シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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FLP演習C(国際協力) | 2025 | 通年 | 月6 | 学部間共通科目 | 戸川 正人 | トガワ マサト | 4年次配当 | 4 |
科目ナンバー
UW-IF4-F03S
履修条件・関連科目等
1.開発途上国の経済、社会、歴史、文化、自然環境に関心を持っていること
2.国際協力を含めた社会貢献に関心を持っていること
3.協調性、構想力や実行力など学生としての基本的資質を備えていること
4.授業時間外の学習(国際協力に関するイベント参加、国内地方自治体訪問等)に積極的に参加する意欲のあること
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
【テーマ】日本の国際協力の現状と課題
国際社会においては、地政学的対立が深刻化し、持続可能な開発目標(SDGs)など国際的な協力による開発課題の進展への期待も揺れ動いています。2023年に改定された「開発協力大綱」を踏まえ、複合的危機を克服し、地球規模課題に対応し、人間の安全保障をまもるためにも国際協力の重要性がこれまで以上に高まっているといえます。また、国内の経済・財政状況が厳しくなると、政府開発援助(ODA)に対する視線が厳しくなることから、日本の国際協力は、効果をあげているのか、また課題は何か、など理解する必要があります。
日本の国際協力は、日本国内の知見を踏まえて実施されることから、質の高い国際協力を実施するためには、日本国内の現状と課題を理解し、国際協力の実施が日本の地方創生にもつながる好循環を目指す必要があります。しかし、日本と開発途上国の連携や共創は、実際には容易ではありません。
本演習では、国際協力および国内の社会開発の場を事例として、日本の国際協力の現状と課題を理解し、持続可能な開発のあり方とはどのようなものかについて一緒に考えていきます。
科目目的
この科目では、講義・演習を通じて、学生が日本の国際協力の現状と課題について理解を深めるとともに、開発のあり方について実践的な提案ができるようになることを目指しています。
到達目標
1.(主に日本の視点から)国際協力の意義、実施体制、思想的背景・潮流の歴史的変遷について理解する。
2.日本の国際協力の源泉となる国内の現状と課題を理解する。
3.国内外のフィールドにおいて、自ら調査・分析することを通じて、日本の国際協力のあり方について自らの考えを持てるようになる。
授業計画と内容
①オリエンテーション(年間計画の再確認)
②3年次の成果品を踏まえた卒業論文の骨子確認(学生によるプレゼンテーション)
③研究の進め方の再確認
④文書作成及び論文執筆要領の再確認
⑤法整備支援分野の論文執筆方針確認
⑥教育分野の論文執筆方針確認(ラオス)
⑦教育分野の論文執筆方針確認(カンボジア)
⑧JICA地球ひろば見学(AC合同)
⑨調査対国関連の講義又はイベント参加(AC合同)
⑩論文執筆の進捗(構想)確認(プレゼンテーション)
⑪参加型開発の概要/社会関係資本の概要(AC合同)
⑫論文執筆指導(リサーチクエスチョンの確認)
⑬論文執筆指導(研究方法の確認)
⑭総括(論文執筆指導(考察部分の確認)及び夏休み期間中の執筆計画の確認)
後期
① 論文執筆の進捗状況確認
② ODAの援助潮流(詳細)/地域を見る視点(AC合同)
③ 気候変動分野の国際協力(AC合同)
④ 教育分野の国際協力(AC合同)
⑤ インフラ整備分野の国際協力(AC合同)
⑥ 法整備・平和構築分野の国際協力and/or JICA横浜見学(AC合同)
⑦ 論文執筆指導(法整備支援)
⑧ 論文執筆指導(教育分野)
⑨ 論文執筆支援(ガバナンス分野)
⑩ 成果発表会資料のプレゼン(概要と当日の役割を確定)
⑪ 成果発表会資料の最終確認
⑫ 卒業論文の執筆内容打合せ/海外調査対象国の研究
⑬ 卒業論文の詳細打合せ
⑭ 総括(卒業論文の最終確認)
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出/その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
国際協力に関する各種イベント、セミナー、映画会等への参加(随時案内します)
【実態調査】
