シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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古文書学演習(1) | 2025 | 前期 | 金1 | 文学部 | 遠藤 基郎 | エンドウ モトオ | 2・3年次配当 | 2 |
科目ナンバー
LE-PL2-F802
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
教材となる文書について担当者による発表と講師との応答をし、さらに出席者の質問カードなどについて、追加発表を行い、古文書への理解を深める。
教材は2つの武家文書である。鎌倉時代は、現在の長野県北部中野市を拠点とした中野氏の文書を含む市河文書。南北朝期から織豊期は、下総(現在の千葉県)の有力幕府御家人相馬氏の文書である。同家は後に陸奥に拠点を移し、やがて現在の福島県相馬地方の近世大名家となる。彼らの文書を中心に主体的に調べ・発表することで古文書をつかって歴史を学ぶ導入とする。
担当者はパワーポイントを利用し、他の参加者はそれに対する感想・意見メモを提出する。
受講者は、分担する文書について、語句・時代背景・文書様式などを調べるとともに、聞き手の理解を深めるための、関係図などを提示しするなどの工夫をこらすことが求められる。
科目目的
博物館展示の史料として利用されることもあるような中世文書についての基礎的な知識を学ぶ。文書を読む能力そのもののみならず、古文書学の基礎知識(たとえばさまざまな種類の文書やその違いの意味など)を学習する。特定の史料群に限定した教材を用いることで、文書伝来者の活きた歴史の中に古文書を位置づけることで、歴史の語り方を経験し、学ぶ。
またパワーポイントを使用した発表により、報告技術の獲得をはかる。
到達目標
古文書学基礎的知識の習得。
古文書の内容を理解するための基礎的調査方法(辞書やWEB上の各種文献の利用方法など)の習得。とりわけ、ジャパンナレッジの検索方法。
パワーポイントの作成過程で論点を整理して、それを適切に表現できる技能の基礎の確立。
授業計画と内容
各回の内容は以下の通り。「熊谷文書」をテキストに以下の各文書について、レポートを行う。
1 ガイダンス:日本中世史研究での「古文書」とはなにか。
2 資料01 鎌倉幕府将軍家下文
3 資料02 関東下知状
4 資料03 関東御教書
5 資料04 訴状
6 資料05 建武政権文書(1):後醍醐天皇綸旨
7 資料06 建武政権文書(2):陸奥国宣
8 資料07 軍事関係文書:催促状・着到状
9 資料08 譲状
10 資料09 奥州探題関係文書(1)書下・挙状など
11 資料10 奥州探題関係文書(2)預け状・奉書など
12 資料11 一揆契状 資料12 起請文
13 資料13 免許状 資料14 寄進状
14 資料15 相馬義胤書状 資料16 秀吉関係文書:禁制・朱印状
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
事前にレポーターから提出されるパワポファイルに目を通して、疑問点などをまとめておくこと。
なお事前学習として、テキストの文書を筆写することを強く奨めるものである。これにより授業への理解はより深まる。
またいくつかのサイトを利用しておくのがよい。
#図書館サイトから
ジャパンナレッジ
#学外一般
サイニイ
東京大学史料編纂所の古文書ユニオンカタログデータベース
などにアクセスすること。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 50 | 与えられた課題に対して、基本的な文献を利用し、かつ適切な調査方法を実施し、ポイントを押さえて記述できているか。 |
平常点 | 50 | レポーターとして与えられた課題に対して、基本的な文献を利用し、かつ適切な調査方法を実施し、聞き手の受講者に伝えるための工夫を行っているか。発表への質問を積極的に行っているか。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
授業中でのレポーターは、本報告と追加報告の2回を行う。
【本報告】
読み下し・現代語訳・古文書学的な説明・内容の説明を1名または複数で分担する。
発表前日午後までに、manabaの「プロジェクト」に提出する。(他の受講者はそれで事前学習を行う。)
【追加報告】
本報告で出された質問などをもとに講師が課題を、manabaの「プロジェクト」に示す。
それらについて本報告の翌週(ないし次回)に行う。
これも、発表前日に提出する。
アクティブ・ラーニングの実施内容
PBL(課題解決型学習)/プレゼンテーション
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
古文書史料集の編纂
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
史料集編集に際しての実践的調査での経験をもとにした観察方法や解釈の方法を教授する。
テキスト・参考文献等
参考文献としては、飯倉晴武『古文書入門ハンドブック』(吉川弘文館)、佐藤進一『新版 古文書学入門』(法政大学出版局)、『日本古文書学講座5 中世編2』雄山閣が必読。
市河文書中野氏関係:『長野県史』通史編2。桜井彦『信濃国の南北朝内乱』 歴史文化ライブラリー536(吉川弘文館)
相馬氏関係:『相馬市史』、岡田清一『相馬氏の成立と発展』(戎光祥出版)、同『相馬一族の中世』(吉川弘文館)。
また事前学習としてあげた各種サイト・データベースも積極的に利用する。
その他特記事項
履修に際して必ず確認してほしいこと。
(以下の点は必ず踏まえて下さい。)
この授業は、演習(各自の発表と討論)であることは十分に理解して下さい。
演習ですので、各人にレポーターを事前に割り振ります。途中の履修中止は全体の計画に少なくない影響を及ぼします。履修中止のないようにくれぐれもよろしくお願いします。
学芸員資格取得を希望する受講者も含まれますので、内容理解を深めるために、最初の発表とそれへの質問への回答のための追加発表の2回が、単位取得のための最低限の必要条件になります。主体的な調べ作業が要求されます。
また聞き手は毎回質問カードの提出が成績評価に反映されます。
講師とのやりとりは、manabaにて行います。