シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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演習1 | 2024 | 通年 | 木5 | 経済学部 | 益永 淳 | マスナガ アツシ | 2年次のみ | 4 |
科目ナンバー
EC-OM2-01XS
履修条件・関連科目等
<選考方法>
ゼミの選考は「面接」のみで行います。
<履修条件>
(1)2年次の前期は正規のゼミに加えて、現在の日本経済の諸問題に関するレポートを書くこと。
(2)2年次後期からゼミ生たちの間で始まるグループ研究に責任をもって参加すること(正規のゼミの時間以外にグループのメンバーで時間調整して週1回程度のサブゼミをする必要があります)。
(3)3年次の経済学部プレゼンテーション大会に出場すること。
(4)3年次に4年次の演習論文(卒業論文)に向けたプレ論文を書くこと。
(5)4年次に演習論文(卒業論文)を書くこと。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
<学位授与方針と当該授業科目の関連>
この科目は、協調性及び自己管理力(専門知識を活かせるだけでなく、チームワークの経験から学んで、他人と協調し、自己を管理することができる)の修得に関わる科目です。また、創造的思考力(総合的な学習体験に基づいて、ものごとを創造的に思考することができる)の修得に関わる科目です。
テーマ:経済問題を経済学の歴史から考える
コロナ禍の後、急激な円安、食料・エネルギーを中心とする物価の高騰のために日本経済の回復は順調とはいえません。雇用や景気の今後の状態は依然として不透明であり、テレビやネットでは専門家や学者といわれる人々が様々な立場から様々な意見を述べています。しかし、一体どれが(より)正しいのでしょうか。
この場合、みなさんは、円安・物価・雇用・景気などの諸問題に関するこれらの人々の提案の内容を知りたいと思うでしょう。もちろん、それはとても大事なことです。しかし、通常それらの提案は、人間や経済に関するその人の見方に大きく影響されています。
例えば、人間は金のためだけに働くのか、それともやりがいも求める存在なのか、失業はその人のヤル気の問題なのか、それとも市場経済の構造上の欠陥から生じるのか。どちらの立場に立つかによって、雇用問題に対する考え方も大きく変わってくるでしょう。このように、何が(より)正しいかを判断するためには、論者の意見の背後に潜むその人の価値観に光を当てなければなりません。
経済学の歴史を勉強するということは、過去の経済学者の市場経済観や人間観を学ぶということです。そして、市場経済や人間に対する考え方自体は、昔も今もそれほど異なっているわけではありません。その証拠に、現在の様々な政策提言の背後にある経済や人間に対する見方は、大抵は過去の経済学者たちによってすでに提示されたものと言ってもよいくらいです。
しかも、過去の経済学では、現在の経済学のような複雑なグラフや数式があまり出てこないので、みなさんが経済や人間に対する見方を鍛え上げていく際に、とても勉強しやすいでしょう。
現在の経済問題に対して自分なりの意見をもつためにも、経済学の歴史を学んでみませんか。
科目目的
(1)経済学の歴史と現在の日本経済の諸問題を有機的に結びつけ、経済(学)に対して自分なりの考え方ができるようになること、(2)その考え方を口頭でまたはパワーポイントなどを使用することによって、人前でわかりやすく論理的に伝えることができるようになること、をゼミの目的としています。
到達目標
上記の目的を達成するために、具体的には以下の到達目標を設定します。
【演習1】輪読やプレゼンテーション大会への参加準備により、以下の目標を達成します。
①テキストの輪読の際に、その内容をまずは正確に理解するための文章読解力を身につけること。
②討論の際に、間違っているかもしれないなどということは気にせず、ゼミ生全員が自分なりに考えたこと・思ったこと・感じたことを人前で臆せずに率直に発言して討論に参加すること。
【演習2】経済学部プレゼンテーション大会参加とプレ論文の作成により、以下の目標を達成します。
①人前で自分の主張をわかりやすく論理的に伝える能力を身につけること。
②発言者の主張の内容や意図を的確に理解し、さらに議論を広げていく質疑応答力を身につけること。
③自分が選んだテーマに関する文献情報を収集し、それに基づいて仮説を立て、それを論証していくための論理的思考力を身につけるとともに、論理的・説得的に文章を作成する技術を身につけること。
【演習3】演習論文の作成により、以下の目標を達成します。
3年次までに培った文章読解力、積極性・主体性、プレゼン力、質疑応答力、論理的思考力、および論理的な文章作成技術を総合的に用いて、自分が取り組むべき課題に深く向き合い、自分が置かれた環境で最善を尽くせるような人間に少しでも近づいていくこと。
授業計画と内容
【演習1】(2年次)
<前期>
①経済学の歴史と現在の日本経済を結びつけて考えるための基礎的文献の輪読と討論
②ゼミ生と教員でスケジュール調整のうえ、週にもう1コマ分サブゼミを開催
第1回 顔合わせとゼミでの研究方法
第2回 テキスト第1章の報告と討論(重商主義と重農主義)
第3回 テキスト第2章の報告と討論(アダム・スミス)
第4回 テキスト第3章の報告と討論(リカードウとマルサス)
第5回 テキスト第4章の報告と討論(J.S.ミル)
第6回 テキスト第5章の報告と討論(フランス・ドイツの経済諸思想)
第7回 テキスト第6章の報告と討論(限界革命の経済学)
第8回 テキスト第8章の報告と討論(ケインズ)
第9回 テキスト第10章の報告と討論(反ケインズ経済学)
第10回 テキスト第12章の報告と討論(マルクス)
第11回 テキスト第13章の報告と討論(シュンペーター)
第12回 Powerpoint講習会(上記のいずれかの回と代替)
第13回 Excel講習会(上記のいずれかの回と代替)
第14回 グループ研究の方法とグループ分け
<8~9月頃>
