シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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税務会計論 | 2025 | 春学期複数 | 火2,金4 | 商学部 | 山上 淳一 | ヤマカミ ジュンイチ | 2年次配当 | 4 |
科目ナンバー
CM-AU3-14XL
履修条件・関連科目等
Web登録科目です。
「税務会計論」は会計学と法律学の二つの側面を併せ持つ科目であり、学修を進めるに当たっては、企業会計及び税法(法学)に関する基礎知識を修得していることが,理解の増進に寄与する。
したがって、「財務会計論」及び「税法」を既に履修しているか、又は並行して履修することが望ましい。
(注)「財務会計論」及び「税法」の未履修者がいることも想定し,適宜,基礎的な知識を説明する機会も設ける。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
全体として,問題提起型,つまり,「〇〇について〇〇となっているのは,どのような理由だと考えるか」,「〇〇を〇〇するためには,どのような制度とすればよいと考えるか」,「〇〇という制度の下では,実務上,どのような点が問題になると考えるか」といった課題を提示し,それについて,皆さん自身に考えていただきながら,授業を進めていくスタイルを考えている。
皆さんには,あらかじめ示したテキストの該当ページ,該当判例等を読み,おおまかな制度の枠組みを把握するとともに,自分なりの疑問点を整理して授業に臨んでいただくことを期待する。
昨年度までは,かなり膨大なスライドを使用して「説明する」スタイルとしていたが,本年度は,一方的にスライドを配付することなく,「やり取りしながら考える」スタイルを目指したいと考えている。
1.準備編
「取っつきにくい」税法の学修にスムーズに入っていけるよう、税法の基礎知識を簡単に説明する。その上で、法人税額を算出するためのベースとなる「法人所得」の計算の仕組みの基本を学修する。
2.基礎編
法人の「所得」は企業会計における「純利益」がベースとなるが、企業による恣意的な計算を排除し公平な課税を確保する目的等から、企業会計を部分的に修正する例外規定(別段の定め)も多数設けられている。どのような別段の定めが、どのような理由から設けられているのかを理解することが、学修の中心となる。
3.中級編
企業グループ内での組織再編成が行われた場合の税制や,100%支配関係にある企業グループ内の取引に関する特則など,最近整備されてきたグループ経営に関する税制を学修する。
4.国際編
デジタル化・グローバル化の進展はGAFAのような新たなビジネスモデルを生み出したが、それに伴って税の仕組みや税務執行も大きな転換を迫られている。グローバルな企業活動で稼得した所得への課税ルール(国際課税)の基本的な仕組みを学修した上で、今後のルールの変化を展望する。
5.実践編
税制・税務執行の現場の「今」を知るゲストスピーカーを招き、税の最先端で何が起きているか,税の専門家が活躍する「業界」はどうなっているのかを学ぶ。
また,これまでに学修した項目に関して、規定の解釈をめぐって国と納税者(企業)の間で争いとなった事例をいくつか取り上げ、裁判では何が争点となり、どのような結論が下されたかを学修することで、基礎編~国際編で得た知識の理解をさらに深めていく。
科目目的
この科目は,商学部分野別専門科目・会計系として位置づけられている。
企業の利益を計算するための企業会計に加えて、企業(法人)の所得を計算するための税務会計(国際課税分野を含む)を修得することによって、将来、グローバル化時代に会計専門職、税務に強いビジネスパーソンとして活躍していくための基盤を獲得することを目的とする。
到達目標
法人所得計算の基本的な仕組み、特に「別段の定め」といわれる企業会計との相違点のうち主なもの(無償取引からの収益の発生等)について、その概要及び趣旨目的を理解し、税法をよく知らない者にも分かりやすく説明できるようになることを目標とする。
授業計画と内容
(注)授業の進行度合いや履修者の理解度に応じて、内容及び順序を変更する場合がある。
第1回 ガイダンス
第2回 準備編1 税法の基本
第3回 準備編2 法人所得の計算・総論
第4回 準備編3 企業会計と税務会計
第5回 準備編4 益金
第6回 準備編5 損金
