シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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演習(総合政策セミナー)Ⅰ(1) | 2024 | 前期 | 木1 | 総合政策研究科博士課程前期課程 | 庄司 克宏 | ショウジ カツヒロ | 1年次配当 | 2 |
科目ナンバー
PG-IF5-701L
履修条件・関連科目等
EU法に加えて、法学および国際法の基礎知識が必要である。また、英語文献を使用するため、英語読解能力が不可欠である。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
欧州連合(EU) 法は公法・私法にわたる様々な法領域に関連するが,中核となるのは(イ)EU 法の「憲法」的側面(EU 法の直接効果,国内法に対する優越性、基本的人権の保護など)および(ロ)域内市場法(物・人・サービス・資本の自由移動および競争法)である。
本授業ではEUの「憲法」という視点から、EUトランスナショナル・ガバナンスの法理論的検討を行う。
履修者は,自分の専攻分野との関連性を常に問題意識として持ちながら,EU 法という超国家的な法体系の理解を目指して参加することが期待される。
科目目的
EUは、複数の主権国家がその基本的形態を維持したまま、主権を共有することにより、どこまで協力を深めることができるのかという前例のない「実験」を行っている。
このようなEUの営みのについて、超国家的な「国際組織法」(「憲法」的側面)の可能性と限界に着目して理論的に探求する。
この目的のため、EU司法裁判所元判事が共著者となっているAllan Rosas, Lorna Armati, EU Constitutional Law: An Introduction (3rd ed.), Hart Publishing, 2018(本文294ページ)を教科書として輪読する。
到達目標
本科目を履修することにより学生に期待される到達目標は、第1にEUの「憲法」的側面に関する基礎的な概念と理論を習得することである。第2にEUの超国家性がEUを構成する加盟国法との関係においてどのような影響力を持っているのかを理解することである。第3にそれらを踏まえて、EU以外の国際機組織や国際協力枠組みとの比較を行うことができるようになることである。
授業計画と内容
履修者が教科書の担当回範囲のパワーポイント資料作成し、それをプレゼンテーションすること、および、それに対する質疑を行うことにより授業を進める。
第1回 1. What Constitution? A Rose by Any Other Name and 2. An Elephant That Cannot Be Defined? What the EU Is, and Is Not in Allan Rosas & Lorna Armati, EU Constitutional Law: An Introduction (3rd ed.), Hart Publishing, 2018
第2回 3. Marking the Territory: Principles Governing Union Competences
第3回 4. Who Is the Boss? In Search of a Master of the Treaties
第4回 5. Looking Past the Trees to See the Wood: Construing a Hierarchy of Norms
第5回 6. Into the Estuaries and up the Rivers: Union Law in the National Legal Orders of the Member States
第6回 7. A Lot More than Brussels Bureaucrats: The Institutional Framework
第7回 8. A Suprematist Composition? Differentiation and Flexibility
第8回 9. What Deficit? The EU System of Democracy
第9回 10. Civis Europeus Sum: The Evolving Concept of Union Citizenship
第10回 11. Taking Rights More Seriously? The EU System of Fundamental Rights
第11回 12. Broadening Horizons? The Area of Freedom, Security and Justice and 13. The Internal Market: Liberal, Social or Green?
第12回 14. Building a House by Starting with the Roof ? Economic and Monetary Policy
第13回 15. EU External Relations: An Elephant Trumpeting Loud and Clear or a Gaggle of Geese? and 16. Covenants of No Strength to Secure A Man At All? Issues of Enforcement and Control
第14回 17. The Elephant in the Room? Concluding Remarks
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 45 | 第1にEUの「憲法」的側面に関する基礎的な概念と理論の習得、第2にEUの超国家性がEUを構成する加盟国法との関係において有する影響力の理解、第3にEU以外の国際機組織や国際協力枠組みとの比較 |
レポート | 40 | 教科書の担当回範囲のプレゼンテーション資料(パワーポイント)の充実度と実際のプレゼンのわかりやすさ 教科書の担当回範囲の要約と問題提起 英文読解の正確度、論点整理の的確度、自己の問題提起の説得度で判断する |
平常点 | 15 | 質問、応答、コメント、反論などによる授業への参加度 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキスト
Allan Rosas & Lorna Armati, EU Constitutional Law: An Introduction (3rd ed.), Hart Publishing, 2018
参考文献
庄司克宏著『新EU法 基礎篇』岩波書店、2013年
庄司克宏著『新EU法 政策篇』岩波書店、2014年
庄司克宏著『ブレグジット・パラドクス―欧州統合のゆくえ』岩波書店、2019年
アニュ・ブラッドフォード著、庄司克宏監訳『ブリュッセル効果』白水社、2022年
G.マヨーネ著、庄司克宏監訳『欧州統合は行きすぎたのか(上)(下)』岩波書店、2017年
庄司克宏編『EU環境法』慶應義塾大学出版会、2009年
庄司克宏著『欧州連合 統治の論理とゆくえ』岩波書店、2007年