シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
歴史D | 2025 | 秋学期 | 水3 | 法学部 | 大和 友紀弘 | ヤマト ユキヒロ | 3・4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
JU-HT3-006L
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
近代国家を目指した日本は政治体制として天皇を戴く立憲制を採用し、現在の日本の在り方を考える上でも参照すべき歴史を積み上げてきた。本講義では、憲法を巡る論点を軸にして日本近現代史(戦前期)を概説する。その際、条文や法解釈の検討を重ねるのではなく、当時を生きた人物たちによる「論争」の場に注目して、それを歴史的文脈に位置付け、「右翼」と「左翼」、「国家主義」と「自由主義」といった二項対立図式に囚われない歴史像を探究していく。
科目目的
歴史研究という営みを通して我々は、自分たちの生きる現在の社会や制度が必然でも完成形でもなく、更なる可能性があり得ることを知ることができる。出来事や思想を当時の文脈の中で理解することで、今日の様々な価値観や先入観が相対化されることを学び、日本近現代史を多面的かつ多様な選択肢に満ちた過程として理解することを目指す。
到達目標
・戦前期日本の特徴を多角的な視点で評価することができる。
・法制度やそれを巡る思想を、当時の時代背景の中に位置付けることができる。
授業計画と内容
第1回 イントロダクション:授業内容・方針の説明
第2回 大日本帝国憲法の制定:「伝統」と「立憲主義」
第3回 大日本帝国憲法の構造:初期議会から憲法体制の確立へ
第4回 「主権の所在」としての「國體」?:穂積八束の憲法学
第5回 明治の終焉と天皇機関説論争:「憲法学者」美濃部達吉の挑戦
第6回 「帝国主義」から「国際民主主義」へ:吉野作造の観た第一次世界大戦
第7回 大衆社会化への応答:上杉愼吉の「デモクラシー」論
第8回 政党内閣制と「統帥権の独立」:多元的統治構造の克服と課題
第9回 天皇権威の動揺と満洲事変:西園寺公望・牧野伸顕の立憲君主観
第10回 「國體明徴運動」を超えて:里見岸雄の憲法学批判
第11回 新世代公法学者の活躍:「形而上学的段階」から「実証的段階」へ?
第12回 戦時体制下の「護憲」:右翼が戦争を導いたのか
第13回 日本国憲法によって「國體」は変更したのか:佐々木惣一と和辻哲郎
第14回 総括:戦後史を見据えて
*受講者の人数や実際の進度によって、各回の内容は変更する場合がある。
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
【事前学習】
日本近現代史について予め大体のイメージを持った上で受講すると理解の援けになる。
【事後学習】
講義を踏まえて今までの理解に何が加わったのかを整理し、また現代の憲法秩序などと比較検討を行う。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
---|---|---|
期末試験(到達度確認) | 70 | ・正確な表現と作文の基本的作法に則り、問いに対する適切な解答を用意できているか。 ・講義内容を踏まえた上で、自己の見解を論理的に説明できているか。 |
平常点 | 30 | 授業への参加度(減点方式)、リアクションペーパーの内容(加点方式)などを基準とする。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
毎回簡単なリアクションペーパー(感想程度でも可)の提出を求め、次の回の冒頭にて時間の許す範囲でフィードバックを行う。
アクティブ・ラーニングの実施内容
PBL(課題解決型学習)
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
レジュメに即して講義を行い、特定のテキストは指定しない。
【参考文献】
鳥海靖『もういちど読む山川日本近代史』(山川出版社、2013年)
松沢裕作/高嶋修一編『日本近・現代史研究入門』(岩波書店、2022年)
出口雄一ほか編著『概説日本法制史[第2版]』(弘文堂、2023年)の「Ⅳ 近現代編」
大石眞『日本憲法史』(講談社、2020年)
*この他、毎回内容に即した参考文献を提示する。
その他特記事項
■授業の工夫■
講義形式を基本とするが、リアクションペーパーなどを介して、その都度理解しやすさの改善に努める。