シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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生徒指導と特別活動 | 2025 | 前期 | 金5 | 理工学部 | 中條 克俊 | チュウジョウ カツトシ | 2年次配当 | 2 |
科目ナンバー
QC-TC2-C203
履修条件・関連科目等
学生の誰もが通過してきている、小中高における特別活動の指導や生徒指導の経験・既有知識を自分なりに整理しておくこと。また、教職課程の学びとして、広く学習指導要領と生徒指導提要の趣旨や教育学の学習内容に関心を持って実践しようとする意欲を持ってほしい。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
生徒指導と特別活動とを関連させながら、これらの理論と課題への支援方法について、実践的に学習していく。また、外部の学校・機関、地域社会の住民などと連携しつつ「チームとしての学校」として指導を進めるために必要な知識や技能を学んでいく。
科目目的
この科目は、教職課程の科目として、組織的に生徒指導を進めていくために必要な知識・技能を身に付けるとともに、特別活動の特質を踏まえた組織的な対応等の指導に必要な知識や素養を身に付けることを目的とする。
到達目標
生徒指導は、生徒一人一人の人格を尊重し、個性の伸長をはかりながら、社会的資質や行動力を高めること(『生徒指導提要』2010年)をめざして教育活動全体の中で行われる重要な教育活動である。また、特別活動は、学校でのさまざまな集団活動によって、教育課程の全体にわたって、課題の発見や解決を生徒自らの力で行うものである。これらを踏まえて、生徒指導と特別活動とを関連付けて学習していく。
授業計画と内容
第1回:子どもの社会的形成と学校の教育課程に沿った指導
第2回:「生徒指導」概念の成立と集団・個別指導の実践
第3回:指導の組織的条件と「チームとしての学校」の実践
第4回:「特別活動」の目標と指導方法の理解
第5回:学級生活における集団づくりと生徒指導・特別活動の実践
第6回:課題生徒の個別指導課題と教育相談体制・特別活動実践との関連
第7回:いじめ問題の出現と学級活動の指導
第8回:教科横断的な生徒指導・特別活動の有効性
第9回:不登校問題の問いかけとエンカウンターの実践
第10回:非行問題から考える特別活動の等による「絆づくり」の必要性
第11回:部活動の体罰問題と教師のコンプライアンス
第12回:学級活動・生徒会活動・学校行事を活かした児童生徒理解
第13回:外部の支援ネットワークと指導の課題
第14回:生徒の学級活動・生徒会活動と居場所としての学校づくり
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出/その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
(1)講義内容を振り返り、理解不十分と思われる項目または用語を確認すること。
(2)社会情勢に敏感に反応し、新聞記事、インターネット等を活用して積極的に情報を収集・分析して、現
代の教育事情を把握すること。
(3)社会的視野を広げるために、教職課程に関する文献、資料を読むこと。
(4)博物館、美術館等での文化財鑑賞並びに内外の映画鑑賞を通して、文化的素養を高めること。
(5)教育に関する研究会に積極的に参加し、研究者・現場の先生方から多くを学ぶこと。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 50 | 与えられた教育テーマと課題図書から学んだことをレポートにまとめ、発表する。基礎知識の習得状況とレポート内容を総合的に判断して評価する。 |
平常点 | 50 | 授業への参加・貢献状況、グループワークの発言内容、毎回のリアクションペーパー、提出する小レポートなどより総合的に判断して評価する。 |
成績評価の方法・基準(備考)
レポート、平常点に加えて、受講生の出席状況も重視して総合的に判断して評価します。全14回の講義出席を望みます。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
PBL(課題解決型学習)/反転授業(教室の中で行う授業学習と課題などの授業外学習を入れ替えた学習形式)/グループワーク/プレゼンテーション/実習、フィールドワーク/その他
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
