シラバス
| 授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 特殊研究3(民事訴訟法) | 2026 | 前期 | 月4 | 法学研究科博士課程後期課程 | 小林 学 | コバヤシ マナブ | 2年次配当 | 2 |
科目ナンバー
JG-OL6-106L
履修条件・関連科目等
日本の裁判制度と民事訴訟手続についてひととおりの理解ができており、諸外国の司法制度に強い関心を有していること。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
民事紛争解決手続とテクノロジーというテーマで比較法的考察を行う。とりわけ、日本のほか、アメリカ、カナダ、イギリス、EU、インドなどに注目する。ITやAIなどの最先端の分野に視線を向けつつも、法原理、法系の相違、さらには、司法へのアクセスといったコンサヴァティヴな法学研究に従事することが狙いである。
科目目的
諸外国の司法制度、とりわけ、英米法諸国の司法制度に対するリサーチ能力(文献読解能力を含む)を涵養するとともに,比較法的研究の基本的方法を修得することを目的とする。
到達目標
博士論文の作成に必要な英文・和文の文献リサーチ能力,比較法学的研究方法、そして、学問的姿勢を身につけること。
授業計画と内容
本科目では、民事紛争解決制度(裁判、ADR、ODRなど)におけるテクノロジーの導入とその影響について、比較法的観点から検討する。とりわけ、アメリカ、カナダ、イギリス、EU、インドなどを対象として、制度設計、規制、運用、倫理的課題、司法へのアクセスへの影響などをリサーチする。そのうえで、比較法的分析を加えて、テクノロジーが民事司法の将来に与える理論的・政策的含意を探究する。
報告者は,英語文献を中心に情報収集したうえで日本語の報告レジュメを作成し,授業時にプレゼンテーションする(これを「課題の報告」という)。なお、報告者は、履修者の人数分の報告レジュメを用意して配布する。その他の履修者も,授業回のテーマについて各自でリサーチをしたうえで、授業において積極的なディスカッションを行う。報告者は、授業における議論を参酌したうえで,報告レジュメを修正し,次回授業の冒頭でその修正版を配付する(これを「課題の提出」という)。
第1回 ガイダンス:民事紛争解決制度とテクノロジーの交差点
・民事紛争解決制度の基本構造(裁判・ADR・ODRなど)
・ テクノロジー導入の進展(電子化、IT化、オンライン化、AI化)
・比較法研究の方法論(機能主義、制度移植、法文化)
第2回 オンライン裁判(Online Courts)の国際的潮流
・オンライン裁判の概念と類型
・英国 Online Court構想
・カナダ BC Civil Resolution Tribunal(CRT)
・アメリカ 州裁判所のオンライン化の動向
第3回 アメリカの民事司法とテクノロジー
・電子訴訟(e-filing)、遠隔審理、AI支援ツールの導入状況
・民事手続改革(FRCP改正)とテクノロジーの関係
・民間ODR(eBay, Modriaなど)の発展
・プライバシー・公平性・透明性の議論
第4回 カナダ:司法へのアクセスとODRの制度化
・BC Civil Resolution Tribunalの制度設計
・カナダ司法制度改革とテクノロジーの役割
・カナダ最高裁の司法アクセス論
・ODRの特徴と限界
第5回 イギリス:司法デジタル化とOnline Court改革
・HMCTS改革プログラムの全体像
・Online Courtの理念(簡易化、自動化、ユーザー中心設計)
・AIによる予測分析の議論
・英国の法文化と制度受容性
第6回 EU諸国:デジタル司法政策と越境紛争解決
・EUデジタル司法戦略(e-Justice Portal)
・EU ODRプラットフォームの制度設計と課題
・EUにおけるAI規制
・越境紛争におけるテクノロジーの役割
第7回 インド:急速な司法デジタル化とAI裁判所の議論
・e-Courtsプロジェクトの進展
・インド最高裁のAI導入(SUPACEなど)
・司法アクセスの地域格差とテクノロジーの補完性
・インド特有の法文化・社会構造との関係
第8回 民間ODRの発展と規制:国際比較
・eBay/Modria、金融ADR、消費者ODRなどの民間モデル
・プラットフォーム型紛争解決の特徴
・民間ODRの規制モデル(自主規制・共規制・公的規制)
第9回 AIと民事紛争解決:予測、判断支援、文書生成
・判決予測AI(アメリカ、EU、インドの事例)
・文書レビュー、証拠開示支援(e-discovery)
・AI倫理(透明性、説明可能性、公平性)
・裁判官の役割変容
第10回 司法へのアクセスとテクノロジー
・テクノロジーが司法へのアクセスに与える影響
・デジタル・ディバイドと法的弱者
・比較法的にみた「司法へのアクセス」政策
・公共政策としての司法デジタル化
第11回 制度設計論:オンライン化・自動化の限界と可能性
・手続の自動化と人間の関与の最適バランス
・デュープロセス(due process)とテクノロジー
・比較法的にみた制度設計の成功要因・失敗要因
第12回 AIによる本人訴訟支援:国際比較
・本人訴訟の制度的意義
・本人訴訟と司法アクセス
・AIによる本人訴訟支援の具体的諸相
第13回 テクノロジーと法文化:受容性・抵抗・制度移植
・法文化論の視点からの比較
・制度移植の成功例と失敗例
・各国の司法制度の歴史的背景とテクノロジー受容性
第14回 まとめ
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
1)報告者は,英語文献を中心に情報収集したうえで日本語の報告レジュメを作成し,授業時にプレゼンテーションする(これを「課題の報告」という)。なお、報告者は、履修者の人数分の報告レジュメを用意して配布する。
2)その他の履修者も,授業回のテーマについて各自でリサーチをしたうえで、授業において積極的なディスカッションを行う。
3)報告者は、授業における議論を参酌したうえで,報告レジュメを修正し,次回授業の冒頭でその修正版を配付する(これを「課題の提出」という)。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
| 種別 | 割合(%) | 評価基準 |
|---|---|---|
| レポート | 70 | 課題の報告(40%)+課題の提出(30%) |
| 平常点 | 30 | 議論への積極的な参加 |
成績評価の方法・基準(備考)
補足:100点満点のうち,①課題の報告(40%),②議論への積極的な参加(30%),③課題の提出(30%)の割合で,成績を算出する。ただし,出席率が70%に満たない者,課題を報告・提出しない者は「E判定」とする。
(参考 成績評価基準)
合格:A評価(100点~90点),B評価(89点~80点),C評価(79点~70点),D評価(69点~60点)/不合格:E評価(60点未満)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
プレゼンテーション
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
ただし、コロナ禍がなお収束していない場合には、オンラインで授業を実施するにで、受講予定者はIT環境を整えておくこと。
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
【参考文献例】
・Daniel Rainey, Mohamed S. Abdel Wahab, and Ethan Katsh. "Online Dispute Resolution-Theory and Practice: A Treatise on Technology and Dispute Resolution." Eleven International Publishing (2021)
・Amy J. Schmitz, Marco Giacalone, Pietro Ortolani, "The Cambridge Handbook of AI in Civil Dispute Resolution." Cambridge University Press (2026)