シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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政治史B1 | 2024 | 春学期 | 火4 | 法学部 | 古賀 光生 | コガ ミツオ | 3・4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
JU-PS3-020L
履修条件・関連科目等
原則として政治史B1と政治史B2を連続して受講されることを強く推奨します。政治史B1は主に19世紀後半から20世紀前半(両大戦間期)まで、政治史B2は20世紀後半以降(第二次世界大戦後)を扱います。
上記で扱われる以前の時代(特に、中世と近世)について一定の知識があることで講義の理解が円滑になります。高等学校で学習した世界史の知識は当然として、さらに、総合教育科目の歴史B1・B2を履修しておくことを推奨します。ただし、履修条件とはしません。未履修の学生や並行して履修することが困難な学生は、別途提示するオンライン教材(過去に古賀が担当した歴史B1・2の講義動画)を活用することをお勧めします。歴史B1・B2が履修済みである学生は、不安を感じる必要はありません。
関連の科目としては、政治学、国際政治、国際政治史を履修済みであることを想定します。政治学科の学生で未履修の科目がある場合は、並行履修を強く推奨いたします。他の学科の学生には並行履修までは求めませんので、各自で最低限の知識を確認しておいてください。講義が前提とするのは、議会制民主主義に関する基本的な知識、国際システムの基礎に関する知識、19世紀末から20世紀前半までの国際政治の歴史の基礎などが対象です。具体的な学習の準備については初回の講義でお話いたします。当該講義のシラバスと参考文献を参照するのもよい方法です。
政治学科の学生は、政治史A1(日本史の近代史で扱われる時代が近い)、政治思想史B1(西洋が中心で、扱われる地域に近接性がある)等と並行して履修するとさらに理解が深まるものと思われます。EU政治論1を履修しておくと、政治史B2で扱われる時代の準備になります。
この講義は火曜日の4限目に開講されますが、同じ曜日の3限目に同じ教室で、比較政治論1が開講されています。担当者が同じですので、関連する内容がたくさんあります。おもに比較政治論で理論枠組みを、政治史Bで具体的な事例を扱うという役割分担になっていることもあります。並行履修を推奨いたします。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
西欧を中心として、西洋の政治史を扱います。時代的には近代史を中心に講義します。政治史B1では、19世紀を中心に、第一次大戦前後までの時代を扱います。
政治史のうち、近代国家形成や議会化、大衆動員と政党政治の定着などをテーマに扱いますが、これらと関連する社会変動についても関心を払います。
科目目的
カリキュラム全体において、政治史Bの講義には(1と2を総合して)ふたつの目的があります。
第一に、近代以降の政治における諸概念の基礎となる制度が立ち上がった場面を具体的に想起できるように、実際の出来事を基礎として過程を把握することです。具体的な過程を把握することが概念の内実を精密に理解することに繋がり、より高度な一般的・抽象的な思考を可能にすると想定されます。
このような目的に即して考えると、政治史B1の目的のひとつは国民国家や議会制民主主義、その下での大衆組織政党の形成などを具体的な過程に即して理解することが挙げられます。
第二の目的として、政治学における「(実証的な)理論」形成の具体的な過程を経験することです。
政治学に限らず、多くの学問が具体的な観察事実を基礎としつつそれを包摂する理論の形成を試みます。それらは、もちろん新たな観察事実によって修正される可能性のある仮説的なものではあります。しかし、理論や分析枠組みなしにはばらばらに見える膨大な事実は観測することすら困難になりますので、政治や歴史に限らず社会的な現象を観察するためには何らかの枠組みが必要になります。
政治学を学ぶ際には既存の理論を身につけること自体は重要ですが、それだけでは不十分です。多くの場合、政治現象の表象は時代とともに変遷します。そのため、既存の理論を「そのまま」使うことは容易ではありません。そこで、背景にある社会認識や人々の行動原理への理解・想定を踏まえて理論を修正しつつ活用する必要があります。このような修正には理論の構造への深い理解が不可欠です。
政治史B1では、国家形成や議会制民主主義、国家社会関係等の分析のために整えられた諸理論を紹介しつつ、それが具体的にどのような歴史的事象を分析する中で形成されたのかを検討します。
受講生の皆さんは、上記のふたつの目的を意識して講義に参加してください。
到達目標
上記の科目目的に照らして、以下のふたつの目標を提示します。
最初の目標は、具体的な歴史過程について理解することです。19世紀の西欧における具体的な歴史的諸事例を確認して一定の枠組みに沿って出来事を整理できるようになることが目標となります。
次の目標は、これらの諸事例を整理するために用いた枠組を応用する能力を身につけることです。具体的には、21世紀の現在において、19世紀から20世紀初頭までに形成された国民国家の枠組みが揺らいでいるとするならば、国民国家を想定して形成された議会制民主主義やその下での大衆動員的な政党組織は、どのような限界を抱えるのか、その限界はどのように克服されるべきなのかを、歴史的な知見を踏まえて検討することができるようになることを目指します。
ふたつの目標は段階的なものといえるでしょう。つまり、最初の目標は「単位習得」のハードルであり、この目標に到達できれば(到達の水準を勘案しながら)単位が認められます。次の目標は、やや高い水準の要求ですので、この目標に到達した受講生に最高の評価を付与します。ただし、法学部の「Aコントロール」の要件を遵守するため、一定の水準に到達した受講生が既定の割合を超えた場合には相対評価を採用します。
授業計画と内容
以下の講義予定におけるサブタイトルが、主な講義内容です。
01.イントロダクション:政治学としての政治史
02.近代国家形成(1):戦争と国家形成
03.近代国家形成(2):市民革命の理念と現実
