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シラバスデータベース|2025年度版

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ホーム > 講義詳細:日本政治史料講読A1

シラバス

授業科目名 年度 学期 開講曜日・時限 学部・研究科など 担当教員 教員カナ氏名 配当年次 単位数
日本政治史料講読A1 2025 春学期 木4 法学部 山田 博雄 ヤマダ ヒロオ 3年次配当 2

科目ナンバー

JU-PS3-027S

履修条件・関連科目等

(木曜4時限)
 日本近現代史や日本思想史などを学んでいるに越したことはありませんが、学んでいない場合でもそれらを学ぶ意欲があれば結構です。また、いま自分の生きている社会をもっとよく知りたいという知的好奇心をもつ人が好ましいことはいうまでもありません。公務員、教師、ジャーナリストなどを志望する人や、大学院進学を考えている人などが履修するのに向いているかと思います。
 本講座は通年で一冊の本を通読し、読み切るよう計画されていますので、できるかぎり秋学期の「A2」も受講することが望ましいです。

授業で使用する言語

日本語

授業で使用する言語(その他の言語)

授業の概要

 近代日本を代表する非戦論者のひとり、幸徳秋水(1871-1911)の主著ともいえる『帝国主義』(1901。正確には『廿世紀之怪物帝国主義』)を読みます。
 幸徳秋水とは? 本名、伝次郎。高知県生れ。中江兆民に師事、万朝報の記者として日露戦争に反対。平民社を起こし、平民新聞を創刊。平民社解散後に渡米した前後から無政府主義に傾斜。大逆事件の頭目と目され翌年刑死。著「社会主義神髄」(『広辞苑』第7版に拠る)。
 いまも戦争は世界中で絶えません(2022年からのロシアのイラク侵攻、2023年からイスラエルとパレスチナの戦争など)。なぜ、それが起こるのか。無くすことが難しいとしても、戦争を避けるべく、いくらかでも「悪さ加減の少ない」考え方や政策の方向性はあるはずです。そのような問題を徹底して考え抜いたのが秋水であり、『帝国主義』です。
 この書はホブスンやレーニンに先駆けて、帝国主義の構造をするどくえぐり出しています。内容は多岐にわたります。国家とは、「愛国心」とは、非戦・平和とは何か、国際政治の分析や社会変革の意味、思想の力その他さまざまなことを考えさせます。
 それらの問題がまっすぐ21世紀の現代の世界につながっていることは言うまでもありません。また、秋水は無類の名文家としても知られています。その日本語を味わうということも、本講座の一つの効用であり、面白いところといえるでしょう。
 たまたま戦後80年の今年(2025年)、反戦平和をしっかり考えてみるのもわるくないのではありませんか。
(方針)①履修者にテキストを朗読してもらいます。②語句の解釈と内容の意味を説明します。③およそ毎回、授業内容の簡単な要点などを書いてもらうことにします。

科目目的

①漢文崩しの日本語の解読力を身につけること。
②それによって日本の過去の著作と、現在との「対話」を容易におこない得るようになること。
③そして、つまるところは私たちが生きている「世界」という書物を、自分なりに広く、深く、楽しく読み解けるようになること。
 他方、以上すべての根底を貫いて、④「事実」の尊重とそれに基づく「合理的推論」を基本とし、その精神と技術を修得することがこの講読の目的です。
 そしてもう一つ。学問は「問い」と切り離せません。何を、いかに「問う」か。それは各受講者それぞれの課題です。「答え」ではなく「問い」。「問い」こそ、学問における最も重要なことの一つです。
 到達目標は、自ら問いを立て、その問いを自ら答えようとすることができるようになることです。授業で扱う古典はそれを手助けしてくれるでしょう。

到達目標

 漢文崩しの日本語を、ある程度読めるようになり(ということは、近現代日本語で書かれた文章はおおよそ読めるようになるということです!)、古典との対話を通して、近現代150年の日本のなかの、現在のわたしたちの置かれている状況を客観的に分析できるようになること、そしてその分析をとおして、いかに行動すべきか自問自答できるようになることです。

