科目ナンバー

PS-IF2-SM01

履修条件・関連科目等

以下を履修の条件とします。
１．講義「入門・社会倫理学」「入門・哲学」「社会倫理学」「社会思想」を並行して履修すること（またはすでに履修済みであること。）
２．各学期末のレポート並びに卒業論文を執筆する意欲があること。
３．アルバイト・サークル・就活などよりも、ゼミおよびゼミの課外活動（春のプレゼミ・夏の合宿など）を優先できること。

授業で使用する言語

日本語

授業で使用する言語（その他の言語）

授業の概要

このゼミでは、哲学・倫理学・社会思想などの観点から、現代社会の諸問題について考えます。2年次「専門演習」では、哲学・倫理学・社会思想の基本的な考え方と専門的なテクストの読み方を学びます。3・4年次「事例研究・卒業研究」では、さらに専門的なテキストを輪読したり、各自で研究テーマを決めて、毎学期《リサーチ（調査）→プレゼンテーション（発表）→ディスカッション（議論）→レポート（小論文）》というサイクルを繰り返し、最終的に卒業論文を完成させます。例年ゼミ生は6〜8名程度です。FLPとの掛け持ちも認めます（例年数名います。）

●2025年度の2年次「専門演習」
倫理学・社会思想のさまざまな古典（抜粋）を輪読しながら、講義「社会倫理学」（2025年度新設）と講義「社会思想」の内容を掘り下げていきます。輪読するテクスト（抜粋）は、社会的不平等、個人主義、公共と言論、社会正義、ケア問題、ジェンダー、自殺、社交、精神分析、権威主義・全体主義などの観点から、個人の自由について論じたものです。輪読を通じて、「自由」を糸口に近・現代社会の基本的な構造と問題について考えていきます。

1年間で9本のテクスト（抜粋）を輪読する予定ですが、①担当者がテクストのレジュメを作成し内容を紹介する→②教員が補足・解説する→③みんなで話し合うというサイクルで、3〜4週間かけて１本のテクスト（抜粋）を扱います。また、夏休みには合宿を実施して教科書『ジェンダーで学ぶ社会学』を輪読します。

●ゼミの方針
このゼミでは、学生の自主性（積極的な態度）が重要となります。もちろん哲学・思想のテクストは内容が抽象的で難解なものも多いので、2年次「専門演習」では、教員が補足・解説を行いますが、学生がテクストについて話し合いながら内容を深めていき、文章にまとめることが大切です。そのため、ゼミの時間以外にも、自宅でテクストや文献を読み込んだり、小レポートや期末レポートを書いたりする時間が必要です。したがって「自分で読む時間がない・読みたくない」「文章を書くの苦手だ」「授業時間だけで完結したい」といった学生には、このゼミは向きません。読むこと、自分で・みんなで考えること、それを文章にまとめること、以上３点が重要となります（上手くできなくても、あきらめずに頑張る姿勢が大切です。）

●最近のゼミ生・卒業生の研究テーマ
3年次までにテーマを決め、3〜4年次の2年間で卒業論文を完成させます。最近のゼミ生・卒業生の研究テーマは以下の通りです。
・「開発経済と倫理」
・「日本における動物愛護」
・「精神分析と教育」
・「カール・ロジャースのカウンセリング論（エンカウンター・グループ）」
・「社会における倫理的な合意形成はいかにして可能か」
・「死を受け入れるために必要な命の捉え方とそれがもたらす効果とは」
・「成熟した愛とは具体的にどのようなものか」
・「教育学における物語論的転回を語り直すために」
・「道徳観の対立からヤングケアラーの声を聞き取るｰｰカントの道徳哲学とノディングズのケア倫理から」
・「音楽の哲学的価値とメタルバンド文化における鑑賞」
・「児童中心主義の現代教育への応用とその実践ｰｰデューイの思想とサドベリーバレースクールを事例として」
・「ショーペンハウアーとデュルケームから考える自殺対策」
・「ホッブス『リヴァイアサン』から検討する殺人・死刑について」
・「アニメから読み解く現実世界のジェンダー差別」
・「インクルーシブな社会の実現に向けた課題の考察ｰｰ女性障がい者の視点から」
・「ヌスバウムのケイパビリティ・アプローチは日本における非正規雇用の女性貧困問題解決へとつながるか」
・「フランスにおけるヴェール論争」

科目目的

総合政策学部のディプロマ・ポリシーに基づき、社会・文化政策とその問題点を思想・哲学の観点から考察することを通じて、「さまざまな観点から社会現象を解明する能力」と「多様な異文化を理解・受容できる包容力」の習得をめざします。

到達目標

科目の目的に基づいて、以下の二点を到達目標とします。
（１）哲学・思想に関する抽象的な理論を（批判的に）理解できる。
（２）理論を応用して、社会・文化政策とその問題を分析できる。