04.近代国家形成(3):国民国家とナショナリズム
05.権力の浸透(1):産業革命と国家権力の浸透
06.権力の浸透(2):労働運動と社会政策
07.議会政治と民主化(1):自由主義と議会政治
08.議会政治と民主化(2):民主化の様々な経路
09.大規模な動員(1):社会的亀裂とサブカルチュア構造
10.大規模な動員(2):大衆(組織型)政治の登場
11.戦間期の政治(1):第一次大戦のインパクト
12.戦間期の政治(2):ファシズムとは何か
13.戦間期の政治(3):ファシストの権力獲得をめぐる比較分析
14.講義のまとめ
テーマ別に議論するため、時系列が前後する場合もあります。
ただし、原則としては近代史をいくつかの時代に区切ってほぼ通時的に扱うように心がけます。
※ 講義タイトルが異なっていても基本的な内容は昨年度の政治史B1と共有する部分がたくさんあります。 昨年度のレジュメは以下のフォルダ内にありますので履修選択の際には参考にしてください。なお、フォルダのアクセスには全学アカウントへのログインが必要です。
https://drive.google.com/drive/folders/1IxoPlOYBK-7nTuFgdhrDZ0Opfv_0mNPn?usp=share_link
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出/その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
予習と復習を義務とします。
【予習について】1時間程度を想定しています。ただし、個人差もあるでしょう。
事前にmanaba上にアップロードされる講義レジュメやそこで紹介されている参考文献などを読み、講義内容を予習してください。事前の予習で分からなかったことや疑問に思ったことを整理して講義に臨んでください。
【復習について】2時間程度を想定しています。ただし、個人差もあるでしょう。
講義の内容について各自で整理したうえで、manaba上に公開される復習課題に回答してください。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 60 | 基礎的な概念を確認する部分と応用的な議論の両方を確認します。 |
平常点 | 40 | 講義に先立って、manaba上で予習テストを実施します。原則として、レジュメを参照しつつ、歴史の基本的な知識を確認する(身に着ける)ためのテストです。結果を集計して学期末試験の成績に加算します。また、講義中にレスポンを用いて質疑応答を行う場合があります。その参加度合いを成績に加味します。 |
成績評価の方法・基準(備考)
原則として、
平常点(予習テストと講義中の質疑応答):40点
学期末試験:60点
の点数配分で成績を決定します。
ただし、予習テストを受験できなかった場合に備えて、書評レポート課題を用意します。課題図書の中から一冊を選び、書評(2000字程度)を執筆して提出してください。
昨年度の書式等については、下記のフォルダにある昨年度講義の第一回のレジュメも参照してください。
https://drive.google.com/drive/folders/1TuitGSZ0_OSb6USqQ_gLG7r9q-vq8cpi?usp=share_link
※ アクセスには、全学アカウントへのログインが必要です。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
リアルタイムの講義であるため、学生からのレスポンスを期待します。
manabaでも質問を受け付けます。
アクティブ・ラーニングの実施内容
反転授業(教室の中で行う授業学習と課題などの授業外学習を入れ替えた学習形式)
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
リアルタイムの質疑応答は、反転授業の一環として活用します。
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
レスポンの機能を用いて学生とやり取りする予定です。
これに準備する程度のICT端末を用意することを推奨します。
端末を利用して講義中にレスポンスを行うことで理解を深めます。
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
下記の参考文献以外にも、manaba上で公開する、講義の概要を記したレジュメに、参考文献を紹介しています。
【参考文献-講義の準拠】
講義は下記の文献に沿って展開するものではなく、また、下記の3冊の本のすべてを政治史B1で扱うものではありません(B2で扱う時代も含まれています)。しかし、この講義で話される内容の基礎は下記の二冊で展開される議論に大きく依拠しています。予習と復習に活用してください。
① 中山洋平・水島治郎『ヨーロッパ政治史』放送大学教育振興会、2020年。
… 講義で紹介する議論の多くが、上記文献に依拠します。ただし、講義で扱う時代よりも本書の方がカバーする時代の方が広いという事情があり、この本に全面的に依拠して講義を展開することはできません。受講生の皆さんは、可能であれば本書を手元において予習と復習に臨みつつ、講義で話される内容をフォローして学習するとよいでしょう。
② 篠原一『ヨーロッパの政治』、東京大学出版会、1986年、¥2,800+税
… この本で展開される議論が、講義で話される内容の理論的な基礎となっています。この本に沿って講義を展開するわけではないものの、この本を通じて講義の背景となる理論を学んでください。扱われる時代も、この講義とほぼ重なります。
③平島健司・飯田芳弘『改訂新版 ヨーロッパ政治史』放送大学教育振興会、2010年、¥2,900+税
… この本は、上記のテキストと同様に、政治史B1とB2で扱う時代の両方をカバーしています。主要な参考文献としていつでも参照できると便利です。
その他特記事項
初回の講義で、講義の進め方や評価について改めて説明します。
参考URL
講義担当者のアドレスは、下記のとおりです。
https://www.mituokoga.com/
ただし、必要な連絡はすべてmanabaを通じて行います。
manabaからの通知が届くように設定しておいてください。