シラバス
| 授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 西洋テーマ史(1)/西洋各国史(3)A | 2026 | 前期 | 金2 | 文学部 | 白川 耕一 | シラカワ コウイチ | 1~4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
LE-WH1-H311
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
題目「ホロコーストとアメリカ社会(1930年代から1990年代まで)」
概要
ホロコースト(Holocaust)とは、第2次世界大戦中に発生したナチス・ドイツによるユダヤ人殺害を示す言葉です。本授業では、ホロコーストとアメリカの反応を検討します。第2次世界大戦中のユダヤ人殺害は、ヨーロッパ大陸で発生した事件であり、加害者として、または被害者としてアメリカに直接かかわる事件ではありませんでした。しかし、1993年に首都ワシントンDCにアメリカ合衆国ホロコースト記念館が開館し、アウシュヴィツ収容所が解放された1月27日には全米各地で記念式典が開催されています。それは、なぜでしょうか。
講義前半においては、目の前で進行するユダヤ人迫害に対してアメリカ政府や社会がいかに反応したのかについて説明します。後半においては、ナチスのホロコーストという歴史的事件にアメリカ社会がどのように向き合い、1990年代の首都ワシントンDCに大規模な記念館建設に至ったのかについて、アメリカの政治・文化・外交的状況、アメリカのユダヤ人の自己認識の変化にも視野に入れながら、考察したいと考えています。
科目目的
私たちはグローバル化した社会に生きています。メディアを通じて、さまざまな事件や経験が私たちにもたらされます。その情報のほとんどは、私たちの生活や人生に影響を及ぼすことなく、忘れ去られるでしょう。第2次世界大戦中のホロコーストと無関係のアメリカにおいて、ホロコーストはあたかも自らの存在に大きく関わる歴史的事件のように考える現象が発生しました。それは自然発生的なものではなく、ホロコーストの記憶を受け入れるアメリカ社会の特有の状況がありました。講義では、アメリカを例に、グローバル化した社会における記憶の形成と変容を学びます。
到達目標
①ナチス・ドイツによるユダヤ人迫害の過程を、説明することができる。
②ユダヤ人迫害・殺害に対するアメリカ政府および社会の反応を説明することができる。
③第2次世界大戦後、アメリカ政府や社会がホロコーストの歴史にどのように向き合ったのかを、政治・文化と関係づけながら説明することができる。
授業計画と内容
講義計画
第1回 はじめに
第2回 ナチス・ドイツによるユダヤ人迫害(1933~1937年)
第3回 ユダヤ人迫害に対するアメリカ社会の反応
第4回 強化されるユダヤ人迫害に対する国際社会の反応(1937~39年)
第5回 ユダヤ人難民とアメリカ社会
第6回 第二次世界大戦勃発とホロコーストへの途(1939~42年)
第7回 確認されたホロコーストに対するアメリカ政府及び社会の反応(1942~43年)
第8回 アメリカ人にとってのナチスの犯罪とは?(第2次大戦期末期から終戦直後)
第9回 「ホロコーストのアメリカ化」の始まりー文学作品、歴史研究の観点から(1950年代)―
第10回 「私は本当はユダヤ人かもしれない」(1950~60年代のアメリカ人の意識)
第11回 1970年代ーホロコーストが意識の中心に―
第12回 エリ・ヴィーゼルにとってのホロコースト経験
第13回 1990年代におけるアメリカの歴史意識の中のホロコースト
第14回 まとめ
授業時間外の学修の内容
その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
(1)アメリカ現代史、第2次世界大戦、ユダヤ人殺害に関する通史的事柄については、文献リストの有賀(編)『アメリカ史2』、芝『ホロコースト』などを参照してください。アメリカのユダヤ人の行動については、サッカー『アメリカにおけるユダヤ人の歴史』があります。これは、講義の背景となる内容ですので、読んだ上で授業に臨めば、授業理解が向上します。