授業計画と内容

 第1回 ガイダンス
 第2回 教科書(3-6頁)『帝国主義』に序す、および「例言三則」講読
 第3回 教科書(15-17頁)「第一章 緒言」講読、および配布プリント解説
 第4回 教科書(19-21頁)「第二章」講読、および配布プリント解説
 第5回 教科書(21-23頁)「第二章」講読、および配布プリント解説
 第6回 教科書(24-27頁)「第二章」講読、および配布プリント解説
 第7回 教科書(27-30頁)「第二章」講読、および配布プリント解説
 第8回 教科書(30-34頁)「第二章」講読、および配布プリント解説
 第9回 教科書(34-38頁)「第二章」講読、および配布プリント解説
第10回  教科書(38-42頁)「第二章」講読、および配布プリント解説
第11回 教科書(42-47頁)「第二章」講読、および配布プリント解説
第12回 教科書(48-52頁)「第二章」「第三章」講読、および配布プリント解説
第13回 教科書(52-58頁)「第三章」講読、および配布プリント解説
第14回 教科書(58-62頁)「第三章」講読、および配布プリント解説

・授業の最後に20分程度の時間をとって、ほぼ毎回、講読箇所および配布プリントについての文章(主に授業の要点)を書いてもらいます。翌週、その文章に寸評をつけて返却します。

授業時間外の学修の内容

指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出

授業時間外の学修の内容(その他の内容等)

 ほとんどの受講生にとって母語である日本語を音読することは、稀なことでしょう。しかし学習する時に、教科書の本文を「声に出して」読むようにするといいと思います。明治期、文章は音読されることを想定して書かれましたから。
 それと文章は声に出してこそ、面白さ、力強さを感じることができ、内容に集中するのにも有効です。漢文崩しの日本語は、意味だけでなく「音」としてもそれ自体興味深いものです。幸徳秋水は「名文家」として有名です。自分で声に出して読み、実感してみてはいかがでしょう。そもそもことばは「音」で出来ている、ということもあります。
 また、授業で配布するプリントに掲げられた参考文献なども自分で、できるかぎり積極的に読むようにしてください。新たな視野がひらけて、思いがけない発見、思い込みだったという気づきなどがあるかもしれません。

授業時間外の学修に必要な時間数/週

・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。

成績評価の方法・基準

種別 割合(%) 評価基準
レポート 50 ①毎回の授業で学んだことを、文章によってできるかぎり正確に客観的に表現できるか確認するためと、②授業内では読めない書籍を読んでもらうための課題図書を指定し読んでもらいます。
以上①②を学期末のレポートとして提出を課します。
平常点 50 受講生に音読してもらい、読みと理解をみます。理解についてはほぼ毎回、授業内容について文章を書いてもらい、判断します。
したがってもちろん、前提は授業に出て、読み、考え、書くこと。

成績評価の方法・基準(備考)

課題や試験のフィードバック方法

授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う

課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)

アクティブ・ラーニングの実施内容

実施しない

アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)

授業におけるICTの活用方法

実施しない

授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)

実務経験のある教員による授業

いいえ

【実務経験有の場合】実務経験の内容

【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容

テキスト・参考文献等

■テキスト
幸徳秋水『帝国主義』岩波文庫

■参考書
幸徳秋水(現代語訳)『二十世紀の怪物 帝国主義』光文社古典新訳文庫

その他特記事項

■授業の工夫■
 「科目目的・到達目標」にあるとおり、ちょっと大げさのようですが「世界」という書物を自分なりに読み解けるようになることが目標です。何のために? 古典というテキストを使って今現在の社会の価値観を相対化し、よりよい見通しを与えて、自分がどう考え、行動すべきかを考えていくために、です。
「いま・ここ」だけしか目に入らないと、自分の立ち位置がわかり難いものだからです。そのためにテキスト以外にも、様々なプリントも配布して理解を深めたいと思います。

■授業の工夫■
 いま、本をあまり(または全然!)読まない学生がいるようです(全体のほぼ半数かそれ以上?!)。ですが、そういう人も、社会人になると、読書の、というよりは「教養」の必要性を全く感じない人はほとんどいないのではないでしょうか?(別に何とも思いません?) それだけでなく、そもそも本を読むことは、それ自体が愉しい行為でもあるのですが、それを知らないとはいかにも損な話。
 本講座ではその点も考慮したいと思います。学校の「勉強」と日々の暮らしでの「学び」とをいかに繋ぐか、一緒に考えてみませんか。

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