼミ論文の完成(先行研究レビュー、リサーチ・クエスチョンの設定など) ・演習Ⅱ:卒業論文の完成(仮説設定と検証、考察など) |
授業の概要 | 事例研究テーマ:コーポレート・ガバナンスと企業経営 研究テーマであるコーポレート・ガバナンス(企業統治)とは、企業は誰のものか、誰のために経営されるべきかといった問題群の総称であり、基本的には “ 企業を取り巻く様々なステークホルダーの利害を調整しつつ、経営者に対するインセンティブやモニタリングを通じて、効率的な企業経営を達成させるための経営の規律づけの仕組み ”である。近年の日本企業は、企業不祥事の続発、業績低迷、多角化やグローバル化による事業構造の複雑化などを背景に、純粋持株会社の採用とグループ経営の強化、執行役員制度や社外取締役の導入といったトップ・マネジメントの構造改革、ストック・オプション導入などの経営者の報酬制度の整備、株主重視経営と情報開示の充実など、コーポレート・ガバナンスの強化に積極的に取り組んでいる。他方、企業経営に関しては日本型企業システムを扱う。これは、メインバンク・システムや株式の相互持ち合いなどの金融システム、終身雇用や年功制などの雇用システム、生産や流通のシステム、系列や企業集団などの企業間関係など、それぞれユニークな特徴をもつサブ・システムから企業が構成されているとする見方であり、現在大きな変化の過程にある。したがって、本テーマを研究することで、日本企業に関して幅広い視点からの分析視角を養うことが可能となる。 なお、担当教員とゼミ生との効果的なマッチングのために、以下に示すような大まかなテーマのうちいずれかに関心のある人が望ましい。 ・コーポレート・ガバナンス(所有構造、企業不祥事、情報公開、CSR など) ・トップ・マネジメント(取締役会改革、経営者交代、経営者インセンティブなど) ・戦略と組織(選択と集中、多角化戦略、M&A、持株会社、分社化、グループ経営など) ・金融システム(メインバンク・システム、株式の相互持合など) ・雇用システム(終身雇用、年功制、雇用ポートフォリオ、非正規従業員など) ・企業間関係(系列、企業集団、サプライヤー、下請制度、子会社ガバナンスなど) テキスト・学術論文・参考文献の輪読を通して、基礎知識のインプットから研究論文の作成ノウハウの習得までを段階的に学習する。授業の進め方としては、文献の輪読では、レポーターに担当範囲を要約したレジュメを作成の上、内容報告を行ってもらう。レポーター以外は、各自文献を読んだ上で質問を準備して授業に臨んでもらう。報告と質疑応答後、ディスカッションと担当教員による補足説明を行う。なお、ゼミにおける文献輪読と平行して、各自卒業論文の研究を進めてもらう。 3年生での到達目標は、問題意識の明確化、卒論テーマに関する先行研究のレビュー、リサーチ・クエスチョンの設定までを含むゼミ論文(卒論の前半部分)を執筆することである。4年生では、仮説設定、必要な情報・データの収集、仮説検証、考察を繰り返し、最終的にオリジナルな卒業論文を完成させることを目標とする。また、夏休み中にゼミ合宿を行う予定である。合同で実施するか否かは履修人数による。3年生には業界・企業研究(グループ研究)および各自のゼミ論文の計画概要を、4年生には、卒業論文の中間報告を行ってもらう。 |
授業計画 | 第 01 回 親子上場の経済分析 第 02 回 配当政策と雇用調整 第 03 回 企業統治制度改革 第 04 回 メガバンク後の企業銀行間関係 第 05 回 海外機関投資家の役割 第 06 回 従業員持株会の機能 第 07 回 近視眼的株主と種類株 第 08 回 日本企業の雇用削減行動 第 09 回 日本企業の多角化と財務政策 第 10 回 企業統治制度と経営者交代 第 11 回 経営者の居座りとエントレンチメント 第 12 回 企業統治と会計不正 第 13 回 取締役会の制度改革 第 14 回 卒論最終発表 |
評価方法 | 出席、レジュメ、報告、質問、議論への参加などのゼミに対するコミットメント50%、 ゼミ論文(事例研究Ⅰ)・卒業論文(事例研究Ⅱ)50%で評価する。 |
テキスト・参考文献等 | 【テキスト】 ・宮島英昭編著(2008)『企業統治分析のフロンティア』,日本評論社. ・宮島英昭編著(2011)『日本の企業統治―その再設計と競争力の回復に向けて―』,東洋経済新報社. ・宮島英昭編著(2017)『企業統治と成長戦略』,東洋経済新報社. 【参考文献】 ・伊丹敬之・加護野忠男・伊藤元重編(1993)『日本の企業システム 第4巻 企業と市場』,有斐閣. ・伊丹敬之・藤本隆宏・岡崎哲二・伊藤秀史・沼上幹編(2006)『日本の企業システム第Ⅱ期第1巻 組織とコーディネーション』,有斐閣. ・伊丹敬之監修・一橋大学日本企業研究センター編(2005)『日本企業研究のフロンティア 第1号』,有斐閣. ・下谷政弘(2006)『持株会社の時代』,有斐閣. ・下谷政弘(2009)『持株会社と日本経済』,岩波書店. ・青木英孝・新田敬祐(2004)「経営トップ交代の効果とガバナンスの影響:在任期間とエントレンチメント」,ニッセイ基礎研究所『所報』,Vol.33,pp.99-132. ・青木英孝(2016)「事業ガバナンスと組織パフォーマンス-多角化・グローバル化・グループ化の影響-」,『経営戦略研究』,第17号,pp.3-21. ・宮本光晴(2004)『企業システムの経済学』,新世社. |
授業外の学習活動 | ・授業の準備:テキストの輪読では、レポーター班はレジュメを作成の上授業時に報告する準備を、レポーター班以外の人は各自質問項目を準備の上授業に臨む事。 ・ゼミ合宿の準備:ゼミ合宿では、グループ分けの上、業界研究を行ってもらうため、問題設定、資料収集、分析、プレゼン準備などが必要である。 ・ゼミ論文(3年生)・卒業論文(4年生)の準備:授業におけるテキストの輪読とは別に、各自興味のある研究テーマを設定し、最終的にはオリジナリティーのある研究論文の完成を目指してもらう。夏のゼミ合宿で中間報告、年度末には最終報告を行ってもらうため、論文執筆とプレゼン資料の準備が必要である。 |