Cゼミでは、希望者について夏季休業期間中に国内現地調査を予定します(Aゼミと合同)。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 60 | 海外現地調査・結果報告への貢献(30%) 4年次修了論文執筆・発表への貢献(30%) |
平常点 | 40 | 発表の準備(20%) 議論への参加度(20%) 無断欠席は、減点の対象とする(3回以上の無断欠席がある場合には、単位を付与しない。)。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
その他
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
卒業論文等に対して個別にフィードバックを行う。
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート/グループワーク/プレゼンテーション/実習、フィールドワーク/その他
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
2025年度の海外現地調査の予定はありません。
希望者については、Aゼミで実施予定の国内現地調査への参加が可能です。
国際協力に関するイベント、シンポジウム、セミナーへの参加を行います。具体的内容については、授業内で紹介します。
その他、関心のある課題や地域について、学生の要望に基づき、専門家(JICA関係者)による特別授業も対応可能です。
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
担当教員は、国際協力機構(JICA)等において約40年、政府開発援助(ODA)の事業実施及びマネジメント(特に人事部門)に従事してきました。海外では計10年間弱をパキスタン、ベトナム及びラオスで勤務してきました。演習では、これらの経験や現場での知見を踏まえ、国際協力についての理解を深めていきます。
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
国際協力と社会の関係や開発援助プロジェクトの持続性の問題について、理論だけではない、実務の観点からの制約や可能性について説明を加えます。
テキスト・参考文献等
【テキスト】
輪読等に用いる論文・文献は、演習内において適宜配布します。
【参考文献】
山形辰史著『入門開発経済学』中公新書、2023年、日本
佐藤郁哉著『リサーチクエスチョンとは何か?』筑摩書房、2024年、日本
佐藤寛編『参加型開発の再検討』アジア経済研究所、2004年(第二刷)、日本
内海成治・桑名恵・杉田映理編『国際協力を学ぶひとのために』世界思想社、2024年、日本
宮家邦彦著『グローバルサウスの地政学』中公新書ラクレ、2024年、日本
戸堂康之著『開発経済学入門』新世社、2021年(第2版)、日本
石破茂著『日本列島創生論』新潮新書、2017年、日本
石破茂・神山典士著『「我がまち」からの地方創生』平凡社新書、2024年(初版第2刷)、日本
塩見一三男・安嶋是晴・編著『産業観光と地方創生』筑波書房、2023年(第1版第1刷)、日本
月刊「国際開発ジャーナル」
大谷信介・木下栄二・後藤範章・小松洋編著『新・社会調査へのアプローチ」ミネルヴァ書房、2013年、日本
西垣昭、辻一人、下村恭民 『開発援助の経済学-共生の世界と日本のODA第四版』 有斐閣 、2009年、日本
尾町寅之助著『青の地平線』毎日新聞社2009年、日本
外務省 「開発協力大綱」2024年
大坪滋、木村宏恒、伊藤早苗編 『国際開発学入門』 勁草書房 2015年、日本
山形辰史著『入門 開発経済学-グローバルな貧困削減と途上国が起こすイノベーション』中公新書2023年、日本
佐藤仁著『開発協力のつくられ方』東京大学出版会2021年、日本
下村恭民著『日本型開発協力の形成』東京大学出版会2020年、日本
入江昭著『新・日本の外交』中公新書2003年(1991年初版)、日本
渡辺利夫著『アジアを救った近代日本史講義』PHP新書2013年、日本
【配布資料】
「文書作成の手引き」(教員作成)
「論文の書き方」(教員作成)
戸川正人・友松篤信著『日本のODAの国際評価』福村出版、2011年、日本(教員執筆につき、原稿を配布)
その他特記事項
卒業論文のプレゼンに際しては、発表者だけでなく全員が必ず疑問点や議論したい点を明らかにし、自身の論文執筆の参考にするようにしてください。