シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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憲法1(人権) | 2024 | 秋学期複数 | 月2,水5 | 法学部 | 武市 周作 | タケチ シュウサク | 1年次配当 | 4 |
科目ナンバー
JU-PU1-001L
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
この授業は講義形式で行います。講義では、PowerPointのスライドを用い、スライドの配布版を事前にmanabaにアップロードします。毎回、自身で授業で扱う範囲についてテキスト・参考書・判例集等に目を通しておくのが望ましいです。
この講義では、日本国憲法の基本権(この講義では「人権」ではなく「基本権」を用います。そのことについては講義で説明します)保障について学びます。基本権保障は日本国憲法の核心であり、基本権を侵害する法律や国家の活動は憲法に違反し無効となります(日本国憲法98条)。このような基本権保障の理念については、今後様々な法律を学んでいくにあたって常に意識することが必要ともいえます。
科目目的
この講義で身につけるべきことは3つあります。
まず憲法を学ぶ際にとりわけ重要なのが憲法判例の理解です。判例の理解というものは、裁判所の立場を鵜呑みにすることではありません。判例の結論への賛否だけでなく、その規範や論理などを批判的に検討しなければなりません。判例を学ぶにあたっては、教科書等の記述では十分ではありませんから、学習用判例集(この授業では『憲法判例百選Ⅰ・Ⅱ』が必須です)。
次に、学説の理解が求められます。判例を検討する際、もちろん自分の頭で考えることが重要ですが、まずは学説に基づいて考えることが便利ですし、法律学の作法でもあります。憲法学では各論点について様々な学説がありますが、その対立がなぜ生じることになったのかを意識し、結論部分に至る過程を把握することが大切です。
最後に、日本国憲法の理念・原理の理解を身につけねばなりません。理念や原理は憲法解釈の支えとなります。既に憲法の原理や理念については(日本の小中学校で学んでいる場合は)既に学んでいるはずですが、この講義ではその歴史的展開や今日的意義や役割についてさらに深めて理解し、今までの理解を更新することを目指します。
到達目標
(1)憲法判例を理解し、批判的に考察することができるようになること。
(2)基本的な学説を把握し、学説に基づいて基本権に関わる問題について、法解釈に基づいた説得的な結論(単なる感想や政策的判断ではない)を、論理的に導く能力を身に付ける。
(3)日本国憲法の理念・原理を十分に理解し、法的問題に対して公正・公平な判断をする。様々な法分野を学ぶにあたっても日本国憲法の理念・原理を踏まえて考えることができる。
授業計画と内容
第1回 イントロダクション、憲法の歴史
第2回 基本権保障の歴史・意義
第3回 基本権保障と限界
第4回 思想・良心の自由
第5回 信教の自由
第6回 政教分離
第7回 表現の自由(1):総論(歴史・意義)
第8回 表現の自由(2):性表現、営利表現
第9回 表現の自由(3):名誉毀損・プライバシー侵害表現、ヘイトスピーチ
第10回 表現の自由(4):報道の自由、マスメディア・インターネットと表現の自由
第11回 集会・結社の自由
第12回 学問の自由
第13回 職業選択の自由(1):総論(歴史・意義)
第14回 職業選択の自由(2):判例(目的二分論とその克服)
第15回 財産権(1):総論・判例
第16回 財産権(2):損失補償
第17回 生存権(1):総論(社会保障制度概観、社会権と自由権、法的性格)
第18回 生存権(2):判例
第19回 教育を受ける権利、労働基本権
第20回 裁判を受ける権利、選挙権
第21回 平等(1):総論(歴史、概念・意義、AA・PA)
第22回 平等(2):各論(性別)
第23回 平等(3):各論(社会的身分)
第24回 幸福追求権(1):人格権・プライバシー権
第25回 幸福追求権(2):自己決定権
第26回 基本権総論(1):基本権享有主体(外国人、法人、団体)、公務員の人権
第27回 基本権総論(2):私人間効力
第28回 基本権保障と統治機構
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
毎回、次回扱う範囲を指定するので、テキストや学習用判例集などの該当範囲に目を通して、疑問点や自身の考えを持っておくことが大切です。特に判例集は、講義中に参照する機会が多いので、必ず用意して授業に臨むこと。授業で扱える判例には限界があるので、特に資格試験等を考える受講生は、関連判例にも目を配ること(これについては講義で言及します)。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 100 | 論述試験を予定。「到達目標」がどの程度達成できているかを基準に判断します。具体的なルーブリックは最初の講義で説明する予定です。 |
成績評価の方法・基準(備考)
(1)論述試験:基礎知識、題意把握、学説・判例の理解、考察力、表現力、論文構成を採点の基本とします。
(2)授業後などにresponを用いた課題を課すことがあります。これについては、解答は任意として、内容に応じて評価し、加算点として扱います(1回上限5点)。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
クリッカー
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
データベースの活用
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
【テキスト】
(1)安西文雄・巻美矢紀・宍戸常寿『憲法学読本〔第3版〕』(有斐閣、2018年)2,970円
(2)長谷部恭男・石川健治・宍戸常寿編『憲法判例百選Ⅰ・Ⅱ』(有斐閣、2019年)各2,530円
※(1)が体系書、(2)が学習用判例集です。定義など教科書の説明に基づくことがあります。(2)は頻繁に参照しますので必須です。「購入したのに使わない」ということはありません。ただし、テキスト通りに進めるわけではありませんし、すべてのページに解説を加えるということではありません。
【その他の学習用判例集・判例演習】
・橋下基弘『日本国憲法を学ぶ〔第2版〕』(中央経済社、2022年)3,520円
・宍戸常寿・曽我部真裕編『判例プラクティス憲法〔第3版〕』(信山社、2022年)4,740円
・木下昌彦編集代表『精読憲法判例(統治編)』(弘文堂、2021年)4,180円
・横大道聡編『憲法判例の射程(第2版)』(弘文堂、2020年)2,970円
・大林啓吾・柴田憲司編『憲法判例のエニグマ』(成文堂、2018年)7,150円
・工藤達朗編『憲法判例インデックス』(商事法務、2014年)3,080円
【テキストの理解を深めるために】
・毛利透・小泉良幸・淺野博宣・松本哲治『憲法Ⅱ人権〔第3版〕』(有斐閣、2022年)3,300円
・長谷部恭男『憲法〔第8版〕』(新世社、2022年)3,795円
・渋谷秀樹・赤坂正浩『憲法1 人権〔第8版〕』(有斐閣、2022年)2,420円
・高橋和之『立憲主義と日本国憲法〔第5版〕』(有斐閣、2020年)3,520円
・芦部信喜『憲法〔第7版〕』(岩波書店、2019年)3,520円
・渡辺康行・宍戸常寿・松本和彦・工藤達朗『憲法Ⅰ 基本権』(日本評論社、2017年)3,520円
・古野豊秋・畑尻剛『新・スタンダード憲法〔第4版補訂版〕』(尚学社、2016年)3,300円
・小山剛・畑尻剛・土屋武『判例から考える憲法』(法学書院、2014年)2,640円
・大石眞・石川健治編『憲法の争点(新・法律学の争点シリーズ3)』(有斐閣、2008年)2,800円(以上、価格情報は税込み)