〇夏合宿(2~4年次)夏休み中のグループ研究報告と討論
<後期>
①各班のテーマに応じた基本文献の報告と討論
②サブゼミは班ごとに自主開催
第15回 第1班の研究報告と討論
第16回 第2班の研究報告と討論
第17回 第3班の研究報告と討論
第18回 第1班の研究報告と討論
第19回 第2班の研究報告と討論
第20回 第3班の研究報告と討論
第21回 第1班の研究報告と討論
第22回 第2班の研究報告と討論
第23回 第3班の研究報告と討論
第24回 第1班の研究報告と討論
第25回 第2班の研究報告と討論
第26回 第3班の研究報告と討論
第27回 第1~第3班の研究報告
第28回 Excel講習会(上記のいずれかの回と代替)
【演習2】(3年次)
<前期>経済学部プレゼンテーション大会への準備
①テーマの最終確定
②各班からの研究報告
③プレゼンの練習
④サブゼミは班ごとにスケジュール調整のうえ自主開催
第1回 第1班の研究報告と討論
第2回 第2班の研究報告と討論
第3回 第3班の研究報告と討論
第4回 第1班の研究報告と討論
第5回 第2班の研究報告と討論
第6回 第3班の研究報告と討論
第7回 第1班の研究報告と討論
第8回 第2班の研究報告と討論
第9回 第3班の研究報告と討論
第10回 第1班の研究報告と討論
第11回 第2班の研究報告と討論
第12回 第3班の研究報告と討論
第13回 第1~第3班の研究報告
第14回 前期のグループ研究報告結果の振り返り
<8~9月頃>
〇夏合宿(2~4年次)夏休み中のグループ研究報告と討論
プレ論文のテーマ決定
第15回 第1班の研究報告と討論
第16回 第2班の研究報告と討論
第17回 第3班の研究報告と討論
第18回 第1班の研究報告と討論
第19回 第2班の研究報告と討論
第20回 第3班の研究報告と討論
第21回 プレ論文の報告と討論(第1班)
第22回 プレ論文の報告と討論(第2班)
第23回 プレ論文の報告と討論(第3班)
第24回 プレ論文の報告と討論(第1班)
第25回 プレ論文の報告と討論(第2班)
第26回 プレ論文の報告と討論(第3班)
第27回 プレ論文の報告(第1班・第2班)
第28回 プレ論文の報告(第3班)と3年次ゼミ活動の振り返り
【演習3】(4年次)
〇夏合宿(2~4年次)演習論文(卒業論文)のテーマ最終決定
2年生と3年生の研究活動の指導
<後期>
〇演習論文の執筆(報告と討論、提出後の論文集製本)
第1回 演習論文の書き方について
第2回 第1回報告と討論(履修者のうちの3分の1)
第3回 第2回報告と討論(履修者のうちの3分の1)
第4回 第3回報告と討論(履修者のうちの3分の1)
第5回 第4回報告と討論(履修者のうちの3分の1)
第6回 第5回報告と討論(履修者のうちの3分の1)
第7回 第6回報告と討論(履修者のうちの3分の1)
第8回 第7回報告と討論(履修者のうちの3分の1)
第9回 第8回報告と討論(履修者のうちの3分の1)
第10回 第9回報告と討論(履修者のうちの3分の1)
第11回 第10回報告と討論(履修者のうちの3分の1)
第12回 第11回報告と討論(履修者のうちの3分の1)
第13回 第12回報告と討論(履修者のうちの3分の1)
第14回 演習(卒業)論文集の作成について
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
テキストやレジュメの下読みに加えて、サブゼミやグループ研究に必要な話し合い、論文指導が授業時間外に入ることがあります。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 30 | 2年次はゼミの中で自分が興味をもった日本経済の諸問題に関するレポート、3年次は(演習論文を見据えた)プレ論文、4年次は演習論文(卒業論文)を執筆します。レポートは(1)現状・事実に関する記述の十分性・正確性によって評価し、プレ論文と演習論文(卒業論文)はそれに加えて、(2)先行研究の整理と差別化も評価基準にします。 |
平常点 | 70 | 2年次~4年次のすべてに関して、報告準備、質疑応答および議論への参加によって評価します。 |
成績評価の方法・基準(備考)
【演習1】
・テキストの下読み、討論において質問の提出および自分の発言を積極的にできるようになったか(70%)
・自分の興味をもった問題に関してレポートを作成する力がついたか(30%)
【演習2】
・論理的・批判的な思考力が身についたか(30%)
・グループワークおよびプレゼンテーションの能力が身についたか(40%)
・論理的な文章構成力が身についたか(30%)
【演習3】
・先行研究を批判的に整理して自分の独自性を提示する能力が身についたか(100%)
以上の各項目を評価基準とするので、特に通常授業での討論の参加状況と、サブゼミを含む班ごとの活動への貢献を重視します。そのため、通常授業やその他のゼミ活動に欠席を重ねると、成績評価の対象とならなくなりますので、十分に注意して下さい。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート/グループワーク/プレゼンテーション
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
・上記の授業計画等にあるように、演習1~3に至るまで、「ディスカッション、ディベート」「グループワーク」「プレゼンテーション」を実施します。
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
木村雄一・瀬尾崇・益永淳『学ぶほどおもしろい 経済学史』晃洋書房、2022年。
上記の「テキスト」の他に、自学自習用の「参考文献」を挙げておきます。
ナイアル・キシティニー(月沢李歌子)『若い読者のための経済学史』すばる舎、2018年。
現在の日本経済の諸問題に関する参考文献は、ゼミ開始後に必要に応じて指示します。
その他特記事項
参考URL
http://www.yomiuri.co.jp/adv/chuo/opinion/20130415.htm