シラバス
| 授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 専門演習Ⅲ/事例研究(演習)Ⅰ | 2026 | 前期 | 木2 | 総合政策学部 | 横山 陸 | ヨコヤマ リク | 3年次配当 | 2 |
科目ナンバー
PS-IF3-SM01
履修条件・関連科目等
以下を履修の条件とします。
1.講義「入門・社会倫理学」「入門・哲学」「社会倫理学」「社会思想」をすでに履修済みであるか、並行して履修していること。
2.毎回の課題(20〜30ページの輪読箇所の要約作成)および学期末の課題(レポート)を必ず提出できること。
3.アルバイト・サークル・就職活動などよりも、ゼミおよび課外活動(春のプレゼミ・夏の合宿等)を優先できること。課外活動については日程調整も配慮しますが、基本的にゼミを最優先としてください。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
このゼミでは、哲学・倫理学・社会思想の観点から現代社会の諸問題について考えます。2026年度の3年次「事例研究」では、オーストリア出身の精神分析家ヴィクトール・フランクル(1905–1997)とドイツ出身の女性哲学者ハンナ・アーレント(1906–1975)の思想から、人間の生と政治・社会との関係を議論します。ユダヤ系のフランクルはナチスに迫害され、強制収容所を体験しました。その体験を描いた著書『夜と霧』は、現在でも世界中で広く読まれています。さらに主著『死と愛』では、人生や苦悩といった人間の「実存」に焦点を当て、独自の心理療法「ロゴセラピー」を展開しました。
アーレントもユダヤ系で、ナチスの迫害を逃れてフランスへ渡り、さらにピレネー山脈を徒歩で越えてスペインからアメリカへ亡命しました。戦後も彼女はアメリカに留まり、『全体主義の起源』や『人間の条件』を刊行し、人間の存在と政治(全体主義・民主主義)について独自の政治哲学を展開しました。そのアーレントに大きな影響を与えたのは、師であるマルティン・ハイデガーでした。彼は20世紀最大の哲学者と称されながら、フライブルク大学総長としてナチズムに加担しました。アーレントは『人間の条件』において、そんなハイデガーの存在論に反論しながら、人間の存在を言論行為(コミュニケーション)と捉え直すことで、全体主義への対抗を構想しています。
ゼミでは、前期にフランクルの『夜と霧』と『死と愛』(抜粋)、後期にアーレントの『人間の条件』(抜粋)を輪読します。毎回、事前に20ページ程度を読み要約を作成し、授業で議論を通じて理解を深めます。ゼミ生には、文章を読む・書く・自分で考えることが求められます。
なお、例年の参加は6〜8名程度で、FLPとの掛け持ちも認めています。4年次の卒業論文に向けては、夏合宿や後期のゼミで各自が研究テーマを定め、個人研究発表を行います。
科目目的
総合政策学部のディプロマ・ポリシーに基づき、社会・文化政策とその問題点を哲学・思想の観点から考察することを通じて、「さまざまな観点から社会現象を解明する能力」と「多様な異文化を理解・受容できる包容力」の習得をめざします。
到達目標
科目の目的に基づいて、以下の二点を到達目標とします。
(1)哲学・思想に関する抽象的な理論を(批判的に)理解できる。
(2)理論を応用して、社会・文化政策とその問題を分析できる。
授業計画と内容
ゼミ形式の授業ですので、参加者の人数、理解度、興味関心に応じて、授業計画は変更することがあります。
●前期
(1)『夜と霧』の輪読
第01回 オリエンテーション
第02回 強制収容所への収容
第03回 感情の消滅=アパシー
第04回 非情ということ
第05回 孤独への渇望
第06回 暫定的存在の分析
第07回 生きる意味を問う
(2)『死と愛』の輪読
第08回 人生の意味
第09回 死の意味
第10回 強制収容所の心理
第11回 苦悩の意味
第12回 労働の意味
第13回 愛の意味
第14回 神経症の心理
●後期
『人間の条件』の輪読
第01回 活動的生活と「人間の条件」
第02回 古代ギリシアの民主政
第03回 社会と公的領域
第04回 社会と私的領域
第05回 労働とは何か?
第06回 労働と生命
第07回 分業と消費
第08回 制作と物の世界(耐久性)
第09回 制作と道具(有用性)
第10回 制作と作品(交換性と唯一性)
第11回 言論と行為
第12回 言論と他者
第13回 言論における「権力」と制作的「支配」
第14回 言論における「許すこと」と「約束すること」
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出/その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
毎回、授業で輪読するテクスト(20〜30ページ)について、授業時間外に簡単な要約と問題提起(A4で1〜2枚程度)を作成し、授業前日の21時までにmanabaで提出することを義務づけます。
なお、夏休み・春休みに数日の課外活動(合宿・プレゼミ)を行います。日時や実施形態については、学生の意見を聞きながら決めたいと思いますが、履修条件にも挙げたように、サークル・アルバイト・就活よりも優先してください。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
| 種別 | 割合(%) | 評価基準 |
|---|---|---|
| レポート | 50 | ①教員が個別に指示した文献を読み込んでいるか、②自分のテーマ・問題関心が掘り下げられているか、③論理的な文章となっているか、という観点から総合的に評価します。 |
| 平常点 | 50 | ①ゼミ形式の授業ですので、ディスカッションへの参加姿勢を重視します。それに加えて、②毎回提出する小レポートの内容を評価対象とします。 |
成績評価の方法・基準(備考)
ゼミ形式の授業ですので、以下の場合には(他の評点のいかんに関わらず)E判定(不可)とします。①出席が不良の場合(3回以上の欠席)、②課題物の提出が不良の場合、③期末レポートが未提出の場合。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート/プレゼンテーション
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
【テキスト】
フランクル『夜と霧』(新版)池田香代子訳,みすず書房,2002年,ISBN-10 : 4622039702
フランクル『死と愛』(新版)霜山徳爾訳,みすず書房,2019年,ISBN-10 : 4622087944
アーレント『人間の条件』牧野雅彦訳,講談社(講談社学術文庫),2023年, ISBN-10 : 4065314275
*フランクルとアーレントの翻訳にはいくつかの種類がありますが、必ず上記のヴァージョンを用意してください。