シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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専門総合講座A1 自治型社会の課題1 | 2025 | 春学期 | 土3 | 法学部 | 石川 貴美子、礒崎 初仁、卜部 直也、岡田 実、東川 直史、山田 修 | イシカワ キミコ、イソザキ ハツヒト、ウラベ ナオヤ、オカダ ミノル、ヒガシカワ ナオブミ、ヤマダ オサム | 1・2年次配当 | 2 |
科目ナンバー
JU-OL1-025L
履修条件・関連科目等
専門総合講座A1「自治型社会の課題2」(秋学期)との通年履修が望ましい。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
地方分権の推進、市民活動の充実を背景として、自治体及び地域社会の役割は拡大している。また人口減少、少子高齢化等を踏まえて、地方創生(まち・ひと・しごと創生)の取組みも進められている。本講義は、こうした状況を踏まえ、自治体の制度や都市政策の枠組みを理解するとともに、課題の解決に向けた政策や自治体の実践課題を考えることを目的とする。
本講義では、自治体現場で活躍されている現職・元職の実務家6人を兼任教員に迎え、地方自治を研究する専任教員1人も加わって、地域自治の課題について順に講義を進める(オムニバス形式)。都市の政策や制度について、各分野に詳しい教員が現場の実態に即して分かりやすく概説するとともに、課題解決に向けた市民や自治体の実践例を紹介していく。
また授業では、毎回、講義の内容を踏まえて、具体的な設例を提示し、履修生同士でその解決策を考える「ミニ・ワークショップ」を行うとともに、講義の内容に関する質問や感想について、responに回答してもらう予定である(これをもって出席として扱う)。こうした双方向のやりとりによって、楽しく受講しながら考える時間を持つよう配慮する。
さらに、楽しみながら地域の問題を感じとるため、野外授業として「まち歩きワークショップ」(茗荷谷周辺、1時間程度)を行う予定である。
最後に、講義で取り上げた政策課題に関して自ら調査し、レポートを書いてもらう。レポートを書くことは、何より問題を深く考えるよいトレーニングになる。これが成績評価につながるので、自らの問題意識や工夫を生かして「力作」を書いてほしい。
科目目的
本講義(春学期)は、自治体を支える制度を説明したうえで、主な政策分野の仕組みや実態を概観する。講義は、各分野の実務経験をもつ講師が、制度・政策の基本的な内容をわかりやすく説明するとともに、実際に自治体が抱えている課題とそれに対する対応を、最新の情報に基づいて解説する。これによって、履修生が地域の問題に関心を持ち、法学・政治学の理論を社会の現実に適用し、自ら解決策を考える力を獲得することを目標とする。政治学、政策学、行政法、憲法等の理論は、具体的な課題に適用してはじめて理解できるものである。地域の現実に根ざした本講義は、こうした科目の学修を深めるためにも役立つはずである。
また、本講義では、具体的事例について解決策を考えるミニ・ワークショップや、リアクションペーパーの提出など、双方向のやりとりを行うことによって、自らの考えをまとめ明確にする力の養成にもつなげたいと考えている。
さらに、将来、公務員を希望している学生には、実務家教員を中心とする本講義は有意義であり、公務員試験(特に面接試験、論文試験)の対策にも寄与すると考えられる。
到達目標
この授業では、履修者は、地方自治に関する基本的な仕組みを正確に理解すること、地方分権改革や地方創生(まち・ひと・しごと創生)など地域社会の課題や変動を動態的に把握することが求められる。また、毎回の具体的なケース(ミニ・ワークショップ)の中で、住民の苦情や要望にどう応え、合意形成を図るべきかについて、自らの意見を持ち、論理的に説明する力を身につけることを目標とする。
授業計画と内容
※以下は2024年度の各回のテーマである。2025年度はこれを基本にしつつ、よりタイムリーな内容にする予定である。正式には第1回授業で開示する。
1 公開セミナー「公務員ってなに?」&ガイダンス
2 自治型社会とは-農村と都市、対立から、参加、協働、自治へ
3 地方創生
4 都市計画と自治型社会-都市計画の基本とまちの課題
5 都市景観を考える-美の条例
6 まち歩きワークショップin茗荷谷
7 地域公共交通の活性化-検討プロセスと教訓
8 自治体の機構-二層制と二元代表制
9 自治体職員の世界-公務員制度と人材育成
10 自治体の財政運営(1)-財政の制度と予算
11 自治体の財政運営(2)-予算の執行過程
※レポート課題提示(これ以降の授業も課題の対象となる)
12 東京都庁-都市の課題と政策形成、職員の話
13 超高齢社会への挑戦―地域包括ケアを考える
14 障がい者支援と地域共生社会
※7月下旬 レポート提出期限
授業時間外の学修の内容
その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業の各テーマについて、事前又は事後に新聞記事、ネット等で情報を獲得しながら学修を進めることが望ましい。また、日頃から自治体や地域社会に関するニュース等に関心を持つようにしてほしい。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 70 | 授業の内容にを踏まえたテーマ(選択式)について提出されたレポートの評点を基本として評価する。 |
