シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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FLP演習B(国際協力) | 2025 | 通年 | 火5 | 学部間共通科目 | 中川 康弘 | ナカガワ ヤスヒロ | 3年次配当 | 4 |
科目ナンバー
UW-IF3-F02S
履修条件・関連科目等
演習Aで日本語教育学の基礎を学び、かつ外国人や言語的、文化的マイノリティなど、さまざまな背景を持つ他者との「共生」に、日常生活において関心のあることを履修条件とします。
授業で使用する言語
日本語/英語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
【テーマ】:表面から内面へのまなざしの涵養-国際協力の文脈における「ことばの教育」の視点から
昨年度に続き、ことばや文化を軸に、人と人の水平的な関係、交流といった側面に着目します。
前期は、指定文献を中心に輪読、ディスカッションを行い、国際協力、教育、そして言語哲学の観点から「共生」への理解を深めます。並行して見学調査も行い、現場の実情を体感します。演習Aで培った、座学と議論、そして現場を往還する知的作業からの学びをさらに精緻化させるべく、 各自の興味を掘り起こしていきます。学外の訪問先として、前期は都内の公立中学校夜間学級を訪れ、多文化共生・グローバル社会に対する自らの考えを深めることを検討しています。同時に、方法論の基礎について学びつつ、各自が研究課題を設定します。
後期はアジアの大学で日本語を学ぶ現地学生との共同調査等により、各自が設定したテーマの調査を軸に行い、国際協力、日本語教育の役割を考えていきます。 そして年度末に成果報告を経て、学問的課題に応える論文にまとめます。 授業は履修者が用意したレジュメや調査結果についてディスカッションしながら進める双方向型で行います。
科目目的
文献講読とディスカッション、見学調査、そして海外実態調査と、教室内外におけるアクチュアルな学びを通じて、言語文化、障害、ジェンダー等の観点から、文化的多様性を理解することにつとめます。そのうえで、各自が、分断と排外主義、リオタールのいう「島宇宙」が懸念されて久しい現在、無謬主義に陥ることなく、実利主義や単一の価値観、ステレオタイプを誘導する社会を複眼的にみる目を養い、他者とともに在るという国際協力の本質を、原体験として身につけることを本演習の目的とします。
到達目標
演習Aに続き、教育の現場に触れることで、国際協力、日本語教育の見取り図を社会的文脈で捉えていきます。文献講読やディスカッションを通じて、文化的多様性、障害、ジェンダーなど、言語と個人のアイデンティティの関係についても思いをめぐらします。そして、昨年度とは別の国に赴き、アジアの生活世界に触れ、ことば、食、臭い、暑さ、喧噪等も含めて感じ、相手と対話することで、言語文化教育に潜む実利主義や単一の価値観、ステレオタイプを誘導する社会を複眼的にみる目を徹底的に鍛え、多文化共生社会に不可欠な自分と異なる他者の多様性を受け入れることができるようになることを目標とします。ゼミで得たそうした知見は、何よりこれからの時代を生きる上で必須のマインドとなるはずです。
授業計画と内容
第1回 オリエンテーション、文献講読の分担決め
第2回 文献講読、1章 用務員室と塾「森絵都『みかづき』」とディスカッション
第3回 文献講読、2章 生徒同士の集い『ブレックファスト・クラブ』とディスカッション
第4回 文献講読、3章 男女共別学「壺井栄『二十四の瞳』」とディスカッション
第5回 ゲスト講義(予定 劇団トランス☆プロジェクト 月嶋紫乃代表ほか)
第6回 文献講読、4章 ヴァルネラビリティ「島崎藤村『破壊』」とディスカッション
第7回 文献講読、5章 「サリヴァン先生『奇跡の人』の解釈」をめぐるディスカッション
第8回 文献講読、6章 子供同士の暴力『少年時代」とディスカッション
第9回 文献講読、7章 高知県の教育「教科書無償化闘争」とディスカッション
第10回 見学調査(予定 日本台湾交流協会東京事務所)
第11回 文献講読、8章 子供のありのまま≠大人の不都合?豊田正子『綴方教室』とディスカッション
第12回 文献講読、9章 インクルーシヴ教育再考 中脇初枝『君はいい子』とディスカッション
第13回 文献講読、10章 コペル君の視座 吉野源三郎『君たちはどう生きるか』とディスカッション
第14回 文献講読、まとめ
第15回 海外実態調査振り返り
第16回 ゲスト講義
第17回 教育現場の訪問(予定)
第18回 実態調査の振り返り
第19回 実態調査のデータをもとにしたテーマ絞り込み
第20回 データ分析方法についての意見交換
第21回 方法論についての検討、意見交換
第22回 成果報告会に向けてのブレインストーミング
第23回 成果報告会に向けての中間報告 、要旨の検討
第24回 成果報告会準備、ディスカッション
第25回 報告会振り返り
第26回 各自のテーマの課題整理と今後に向けての検討
第27回 論文作成のためのディスカッション
第28回 年間を通しての振り返り、ディスカッションとまとめ
*実態調査は9月1日から6日の時期を予定しています。調査先は台湾、主に台北のラジオ放送局、NHK台北支局、日台交流協会台北事務所、および台中にある日本人学校の訪問等の予定です。また見学調査は移動により時限をずらすことになります。いずれも事前に周知し、相談のうえ決定します。
授業時間外の学修の内容
その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
・授業では、学生同士での活発なディスカッションを行うこと
・定期的に授業外で調査を課すので、自律的に学修を進めること
【実態調査】日本語学科のある海外の大学、日本の援助機関等にて調査を行う
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 80 | 授業課題、提出論文の完成度により評価する |
平常点 | 20 | 授業貢献度、ゼミ活動への積極性により評価する |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート/グループワーク/プレゼンテーション/実習、フィールドワーク
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
授業で使用するテキスト(予定):
倉石一郎著『映像と旅する教育学 歴史・経験のトビラを開く』昭和堂 ISBN 9784812223109
参考文献:
『ライフストーリー論』桜井厚著、2012年、弘文堂
『多様性との対話 ダイバーシティの推進が見えなくするもの』岩渕功一編著、青弓社
文献は授業前、また授業中に指示します。
その他特記事項
・遠慮は要りません。自由に意見を出してください。言葉を渇望しています。
・各自の問題意識に繊細に反応し、柔軟かつ丁寧に対応します。そして、ゼミ生一人ひとりの興味をミクロマクロ両面で大切に育てます。
・ゼミ生同士、積極的にコミュニケーションをとって、お互いに学びを深めてください。
・授業計画は、学修進度や訪問先の受入れ状況等により変更する場合があります。