学部・研究科 | 総合政策学部 |
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授業科目名 | 犯罪の概念Ⅱ |
学期名称 | 後期 |
配当年次 | 2年次配当 |
単位数 | 2単位 |
授業担当教員 | 高橋 直哉 |
教員カナ氏名 | タカハシ ナオヤ |
履修条件 | 前期に開講する犯罪の概念Ⅰを履修していることが好ましい(犯罪の概念Ⅰで取り扱う内容については一定の理解が得られているものとの前提で授業を進める)。 |
科目の目的・到達目標 | 専門的知識の修得も大切であるが、この授業では、それと同時に、犯罪と刑罰の問題を原理的に考えるための基本的な視点も提供していきたいと思っている。 犯罪と刑罰は、いわば社会の暗部に属する問題である。しかし、それは同時に、社会のあり方を映し出す鏡でもある。結局、犯罪と刑罰の問題を原理的に考えるということは、私たちはこの社会をどのようなものにしたいのか、ということを裏側から問うことになるであろう。具体的にとりあげる題材は、刑法解釈の問題が中心になるが、それによって得られた知見をもとに、最終的には、学生が、犯罪と刑罰の問題を考える多様な視座を身につけてもらうことを目的とする。 |
授業の概要 | この授業では、犯罪と刑罰に関して規定している法である刑法の解釈を中心にしながら、犯罪と刑罰の意味について検討していくことにする。「悪いことをした人は罰せられて当然である」というのは、おそらく多くの人が共有している常識であろう。刑法が、そのような人々の常識からかけ離れたものであってはならないのは、当然である。しかし、世の中の悪い行為が全て犯罪となるわけではない。また、悪い行為に対する制裁が全て刑罰であるわけでもない。日常的な意味での「罪と罰」と刑法上の意味における「犯罪と刑罰」との間にはある種のギャップがある。この授業では、そのようなギャップに留意しつつ、刑法学の基本的な事項について講じていきたいと考えている。 また、近時、犯罪と刑罰に関する基本的な考え方には大きな変動の兆しが見られ、それは徐々に現実の法制度に影響を及ぼしつつある。そこで、そのような動向についてもできるだけ目配りするつもりである。最終的には、どのような行為を犯罪とすべきなのか、それに対していかなる刑罰を科すべきなのか、ということを、各人が主体的に考えていくのに役立つ授業にしたいと思っている。 |
授業計画 | 第1回:ガイダンス(前提知識の確認) 第2回:責任論の概説・故意 第3回:錯誤 第4回:過失 第5回:未遂犯Ⅰ(実行の着手) 第6回:未遂犯Ⅱ(不能犯・不能犯) 第7回:共犯論の基礎 第8回:共同正犯 第9回:教唆犯・幇助犯 第10回:共犯論の諸問題Ⅰ(共犯と身分ほか) 第11回:共犯論の諸問題Ⅱ(共犯関係からの離脱ほか) 第12回:罪数 第13回:刑法の適用範囲 第14回:基礎知識の応用(事例を題材として) |
評価方法 | 小テスト40%(具体的な実施要領は開講時に指示する)、定期試験60%の割合で評価する。小テストは授業期間中に参考解答と共に返却する。学期末試験については、試験後参考解答を配布する。 |
テキスト・参考文献等 | テキスト:開講時に指示する 参考書: 井田良『講義刑法学・総論(第2版)』(2018年)4300円 今井猛嘉・小林憲太郎・島田聡一郎・橋爪隆『刑法各論(第2版)』(2013年)本体価格3100円 山口厚・佐伯仁志『刑法判例百選Ⅰ総論(第7版)』有斐閣(2014年)2200円 |
授業外の学習活動 | 事前にレジュメを呼んで授業に出席することは当然であるが、独学では難しいところもあるので、特に復習に力を入れてもらいたい。 |