その他 | 30 | 毎回の出席・参加状況(原則としてresponへの回答によって把握)を確認し、それを加味して成績を評価する。 |
成績評価の方法・基準(備考)
1 レポートについて
6月下旬に提示するレポート課題(講義の内容に関連するテーマを6つ程度提示)の中から、履修生が選択した課題について、レポート(2,500字程度)を書き、授業終了後の1週間後を期限として提出してもらう。その評点を70点満点で評価する。ネット情報や生成A等に依存せず、自らヒアリング等の調査を行ったり、自らの意見や提言を論理的に記述していることを重視・評価する。なお、授業の初回に「レポートの書き方」を配布する。
※生成AIの浸透等を踏まえて、「期末試験」方式(決められた時間帯に上記と同様の課題を提示し、選択して回答する方式。記憶力よりも考える力を問う)とする可能性がある。第1回授業時に提示する。
2 その他(出席参加点)について
毎回、最後にresponへの回答によって出席を確認するとともに、ミニ・ワークショップ等への参加度を確認し、その状況を30点満点で評価する。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
グループワーク/実習、フィールドワーク
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
講義の中で、関連する問題事例(実際に自治体で生じた事例等)を提示し、解決案を検討するミニ・ワークショップ(周りの学生とグループになって検討し、その結果を発表、10分程度)を行う予定である。
また毎回、responに授業の内容に関係する設問を設定し、各自の意見等を回答してもらう。その状況を成績評価に加味する。
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
講義の中でrespon等に回答してもらい、教材とすることがある。
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
・主任教員(専任教員1人):都道府県の職員(事務職)として17年間の実務経験(1985~2001年度)がある。担当分野は、農地転用規制、土地政策、介護保険、市町村行政指導など。土地利用関係の独自条例の制定を担当した経験もある。これらを生かして都道府県と市町村などの制度論や、自治体の政策形成などの総論を担当する。
・A講師:政令指定都市の職員(事務職)として、38年間、税務、総合企画、都市計画、港湾経営、危機管理、地域振興、資産管理など基礎自治体ならではの多様な実務を担当した。住民参加、住民自治のまちづくりの実践論について学生と一緒に考えたい。
・B講師:都道府県の職員(技術職。後に事務職に転向)として30年間、都市の交通や緑化、公害規制や気候変動対策ほかに関する計画・制度運用に携わった。新施策実現に向けた実務のリアルや社会への貢献の意義を学生に伝え、未来を考えるきっかけとなる講義にしたい。
・C講師:町の職員として、10年間、都市計画課等で景観行政(デザインコードの運用等)を担当。その後、政策推進課等にて総合計画・行政改革の策定、地方創生や移住推進、サテライトオフィス誘致やシェアリングエコノミー、空き家利活用、DIYの公園作り直し等、様々な公民連携事業等を担当し、2023年4月より福祉分野に異動となり子育て支援・保健・障がい者福祉等を担当。移住者としても、港町の暮らしを満喫中。「ローカルから未来をつくる」楽しさを感じる授業を皆でつくります。
・D講師:市の職員(保健師)として38年間、公衆衛生、母子・成人・地域保健、高齢・障害福祉、介護保険等の業務に携わった。新制度や制度改正に伴う新規事業の立ち上げや地域住民の健康や生活を守るためのまちづくりに向けて取り組んだ。事業企画、地域づくり、関係機関・団体との連携によるネットワーク構築などの実践論について学生と一緒に考えたい。
・E講師:都道府県職員(事務職)として、30年以上の実務経験あり。課税、環境条例の改廃、自然保護、保健福祉、水道事業経営、議会事務局などを担当した経験から、政策の立案と実施における多面的な地方政府の活動や、そこでの職員としての働きがいを考えていく講義を目指す。
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
6人の担当教員が、それぞれの実務経験に根ざしたテーマについて、講義を行う。すなわち、それぞれのテーマについて制度、現状等の概要を説明したうえで、実務が直面している課題や事例を知り上げ、参加者にもミニ・ワークショップ(+responへの回答)を通じて考えてもらう。
テキスト・参考文献等
全体に関する参考書は、次のとおりである。(各テーマごとの参考文献は、授業の中で指定する。)
・自治体活性化研究会編『自治体職員かく生きる』生活福祉研究機構、2019年
・現代都市政策研究会編『ケースで学ぶ議会・議員対応のきほん: こうしておさえる自治体政策実現の勘所』公職研、2022年
・礒崎初仁・金井利之・伊藤正次『新版 ホーンブック地方自治(第2版)』北樹出版、2025年
・佐々木信夫『都知事-権力と都政』中公新書、2011年
・西尾勝『自治・分権再考-地方自治を志す人々へ』ぎょうせい、2013年
・曽我謙悟『日本の地方政府-1700自治体の実態と課題』中公新書、2019年
その他特記事項
この授業に引き続き、「自治型社会の課題2」(秋学期)も継続履修することが望ましい。また、地方政府論、ガバナンス論、政治学、行政学、政策学、行政法等の学修(理論的学習)と合わせて履修すると、理解を深めることができる。