シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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UX論 | 2025 | 前期 | 水4 | 文学部 | 常川 真央 | ツネカワ マオ | 2~4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
LE-IM2-M405
履修条件・関連科目等
本科目を履修するうえであらかじめ学修が必要な科目はない。なお、「プログラミング(1)」「プログラミング(2)」「情報システム設計」「情報システム開発」ほか情報システム学系統の科目を履修することで、本科目で学んだ知識を生かしたアプリケーションの開発を独自に実践するスキルが得られる。また、「デジタル・ライブラリ」を履修することで、図書館や博物館等の文化施設に関するアプリケーション企画や開発を実践するスキルが身につく。さらに、「ITビジネスのフロンティア」では本科目で学んだUX/UIデザインの手法を活用したアプリケーション開発に取り組むことができる。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
日常の中で、 「この道具はなぜ使いにくいのだろう?」、「どうしてこのサービスはこんなにわかりにくいのだろう?」と不満に思ったことはないだろうか?あるいは、「ここに行くとワクワクするのはなんでだろう?」、「新しく買ったこのスマホはなんでこんなに使いやすいと感じるのだろう?」と思ったことはないだろうか?
本科目「UX論」は、日常で製品やサービスを使うときの上のような疑問に答えを出し、日常の気持ちを明確に言語化していく。そして、いかにしてよりよい道具やサービスをデザインできるのかを、演習も交えながら学んでいく。
本科目の鍵となるキーワードが、「ユーザエクスペリエンス(User Experience; 以下、UX)である。UXとは、ユーザが製品(道具やサービス)を使用するときの反応や感情、行動をまとめた言葉である。近年、ビジネスにおいて「体験」や「価値」を顧客にいかに提供できるかが重視されている。そのためには、道具やサービスの内容を考えるだけでなく、いかにユーザーが製品を使って満足するようになるか、そのイメージを思い描き、実現する方法論が必要となる。
本科目では、良いUXを実現するためのデザイン方法として「人間中心設計(HCD)」と呼ばれる方法論を学ぶ。HCDは、国際標準規格ができており、この方法論を学ぶことで様々なものづくり、サービス企画の場面に活かすことができる。
人を楽しませるコンテンツ作りや、社会の役に立つウェブサービスの開発、あるいは図書館サービスの企画・運営を将来行いたいと考えている学生は、本科目の履修を推奨する。
科目目的
本科目は専攻カリキュラム(2021年度以降)における「データサイエンス・情報システム学系統」の発展的科目として位置づけられている。図書館情報学コース2年次必修科目である「情報システム設計」「情報システム開発」を通して学んだ情報システムの設計・開発手法に、ユーザ目線の設計アプローチを補完する役割を担う。本科目を通して、ウェブサービスなどプロダクトを設計・開発するにあたり、UXデザインを担当する知識やスキルを身につけることを目的とする。
到達目標
1. 人間中心設計の意義や規格、基本的手法について、その背景も含めて説明できる
2. UXデザインの手法を理解し、他者と協調して実践できる
3. UIデザインの手法を理解し、他者と協調して実践できる
授業計画と内容
【第01回 ガイダンス:UXデザインの基礎】
科目の目的と授業の流れについて解説すると共に、UXデザインに関する基礎知識を講義する。
【第02回 利用状況の把握(1):体験を記録する】
人間中心設計における調査手法を講義する。その上で、ユーザー参加型の調査手法の一つである「フォトボイス」の演習として、多摩キャンパス内を散策し、自分が心を動かされた場所やモノを撮影しながら履修生の「多摩キャンパスの体験」を記録する。
【第03回 利用状況の把握(2):体験を語る】
人間中心設計における体験の分析手法を講義する。その上で、演習として前回のフィールドワークで撮影した写真を見ながら、各自が多摩キャンパスの日常について語ることで、自身のUXを振り返る。
【第04回 要求の明確化(1):ユーザー像の定義】
人間中心設計におけるユーザー像の検討手法を講義する。その上で、手法の一つである「ペルソナ法」の演習として、前回の語ったことを踏まえ、設計するアプリの想定ユーザー像を固めていく。
【第05回 要求の明確化(2):要求の定義】
前回の語ったことを全員で分析していきながら、想定ユーザーが多摩キャンパスをより快適に過ごすために必要なことを探っていく。
【第06回 UXデザイン (1) コンセプトの決定】
第4回で定義したユーザーの要求をもとに、多摩キャンパス案内アプリの設計コンセプトを固めていく。
【第07回 UXデザイン(2) シナリオの作成】
設計コンセプトに関するユーザーの日常行動やアプリの操作の流れを「シナリオ」として記述し、アプリの動きを構想する。
【第08回 UIデザイン (1) 画面をデザインする】
アプリやウェブサービスのUIデザインについて講義する。その上で、UIデザインの演習として、シナリオをもとに画面の大まかな流れや画面デザインを設計する。
【第09回 UIデザイン (2) 画面を試作する】
UIを検証するためのプロトタイピング(試作)の方法を講義する。その上で、演習としてFigma等のプロトタイプツールを用いて画面を作成してみる。
【第10回 UIデザイン (3) アプリの動きを試作する】
第09回に引き続き、プロトタイプツールを用いてユーザーの操作による画面の遷移を実現していく。
【第11回 UX/UIの評価 (1) 計画】
開発したアプリのUXを評価する手法について講義する。その上で、演習としてユーザー参加型の評価手法である「ユーザビリティテスト」を実践するための準備を行う。
【第12回 UX/UIの評価 (2) 実行】
第11回で計画したユーザビリティテストを実行し、試作品の改善点について評価していく。
【第13回 UX/UIの改善】
第12回で得られた改善点をもとに、プロトタイプツールによるUIデザインの改善を行う。
【第14回 総括・まとめ:UXデザインのプロセス】
科目全体の総括として、UXデザインのプロセスを演習の振り返りと共に講義する。演習として、今回作成したアプリのデザインプロセスをまとめた「報告書」を作成する。
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出/その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
演習のための資料の収集ならびに演習の準備を事前に行うこと
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 50 | 授業中に実施したUXデザインの演習を踏まえたレポート課題を課し、授業で解説した知識を適切に使用しているか、グループワークの成果物を正確に把握・理解しているかを評価する。 |
平常点 | 50 | 授業への参加・貢献度、受講態度(意見の表明、他の学生と協調して学ぶ態度等)の状況を基準とする。授業への参加・貢献度はResponへのフィードバックまたは課題の提出状況によって評価する。 |
成績評価の方法・基準(備考)
参加を確認できない授業が4回を超える者は成績評価の対象外とする。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
PBL(課題解決型学習)/反転授業(教室の中で行う授業学習と課題などの授業外学習を入れ替えた学習形式)/ディスカッション、ディベート/グループワーク/プレゼンテーション/実習、フィールドワーク
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
クリッカー/その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
Manabaによる小テストやレポート課題を適宜提示する。
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
(テキスト)
山崎和彦, 松原幸行, 竹内公啓著, 黒須正明ほか編. 『HCD ライブラリー 0巻 人間中心設計入門』東京:近代科学社, 2016,東京.ISBN: 9784764905061
池田拓司,宇野雄,上ノ郷谷太一,坪田朋,元山和之,吉竹遼.『はじめてのUIデザイン 改訂版』( https://ui-design.studio.site/ ).
(参考文献)
安藤昌也.『UXデザインの教科書』丸善出版, 2016,東京. ISBN978-4-621-30037-4