シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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経済変動論 | 2024 | 前期複数 | 火4,金2 | 経済学部 | 古川 雄一 | フルカワ ユウイチ | 3年次配当 | 4 |
科目ナンバー
EC-TE3-11XX
履修条件・関連科目等
本科目の受講開始までに、ミクロ経済学、マクロ経済学、経済数学(微分と最適化等)の基本的な知識を獲得していることが望ましい。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
<学位授与方針と当該授業科目の関連>
この科目は、現実把握力(経済学の専門知識及び社会・人文・自然科学の知識教養に裏付けられた広い視野に立った柔軟な知性に基づき、現実の経済現象を的確に把握することができる)の修得に関わる科目です。
<概要>
経済は「生き物」なので, 常に動いています。 例えば、物価やGDPのようなマクロ指標が日々あるいは年々変化・変動しています。また、ミクロレベルで見ても、 学術の発展や科学技術の進歩とともに, 経済主体を取り巻く環境も日々進化し, 人々の意思決定・行動のあり方を変化させ続けています。スマートフォンの普及やSNSの浸透は好例です。
このような経済の生きた「動き」を、広く、経済変動と呼びます。経済変動という概念は、GDPや物価の変動から、イノベーションの盛衰まで、幅広い「動き」をカバーします。「経済変動論」は、経済変動を引き起こすメカニズム、経済変動がもたらす影響について研究する学問分野です。
この授業では、経済変動論の諸理論について学修します。データやニュースに注意しつつも、経済変動を理解・説明するのに有益な経済理論モデルを学んでいくので、数学に抵抗感が少ない学生に向いている科目といえます。
科目目的
本講義の目的は, ダイナミックな経済の変化・変動(経済変動)について学ぶことにある. 具体的には, どのような経済的要因が, どのようなメカニズムによって、経済変動を引き起こすのか. 経済変動が, 社会に与える影響はどのようなものか. 現時点で, 経済学はこの問いに対する完璧な解答を持っていないが, この問いを分析するツール, 理論モデルは数多く用意している. この講義では, 様々な経済モデルを学習しながら, 現実に起こっている経済変動のあり方への理解を深め, 最終的には, 動学モデルを自身で操る技術を習得していく.
到達目標
(a) 経済成長モデルの長期均衡の数理的・経済学的性質を, 経済モデルを使って説明できるようになる.
(b) 各経済変動モデルの安定性の数理的・経済学的性質を, 経済モデルを使って説明できるようになる.
(c) 上述のモデル分析をつかって, オリジナルの理論分析を実践できるようになる.
授業計画と内容
14週 (全28回分)の授業は次の通り.
1. 経済動学の概要: 長期トレンドと短期変動; 動学モデルとは?
2. 長期トレンドを説明するモデル:生産関数の役割
3. 技術進歩と経済成長1:成長率と成長会計
4. 技術進歩と経済成長2:ソローモデル
5. 技術進歩と経済成長3 :経済の長期的なゴール=定常状態
6. システムを一次近似する
7. 積分の計算1:定義と基本的なルール
8. 積分の計算2:簡単な部分積分と置換積分
9. 線形微分方程式の解法1:応用例と公式
10. 線形微分方程式の解法2:演習
11. 定量分析1: ソローモデルのカリブレーション
12. 定量分析2 ソローモデルをシミュレーション
13. 中間総括:離散モデルから連続モデルへ、理論疫学モデルを例に
14. 中間試験と解説:理解度をチェックする
15. 需要が供給を作る: 45度線モデルの復習
16. 45度線モデルの動学版で経済変動を理解する1:モデルの動学化
17. 45度線モデルの動学版で経済変動を理解する2:モデルで経済変動を考える
18. 金融政策が経済変動に与える影響1:ISーMPモデル
19. 金融政策が経済変動に与える影響2:モデルの動学化
20. 金融政策が経済変動に与える影響3:金融政策が引き起こす経済変動
21. 実践・理論研究1:新しい経済モデルの作り方(講義)
22. 実践・理論研究2: テーマ設定とモデル設定(個人 or グループワーク)
23. 実践・理論研究2:モデル分析と結果の導出(個人 or グループワーク)
24. 実践・理論研究3:結果の考察と政策的インプリケーション
25. 実践・理論研究4:プレゼンテーションの作成
26. 成果発表会:理論研究を報告する
27. 予備日(受講者が多い場合は成果発表会2、そうでない場合は「経済動学研究の今後」を講義)
28. 総括
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
〇manaba で講義資料をダウンロードし、事前に目を通しておいてください。
〇授業時間中、宿題で出した問題は中間・期末試験の問題に直結しますので、よく復習しておいてください。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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中間試験 | 20 | 解答の数字ないしは数式が正しいか、導出過程がきちんと書かれているか、によって評価する。 |
期末試験(到達度確認) | 30 | 解答の数字ないしは数式が正しいか、導出過程がきちんと書かれているか、によって評価する。 |
平常点 | 50 | 毎回の宿題(前半)とグループワーク (1人の場合は個人作業)の質 (後半)、および成果発表会におけるプレゼンテーションの質。 |
成績評価の方法・基準(備考)
以下、注意点です:
〇合格の目安は、総合評価60%以上である
〇試験はオンラインで実施される
〇講義後半に予定されている「実践・理論研究」への参加は必須である
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/その他
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
中間試験は授業時間内に、期末試験は解説動画によってフィードバックする予定です。
アクティブ・ラーニングの実施内容
反転授業(教室の中で行う授業学習と課題などの授業外学習を入れ替えた学習形式)/グループワーク/プレゼンテーション
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
一部の授業回において、グループワーク、プレゼンテーション反転授業を実施する。授業日の前に動画を公開する形式の反転授業も数回行う。
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
特定の教科書は使いませんが、講義資料を manaba を使って配布します。購入の必要はありませんが、参考文献として以下を挙げておきます:
1. 経済成長論については、二神孝一著『動学マクロ経済学 成長理論の発展』日本評論社 2012年 (ISBN 4535556733)
2. 経済変動論については: 関根順一著『基礎からわかる経済変動論 (第3版) 』中央経済社 2021年 (ISBN 450238061X)
3. 差分方程式・微分方程式については: A.C.チャン、K.ウエインライト著『現代経済学の数学基礎[第4版] (下)』彩流社 2020年 (ISBN 4779160057) (翻訳者 小田 正雄 、高森 寛 、森崎 初男、森平 爽一郎)