第7回 実践編1 税制・税務執行の現状と課題(ゲストスピーカーを予定)
第8回 基礎編1 別段の定め①(受取配当の益金不算入など)
第9回 基礎編2 別段の定め②(役員給与の損金不算入)
第10回 基礎編3 別段の定め③(役員給与)
第11回 基礎編4 別段の定め④(寄附金の損金不算入、交際費の損金算入制限)
第12回 基礎編5 別段の定め⑤(資産の評価損益の益金・損金不算入)
第13回 基礎編6 同族会社
第14回 中級編1 資本等取引
第15回 中級編2 組織再編税制
第16回 中級編3 グループ法人税制
第17回 中級編4 グループ通算制度
第18回 国際編1 国際課税の基本①
第19回 国際編2 国際課税の基本②
第20回 国際編3 国外への所得流出への対応①(問題の所在)
第21回 国際編4 国外への所得流出への対応②(具体策:移転価格税制,CFC税制等)
第22回 国際編5 国外への所得流出への対応③(BEPS:デジタル課税,ミニマム課税)
第23回 国際編6 国際税務執行の現状
第24回 実践編2 税制・税務執行の現状と課題(ゲストスピーカーを予定)
第25回 実践編3 主要判例(公正処理基準に関するもの)
第26回 実践編4 主要判例(租税回避に関するもの)
第27回 仕上編1 全体の振り返り①(重要事項の説明)
第28回 仕上編2 全体の振り返り②(理解度確認)
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出/その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
1.指定したテキストの該当ページ(及び配付した場合には事前学修課題)を事前に読み込むとともに、授業終了後に再読してみること。
2.授業内容の修得度合いを確認するため、数回の授業につき1つの割合で課題を提示するので、テキスト等を参照しながら回答(A4用紙1枚程度)を作成すること。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 50 | 法人所得計算の基本的な仕組みや税法の規定の趣旨等を理解しているかどうか(7割程度)、国際課税など発展的な内容を理解しているかどうか(3割程度)。 ※ 実際の試験の構成は,授業開始後に改めて開示する。 |
平常点 | 50 | 数回(5~10回程度を予定)提出を求める課題(ミニ・レポート)の内容から,理解度や課題発掘力を確認する。 授業における議論への参加状況を考慮する。 |
成績評価の方法・基準(備考)
授業時間内に各人の意見等を述べてもらう機会を作りたいと考えている。指名等した場合に回答した者については、回答内容等に応じ、上記の項目以外に加点する。その他、随時、加点ポイントを設定することがある。
期末試験については,基礎編までの内容を確実に理解していれば,少なくとも60%程度の得点が可能なレベルの出題とする。試験に当たっては,自己の作成したA4用紙1枚のメモに限り持込み可とする(詳細な条件は試験前に具体的に説明する。)。
昨年度(2024年度春学期〕の成績評価に当たっての講評をコメント4に添付したので、履修を検討する際に参考とされたい。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
1988年度から2021年度まで,国税庁(国税局)及び財務省主税局において,税制改正(相続税法,税理士法),法令解釈通達の制定(税務調査手続),訟務,税務調査,査察等に携わる。この間,ハーバード大学ロースクール国際租税講座で米連邦所得税法,付加価値税法等を学ぶ。
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
税制・執行当局における実務で直面した租税回避・税務訴訟の実例等も紹介しながら,単なる税務会計の知識ではなく,基本となる考え方を学べる授業を目指します。
テキスト・参考文献等
[各回の課題]
1.以下の文献の中から,各回のreading assignmentの範囲を指示する。
・ 中里実ほか編『租税法概説〔第4版〕』(有斐閣,2021年)
・ 渡辺徹也『スタンダード 法人税法〔第3版〕』(弘文堂、2023年)
・ 中里実ほか編『租税判例百選〔第7版〕』(有斐閣,2021年)
2.その他,必要に応じて,参照すべき資料を提示する。
その他特記事項
〔授業で使用するソフトウェア〕
なし