中央大学

シラバスデータベース|2025年度版

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ホーム > 講義詳細:イスラーム前近代史

シラバス

授業科目名 年度 学期 開講曜日・時限 学部・研究科など 担当教員 教員カナ氏名 配当年次 単位数
イスラーム前近代史 2025 前期 水2 文学部 末野 孝典 スエノ タカノリ 2~4年次配当 2

科目ナンバー

LE-OH2-G207

履修条件・関連科目等

授業で使用する言語

日本語

授業で使用する言語(その他の言語)

授業の概要

この授業では、前近代におけるイスラームの歴史をより深く理解することを目指します。前近代のイスラーム世界は時間的にも地理的にも極めて広大であるため、以下のような4つのトピックを設定して解説します。

(1)イスラームの誕生
まずはじめに、預言者ムハンマドに啓示が下される以前/以後のアラビア半島社会の歴史状況について確認し、ムハンマドが生涯をかけて築き上げたウンマ=共同体が分裂して以降の政治的動乱からアッバース朝革命までの歴史を扱います。

(2)学知の形成と発展
続いて、イスラーム古典期(ここでは8世紀から10世紀末までを射程とする)において学知がどのように形成され発展きたのかについて説明します。言うまでもなく、イスラームに係わる知識が書物の形式で伝わるようになる以前は、口承によって知識が伝達されていたわけですが、そこには「口伝」と「書伝」のあいだにある複雑な緊張関係がありました。後代に知を伝達する手段として「書伝」が有力になった歴史的プロセスを辿りながら、おもにハディース学とイスラーム法学について解説したいと思います。

(3)スーフィズムの成立と拡大
ここでは、スーフィズム(アラビア語原文だとタサウウフ)がどのような歴史を歩んできたのかについて解説します。受講者にとってあまり馴染みのない分野だと思われるので、基本事項についても確認しますが、特にイスラーム思想史上、最大の師とも称されるイブン・アラビーとその後継者たちの神秘主義思想(存在一性論や完全人間論など)を解説することに重きを置きます。近年、世界的にも盛り上がりを見せている文字論についての考え方も紹介します。

(4)辺境のイスラーム
最後のトピックでは、中東から西アフリカに舞台を移し、当該地域におけるイスラームの歴史的展開について説明します。具体的に言えば、サハラ沙漠以北と以南のヒト・モノ・カネをつなぐサハラ縦断交易を取り上げたり、この地域で歴史叙述が生まれた政治的動機についてなどを解説します。中東と異なる地域のイスラーム史を学ぶことで、比較の視座を養うことも目指します。

科目目的

イスラーム史を学ぶうえで欠かすことのできない史料に関する専門的な知識を身につけるとともに、歴史事象を考察するための視野を培うことを目的とします。また4年次に執筆する卒業論文のためにテーマを探る手掛かりを附与することも目指します。

到達目標

1. 前近代のイスラーム世界の歴史的展開を大まかに説明できる。
2. イスラーム史を扱ううえでの史料的問題について説明できる。
3. 前近代イスラーム史における研究テーマを先行研究を踏まえて見つけ出すことができる。
4. 自らが設定した研究テーマに対して史料や先行研究を踏まえながら、自らの見解を論じることができる。

授業計画と内容

第1回 イントロダクション
第2回 イスラームの誕生①:イスラーム以前と以後のアラブ社会
第3回 イスラームの誕生②:聖典クルアーンの世界観
第4回 イスラームの誕生③:アラブ帝国からイスラーム帝国へ
第5回 学知の形成と発展①:タスニーフ運動と書式の発達
第6回 学知の形成と発展②:ハディースと法学派
第7回 スーフィズムの成立と拡大①:禁欲主義から神秘主義へ
第8回 スーフィズムの成立と拡大②:スーフィー教団と聖者信仰
第9回 スーフィズムの成立と拡大③:イブン・アラビーとその後継者たち
第10回 スーフィズムの成立と拡大④:文字神秘主義
第11回 辺境のイスラーム①:サハラ縦断交易と諸王国の興隆
第12回 辺境のイスラーム②:歴史ジャンルの登場と歴史叙述の諸特徴
第13回 辺境のイスラーム③:ジハード運動とイスラームの拡大
第14回 総括・まとめ

授業時間外の学修の内容

指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと

授業時間外の学修の内容(その他の内容等)

授業時間外の学修に必要な時間数/週

・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。

成績評価の方法・基準

種別 割合(%) 評価基準
レポート 80 中間レポートと学期末のレポート課題により、全体の到達度について評価します。なお学期末レポートの字数は2000~3000字程度を予定しています。
平常点 20 授業への参加・貢献度、受講態度(意見の表明、他の学生と協調して学ぶ態度等)の状況を基準とします。

成績評価の方法・基準(備考)

本講義の成績評価方法については初回の授業で詳しくアナウンスする予定です。
とりあえず現時点の案としては、レポート課題を二回提出して頂こうと考えています。
中間レポートは参考文献リスト、学期末レポートは学生自らが選択したテーマに基づいたレポートを提出して貰おうと思っています。

課題や試験のフィードバック方法

授業時間内で講評・解説の時間を設ける

課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)

アクティブ・ラーニングの実施内容

実施しない

アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)

授業におけるICTの活用方法

実施しない

授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)

実務経験のある教員による授業

いいえ

【実務経験有の場合】実務経験の内容

【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容

テキスト・参考文献等

テクストは使用しない。レジュメを適宜配布します。
ここでは、前近代のイスラーム史の大枠を知るうえで役立つ参考書を幾つか紹介しておきます。 

・アルバート・ホーラーニー(湯川武・阿久津正幸訳)『アラブの人々の歴史』第三書館、2003年。
・井筒俊彦『イスラーム思想史』中央公論新社、2005年。
・小杉泰『イスラーム文明と国家の形成』京都大学出版会、2011年。
・菊地達也『イスラーム教「異端」と「正統」の思想史』講談社、2009年。
・佐藤次高『イスラームの国家と王権』岩波書店、2004年。
・ジョナサン・バーキー(野本晋・太田絵里奈訳)『イスラームの形成:宗教的アイデンティティーと権威の変遷』慶應義塾大学出版会、2013年。

※より詳しい文献案内は授業内で行います。

その他特記事項

特になし

参考URL

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