コメントペーパーの他、授業中常に受講生の質問や意見に応じ、歓迎する。また受講生の状況を見て、意見や議論を求めることがある。
授業におけるICTの活用方法
タブレット端末
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
1981年4月、全国的に「校内暴力の嵐」が吹き荒れる中、36年間の埼玉県公立中学校社会科教員の人生がスタートした。「果てしなき暴力教室」とマスコミで報じられ、「日本一の荒れる学校」とまで言われた埼玉県南部の中学校が講師の教員人生の原点である。毎日深夜にまで及ぶ生徒指導の連続は、描いていた教員生活と現実は大きくかけ離れ、挫折と心機一転巻き返しの繰り返しであった。以後、定年退職するまで、「校内暴力の嵐」から学んだ以下の5点を教訓に現場第一主義(目の前の子どもたちと向き合う)の教員をめざすことになった。
①教師の権威を笠に着た力まかせの指導をしない教育。「理解・共感・一致」を大切にする生徒指導。
②目立たない子どもにこそ目を向け、一人ひとりの子どもたちと向き合う教育。
③子どもと共に学び、個を尊重する集団づくりをめざす教育。
④競争原理に走らず、点数学力以外の学力(生きる力・思考力・判断力・表現力)を育てる教育。
⑤すべての学習は平和学習を追究する教育。暴力の否定・非行克服から始まった平和学習の継続。
教員経験年数を重ねていくうちに、教科主任、研修主任、進路指導主事など責任ある仕事を任され、教員人生の後半は学年主任として学年教員団のまとめ役としてチームワークある教育活動をめざした。
学級活動・生徒会活動・学校行事に専念し、学校づくりに授業づくりにのめり込み、放課後は水泳部顧問として生徒に負けられるかと一緒に泳いだトレーニングという具合に仕事は多種多様であったが、楽しかったから続けることができたといえよう。教師の仕事は「苦あれば楽あり」で、やりがいはある。
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
1981年4月から2017年3月までの36年間を埼玉県公立中学校社会科教員として子どもたちと共に積み上げてきた教育実践と一教員のライフヒストリーを講義でくわしく伝えていきたい。ここでは、講師自身が獲得した体験的教師教育論のポイントを示しておく。
(1)願望としての教師像
①社会派教師 ②授業の達人 ③醒めた熱血教師
(2)教員は職人です―技を盗みクリエイティビティ(独創性)をめざす
①職人気質 ②職人技 ③職人魂
(3)教員はルポ・ライターです―地域を探訪(ルポルタージュ)し教育実践記録を残す(ライター)。
(4)失いたくない教育信念
①教育は人なり ②教えることは学ぶこと ③すべての学習は平和学習
(4)子どもから見た教師論ー子どもが嫌う教師
①不公平な教師(気に入った子だけえこひいきする教師)
②比較する教師(兄弟姉妹、友人そして学力の優劣だけで比較する教師)
③自慢話ばかりする教師(いばってエラソーなことばかりいう教師)
教育は教員の全人格が問われていることを忘れてはならない。子どもたちの尊厳を踏みにじり、自信満々だが中身のない教員の授業は空疎である。一方、子どもたちからも学ぶ姿勢を持つ教員の授業はゆたかである。子どもの今は未熟かもしれないが、「後生畏るべし」である。子どもを見下すのではなくリスペクトして共に学びあう姿勢は教育実践に見事に反映されていく。
講師の実務経験と獲得した教育的理論に基づいた講義をめざし、受講生の意欲と創造性を高めたい。
テキスト・参考文献等
《テキストー事前に購入しておいてください》
『君たちに伝えたい③朝霞、校内暴力の嵐の中から生まれたボクらの平和学習。』(中條克俊著、梨の木舎、2017年)
《参考文献》
授業内で適宜紹介するが、一例として以下の文献の講読を推奨する
『生徒指導提要』(2022年)
『学習指導要領解説特別活動編』(2018年)
その他、適宜授業で紹介します。
文部科学省『生徒指導提要』は各自が入手しておくこと(文部科学省のホームページからpdfファイルとしてダウンロード可)。
学校学習指導要領(平成29年3月告示 文部科学省)
高等学校学習指導要領(平成30年3月告示 文部科学省)
中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 特別活動編(平成29年7月 文部科学省)
高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 特別活動編(平成30年7月 文部科学省)
生徒指導提要(令和4年12月 文部科学省)