授業計画と内容

ゼミ形式の授業ですので、参加者の人数、理解度、興味関心に応じて、授業計画は変更することがあります。

●前期
（１）人間の自由と社会の不平等（ルソーの不平等起源論）
第01回　テクストの輪読と教員の解説①
第02回　テクストの輪読と教員の解説②　
第03回　議論とまとめ

（２）個人の自由はどこまで認められるべきか？（ミルの功利主義）
第04回　テクストの輪読と教員の解説①
第05回　テクストの輪読と教員の解説②　
第06回　議論とまとめ

（３）公共と言論の自由について考える（カントの啓蒙論）
第07回　テクストの輪読と教員の解説①
第08回　テクストの輪読と教員の解説②　
第09回　議論とまとめ

（４）社会正義（フェア）と自由主義社会の構想（ロールズの正義論）
第10回　テクストの輪読と教員の解説①
第11回　テクストの輪読と教員の解説②　

（５）「ケア」問題から自由を問い直す（キティのフェミニズム）
第12回　テクストの輪読と教員の解説①
第13回　テクストの輪読と教員の解説②　
第14回　議論とまとめ

●夏合宿
・『ジェンダーで学ぶ社会学』の輪読

●後期
（６）個人の自由と自殺の関係（デュルケームの自殺論）
第01回　テクストの輪読と教員の解説①
第02回　テクストの輪読と教員の解説②　　
第03回　議論とまとめ

（７）人々の結びつきの自由と「社交」（ジンメルの社会学）
第04回　テクストの輪読と教員の解説①
第05回　テクストの輪読と教員の解説②　　
第06回　議論とまとめ

（８）精神分析と「自我」（フロイトのエロース論）
第07回　テクストの輪読と教員の解説①
第08回　テクストの輪読と教員の解説②　　
第09回　テクストの輪読と教員の解説③
第10回　議論とまとめ

（９）人はなぜ自由から逃走するのか？（フロムの権威主義分析）　
第11回　テクストの輪読と教員の解説①
第12回　テクストの輪読と教員の解説②　　
第13回　テクストの輪読と教員の解説③
第14回　議論とまとめ

授業時間外の学修の内容

指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと／授業終了後の課題提出／その他

授業時間外の学修の内容（その他の内容等）

講読するテキストについて、授業時間外に毎回、簡単な小レポート（A4で１〜２枚程度）を作成し、授業前日の21時までにmanabaで提出することを義務づけます。講読箇所の要約と自らの問題提起が小レポートの課題です。

なお、夏休み・春休みに数日の課外活動（合宿・プレゼミ）を行います。日時や実施形態については、学生の意見を聞きながら決めたいと思いますが、履修条件にも挙げたように、サークル・アルバイト・就活よりも優先してください。

授業時間外の学修に必要な時間数／週

毎週１回の授業が半期（前期または後期）または通年で完結するもの。１週間あたり４時間の学修を基本とします。
毎週２回の授業が半期（前期または後期）で完結するもの。１週間あたり８時間の学修を基本とします。

成績評価の方法・基準

成績評価の方法・基準（備考）

ゼミ形式の授業ですので、以下の場合には（他の評点のいかんに関わらず）Ｅ判定（不可）とします。①出席が不良の場合、②課題物の提出が不良の場合、③期末レポートが未提出の場合。

課題や試験のフィードバック方法

授業時間内で講評・解説の時間を設ける

課題や試験のフィードバック方法（その他の内容等）

アクティブ・ラーニングの実施内容

ディスカッション、ディベート／グループワーク

アクティブ・ラーニングの実施内容（その他の内容等）

授業におけるICTの活用方法

実施しない

授業におけるICTの活用方法（その他の内容等）

実務経験のある教員による授業

いいえ

【実務経験有の場合】実務経験の内容

【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容

テキスト・参考文献等

●以下のテクストの抜粋を輪読します（各自で購入する必要はありません。）
・ルソー『人間不平等起源論』中山元訳，光文社（古典新訳文庫），2008年
・ミル『自由論』関口正司訳，岩波書店（岩波文庫），2020年
・カント『永遠平和のために/啓蒙とは何か』中山元訳，光文社（古典新訳文庫），2006年
・ロールズ『公正としての正義 再説』田中成明他訳，岩波書店（岩波現代文庫），2020年
・エヴァ・フェダー・キティ『愛の労働あるいは依存とケアの正義論（新装版）』岡野八代他訳，現代書館，2023年
・デュルケーム『自殺論』宮島喬訳，中央公論新社（中公文庫），2018年
・ジンメル『社会学の根本問題』清水幾太郎訳，岩波書店（岩波文庫），1979年
・フロイト『エロス論集』中山元訳，筑摩書房（ちくま学芸文庫），1997年
・フロム『自由からの逃走（新版）』日高六郎訳，東京創元社，1952年

●以下のテクストを合宿で使用する予定です（購入についてはゼミ開始後に詳しく指示します。）
・伊藤公雄・牟田和恵編『ジェンダーで学ぶ社会学（全訂新版）』世界思想社，2015年

その他特記事項

参考URL