シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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幾何学2 | 2025 | 後期複数 | 月3,水3 | 理工学部 | 三松 佳彦 | ミツマツ ヨシヒコ | 3年次配当 | 4 |
科目ナンバー
SE-AG3-1B17
履修条件・関連科目等
基礎数学3(距離空間)の理解を前提とする。また、幾何学序論、位相数学の理解は大きくこの講義の助けとなる。数学序論(基礎数学4)で学んだ関数論の線積分もこの分野への一つの重要な動機付けである。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
トポロジー(位相幾何学)と呼ばれる分野の中でも特に代数的トポロジーの入門を講義する。空間に基本群又はホモロジー群と呼ばれる代数系を付随させて空間の特徴を捉える学問である。これまで学んできた数学とは少し異質な印象を持つかもしれない。実際、この分野が発見されたのは、長い数学の歴史の中では極最近(100~150年前)のことである。然し数学の色々の分野に於いて現れる空間の特徴をうまく捉えることができるので、幾何学のみならず解析学・代数学など分野でも基礎の一つと見なされるようになった。
科目目的
連続変形で不変な空間の性質と連続写像を調べる、数学の歴史の中では新しい位相幾何学を学ぶ。
特に、基本群、ホモロジー群、およびホモトピー(写像の連続変形)と空間のホモトピー同値についてのの基礎理論を生部。
The topology, which is a relatively new field in the history of mathematics, studies properties
of spaces which are invariant under continuous deformations as well as continuous maps.
In particular, in this course, a basic theory of fundamental groups, homology groups, homotopy of continuous maps, and homotopy equivalences of spaces.
到達目標
簡単な空間のホモロジー群と基本群、が如何に空間の特徴を現しているかを理解すること。特に、これらの事柄の絵が書けるようになること。更に、簡単な空間のホモロジー群、基本群を計算すること。(ここでの簡単な空間とは、曲線、曲面と、それを若干一般化した1次元、2次元の空間を指す。)
授業計画と内容
講義:
第 1回 導入:幾何とトポロジー、微分幾何と位相幾何について
第 2回 平面曲線の回転数、空間の持つ穴について
第 3回 複素関数論の線積分による曲線の回転数
第 4回 回転数の定義と基本例
第 5回 回転数のホモトピー不変性
第 6回 写像のホモトピー、空間のホモトピー同値
第 7回 レトラクトと変位レトラクト
第 8回 位相空間の基本群
第 9回 基本群の性質
第10回 レトラクトと基本群
第11回 円周の基本群
第12回 色々な空間の基本群
第13回 基本群の応用-1(レトラクトと Brouwer の不動点定理)
第14回 基本群の応用-2(代数学の基本定理、Frobenius の定理)
第15回 単体的複体の概念についての基礎
第16回 オイラーの多面体定理
第17回 単体的複体の稜道群
第18回 単体近似定理
第19回 単体的複体の稜道群と基本群
第20回 単体的複体のホモロジー群
第21回 ホモロジー群の計算
第22回 ホモロジー群とオイラー数
第23回 グラフと樹木
第24回 グラフのホモロジー群とオイラー数
第25回 グラフの極大樹木
第26回 グラフの基本群
第27回 ホモロジー理論とオイラー数の発展
第28回 到達度確認及びまとめ
演習:
配布する演習問題と講義中に出題する問題を講義の進展にあわせて予め解いておき、授業では各自がそれを発表し、それについて討論する。また、必要に応じ、理解度を確かめるための小テストを行う。
授業時間外の学修の内容
授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
現代数学の中でも位相幾何学は、歴史の比較的浅いが、概念の定式化が困難であったためである。従って、多くの「定義」を丁寧に復習し、演習問題に積極的にこなしていくことが重要である。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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中間試験 | 35 | 幾何学的対象の理解、位相幾何の理論の基礎の理解 |
期末試験(到達度確認) | 50 | 幾何学的対象の理解、位相幾何の理論の理解 |
レポート | 5 | 幾何学的対象の理解・記述、位相幾何の理論の理解 |
平常点 | 10 | 幾何学的対象の理解・記述、位相幾何の理論の理解 |
成績評価の方法・基準(備考)
中間テスト(35%)、期末試験(50%)、演習での発表および小テスト(10%)、レポート(5%)で評価する。特に、演習問題の発表は必ずポジティブに評価する。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
教科書:I. M. シンガー・J. A. ソープ著 「トポロジーと幾何学入門」(培風館 2,900円)
参考書:松本 幸夫 著 「トポロジー入門」(岩波書店 4,700円)
小島 定吉 著 「トポロジー入門」共立講座 21世紀の数学7(共立出版 3,000円)
加藤 十吉 著 「位相幾何学」(裳華房 数学シリーズ 3,990円)
枡田 幹也 著 「代数的トポロジー」 朝倉書店 講座 数学の考え方 15