シラバス
| 授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 文化論B2 | 2026 | 秋学期 | 金2 | 法学部 | 下出 宣子 | シモイデ ノブコ | 3・4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
JU-HO3-004L
履修条件・関連科目等
中国への関心の深浅、また自分の専攻分野が中国に直接関係するか否かに関わりなく、多くの学生に履修してほしい。中国映画を鑑賞し、作品を通して中国の歴史、文化、社会について解説するが、とくに中国語等の学習歴があることを必要としない。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
今年度秋学期は、1980年代の台湾「ニューウェーブ」を牽引した3人の監督の作品を選び、鑑賞する。
台湾は、日清戦争の清国の敗戦により日本に割譲され、50年間日本の支配下に置かれた。1945年に日本は敗戦により台湾から撤退し、国民党政府の支配下にはいる。国共内戦の末、1949年10月に中国共産党が中華人民共和国を樹立すると、国民党政府は台北に遷都し、東西冷戦下でアメリカの援助を受け、台湾を統治してきた。共産党、国民党は長年それぞれ「一つの中国」を標榜し、国民党は「大陸反攻」を掲げ、1960年代までは断続的に台湾海峡上で双方の戦闘機が攻防を繰り返していた。実は国共内戦は正式な停戦協定が結ばれておらず、時の経過とともに事実上うやむやになってきただけである。
台湾「ニューウェーブ」と称される作品には、1987年に戒厳令が解除されるまでなかなか語ることができなかった日中戦争・第二次大戦終戦から1950年代の台湾における混乱と矛盾、国民党支配下で起きた問題を描いたものも多い。今学期はその中から、3人の監督の4作品を取り上げて鑑賞したい。侯孝賢監督『童年往時』(1985)は、父の転任に伴って広東省から台湾に移り住んだ家族の生活を、幼少期から高校時代までの自らの経験をもとに描く。同監督の『悲情城市』(89)は、1947年の「二二八事件」をはじめとする台湾本省人と戦後に大陸から台湾に移ってきた外省人の対立や国民政府による思想弾圧などを背景に盛り込みつつ、終戦から1949年までの本省人一家の辿った運命を描いた作品である。王童監督『パイナップル・パラダイス』(89)は、1949年に国民党軍にもぐり込み中国華北から台湾に渡った青年の数奇な運命をユーモアあふれるエピソードと奇想天外な展開で描き、戦後台湾史を辿る。エドワード・ヤン(楊徳昌)『クーリンチエ少年殺人事件』(91)は、1960年代の台湾で実際に起きた少年の殺人事件をもとに、ひとりの少年の恋愛を軸に、公務員や教員の子弟グループと軍人の子弟グループの抗争を通して、外省人の中の不安や矛盾を描き出す。
昨今は、中国と台湾の政治的・軍事的緊張が増しているが、これらの作品を通して、その対立の歴史的背景、中国・台湾の文化や社会、また、そこに生きる人々の生活や感情を理解する一方、逆にそれを知ることにより、作品そのものをいっそう深く味わうことができるようにしたい。さらに、私たちの社会や私たち自身が内に抱える問題についても考えるきっかけとなることを願う。
受講者から出される感想や質問を取り入れながら授業を進める。受講者は、自分の現在属している社会や集団の価値観が絶対的なものではないことを知り、他者を理解する想像力の幅を広げていってほしい。必ずしも観やすい(理解が容易な)作品ばかりではないが、きっと得るものはあると思います。
科目目的
中国・台湾の文化や社会、日本とは異なる価値観について理解を深める。
到達目標
1.作品の内容をきちんとまとめ、自分なりの興味や問題点を見出す
2.他の受講生の感想や意見を読んだり、授業を通して作品についての理解を深める
3.作品を理解することを通して、中国や台湾の歴史や文化への理解を深め、さらに自分なりの問題意識をもち、それについて考察する
授業計画と内容
第1回 ガイダンス+王童『村と爆弾』(1987年) 日本統治下の台湾を垣間見る
第2回 『童年往時 時の流れ』(侯孝賢監督、85年)① 侯孝賢監督について・台湾における複数の言語
第3回 『童年往時 時の流れ』② 世代によるアイデンティティの相違
第4回 『童年往時 時の流れ』③ 作品解説とディスカッション
第5回 『悲情城市』(侯孝賢監督、87年)① 本省人と外省人の対立
第6回 『悲情城市』② 「二二八事件」と「白色テロ」
第7回 『悲情城市』③ 作品解説とディスカッション
第8回 『パイナップル・パラダイス』(王童監督)① 王童監督について
第9回 『パイナップル・パラダイス』② 1960年代半ば以降の台湾の経済発展
第10回 『パイナップル・パラダイス』③ 作品解説とディスカッション
第11回 『クーリンチエ少年殺人事件』(エドワード・ヤン監督、91年)① 外省人の中の格差
第12回 『クーリンチエ少年殺人事件』② 戦後台湾とアメリカの影響
第13回 『クーリンチエ少年殺人事件』③ エドワード・ヤン監督について
第14回 『クーリンチエ少年殺人事件』 ③ 作品解説とディスカッション
*授業の進行状況などにより、変更が生ずることもある。
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
中国現代史に関する書物を読んだり、現在の中国の社会状況に関するニュースに関心をもって情報を得ておくこと。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
| 種別 | 割合(%) | 評価基準 |
|---|---|---|
| レポート | 50 | 授業を通して、自分なりの問題意識を持てたかどうか、またそれについて考察し得ているかどうか |
| 平常点 | 50 | 作品の内容を理解し的確にまとめているかどうか、また、自分なりの興味や問題点を見出しているかどうか *各回の授業ごとに簡単なリアクションペーパー、作品ごとに小レポートを提出 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート/その他
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
リアクションペーパーや小レポートの内容を授業の中でフィードバックしクラスで共有する。またそれをディスカッションに活用する。
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキストは特になし。参考文献は授業時または授業の前後に紹介する。また授業で用いる資料は授業の前後にmanabaに掲載する。