(2)アメリカとホロコーストとの関係について、第2次世界大戦中に関しては文献目録のブライトマン『封印されたホロコースト』があります。本書は、連合国がホロコーストを止める試みをあえて実施しなかったと主張します。丸山直起『ホロコーストとアメリカ』はアメリカのユダヤ人団体の救援活動を明らかにしています。
(3)第2次世界大戦期から1990年代までアメリカ社会がいかにホロコーストを自らの歴史としていった過程について、文献目録のトラハテンベルグ(Trachatenberg)リップシュタット(Lipstadt)、ノヴィック(Novick)の英語文献を読み進めて頂きたい。
(4)ホロコーストからいかなる教訓が引き出されたのかという問いは本講義にかかわるテーマです。マラス『ホロコーストに教訓はあるか』を参照してください。アメリカのホロコースト認識に大きな影響を及ぼしたエリ・ヴィーゼルについては、彼の回顧録があります。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
| 種別 | 割合(%) | 評価基準 |
|---|---|---|
| 期末試験(到達度確認) | 70 | 授業で扱った内容に関する理解を問う、論述形式の筆記試験をおこないます。(論述形式で1200字程度)。 |
| 平常点 | 30 | 授業後に史料読解に関する課題を出題します(2回程度)。 |
成績評価の方法・基準(備考)
学期末の筆記試験においては、以下の点にご注意ください。
・試験中、参考書、書籍、ノート、メモなどの参照は一切できません。
・試験問題と講義内容から著しく逸脱した答案は成績評価の対象になりません。
・解答は文章化してください。箇条書きの答案は採点の対象外とします。
・授業時に配布した資料で内容が不足する場合には、参考文献などを参照して補ってもかまいません。
・自主的な試験勉強の成果が答案上に認められる場合により高い得点を与えます。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
【テキスト】
指定しません。授業においては、プロジェクターで授業資料を投影しながら、授業を進めます。授業中の投影した資料は印刷し、受講者に配布します。
文献目録
有賀貞他編『世界歴史大系 アメリカ史2』(山川出版社 1993年)
石田勇治他編『想起の文化とグローバル市民社会』(勉誠社 2016年)
橋本伸也『記憶の政治―ヨーロッパの歴史認識紛争』(岩波書店 2016年)
丸山直起『ホロコーストとアメリカ』(みすず書房 2018年)
吉田徹『アフター・リベラル―怒りと憎悪の政治』(講談社現代新書 2020年)
ハンナ・アーレント『エルサレムのアイヒマン(新版)』(みすず書房 2017年)
エリ・ヴィーゼル(村上光彦訳)『そしてすべての川は海へ』(朝日新聞社 1995年)
エリ・ヴィーゼル(村上光彦他訳)『しかし海は満ちることなく』(朝日新聞社 1999年)
ハワード・モーリー・サッカー(滝川義人訳)『アメリカに生きるユダヤ人の歴史(下巻)』(明石書店 2020年)
トム ・セゲフ『七番目の百万人: イスラエル人とホロコースト』(ミネルヴァ書房 2013年)
ノーマン・G. フィンケルスタイン (立木 勝 訳)『ホロコースト産業―同胞の苦しみを「売り物」にするユダヤ人エリートたち』(三交社 2004)
リチャード・ブライトマン『封印されたホロコースト』(大月書店 2000年)
マイケル・R・マラス『 ホロコーストに教訓はあるか: ホロコースト研究の軌跡』(えにし書房 2017年)
キャロル・リトナー編(滝川義人訳)『ホロコーストの記憶―エリ・ヴィーゼルが問うもの』(サイマル出版社 1990年)
Flanzbaum, Helene (ed.), Americanization of the Holocaust, The John Hopkins UP 1999.
Lipstadt, Deborah E., Holocaust. An American Understanding, Rutgers UP 2016.
Novick, Peter, The Holocaust in American Life, Mariner Books 1999.
Trachtenberg, Barry, The United States and the Nazi Holocaust, Bloomsbury 2018.