シラバス
| 授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 研究倫理 | 2026 | 夏季集中 | 他 | 理工学研究科博士課程後期課程 | 金光 秀和 | カネミツ ヒデカズ | 1年次配当 | 1 |
科目ナンバー
SG-OC6-RA01
履修条件・関連科目等
特になし
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
本授業は、科学者の社会的責任という観点から研究倫理を根本的に問い直すことを目的とする。
科学研究は、個々の研究者の自由な知的探究としてのみ成立しているのではなく、国家、産業、軍事、医療、環境政策など、さまざまな社会的制度や権力構造と結びつきながら展開されてきた。本授業では、研究倫理を単に「不正を防ぐための規範」や「遵守すべきルール」として理解するのではなく、科学が社会において果たしてきた役割と、その帰結に対する責任のあり方として捉える。
具体的には、軍事研究、研究不正事例、政策と科学の関係など、歴史的・現代的事例を手がかりに、科学者がいかなる条件のもとで研究を行い、どのような責任を負うことになるのかを考察する。その上で、現代における研究倫理や研究公正の制度を、こうした問題に対する社会的応答として位置づけ、研究者として自らの研究実践を批判的に省察する視点を養う。
科目目的
本授業の目的は、広義の科学者(所属する組織を問わず、新しい知識を生み出し、それを利活用する専門職業者であり、技術者を含む)が、以下の点について理解と考察を深めることである。
・科学・技術が社会にもたらしてきた影響を歴史的・構造的に理解する視点を身に付ける
・研究倫理を単に「個人の善悪」や「規則遵守」の問題に還元することなく、科学者が社会の中で引き受ける責任のあり方として捉え直すための理論的枠組みと批判的視点を身につける
具体的には、科学と国家、軍事、政策、組織との関係をめぐる事例を通して、科学者の判断がいかに制度的・社会的条件によって制約されるのかを考察する。また、研究不正や疑わしい研究活動を、個人の逸脱としてではなく、研究環境や評価制度、競争構造との関係から分析する視点を獲得する。
これらを通して、科学者として、自身の研究が社会の中でどのような意味と影響を持ちうるのかを自覚的に考え、責任ある研究のあり方を構想することを目的とする。
到達目標
本授業を履修することにより、受講者は以下の到達目標を達成することを目指す。
・科学者の社会的責任を、歴史的・制度的文脈を踏まえて説明できる。
・科学と国家、軍事、政策、組織との関係が研究倫理に与える影響を具体的事例に基づいて説明できる。
・研究不正や疑わしい研究活動を、個人の問題に還元せず、構造的に分析できる。
・研究倫理を単に遵守すべき規範としてではなく、科学者が引き受けるべき社会的責任として捉え、自身の研究活動に引きつけて考察できる。
・自らの研究分野に即して、科学者としての責任のあり方を言語化し、批判的に検討できる。
なお、本科目は、学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)の「理工学研究科を修了するために身に付けるべき資質・能力」のうち、「創造力」の構成要素である「関連法令を遵守し、倫理観を持って技術者が社会に対して負っている責任を果たす」資質・能力の養成に不可欠な内容を含んでいる。加えて、本科目では、「コミュニケーション力」、「問題解決力」、「組織的行動能力」、「多様性創発力」の資質・能力が試される。
授業計画と内容
第1回 イントロダクション
・本授業の問題意識、内容、到達目標の説明
・研究倫理と科学者の社会的責任
第2回 科学・技術と国家
・科学技術の制度化
・軍事技術をめぐる事例
第3回 責任ある研究
・研究不正の事例とその構造
・責任ある研究という考え方の整理
第4回 研究不正の防止
・研究不正防止策の検討
第5回 科学者の社会的責任
・科学者の社会的責任の3つの相
・科学と社会の相互作用と責任
第6回 自らの研究と社会的責任(1)
・自らの研究と社会的責任に関する発表および相互評価
第7回 自らの研究と社会的責任(2)
・自らの研究と社会的責任に関する発表および相互評価
授業時間外の学修の内容
授業終了後の課題提出/その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業で扱った事例や概念について、配布資料や参考文献等をもとに理解を深めるとともに、科学・技術と社会の関係に関する現実の事例(新聞記事、政策動向、社会的議論等)に目を向け、自身の研究との関係を考察すること。また、最終回に行う発表に向けて、自らの研究が社会の中でどのような意味や影響を持ちうるのかについて、継続的に検討すること。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
| 種別 | 割合(%) | 評価基準 |
|---|---|---|
| レポート | 30 | インタラクティブ教材 The Lab を通して学んだ内容について、研究倫理や科学者の社会的責任という観点から考察したレポートを提出する。理解の正確さだけでなく、授業内容との関連づけや自身の考察の深さを評価する。 |
| 平常点 | 20 | 授業中のディスカッションへの参加状況、レスポンスシート等の記述内容をもとに評価する。単なる発言量ではなく、授業内容を踏まえた思考や他者の意見への応答を重視する。 |
| その他 | 50 | 最終回に行うプレゼンテーション「自らの研究と社会的責任」をもとに評価する。自分の研究を専門外の人にもわかりやすく説明できているか、市民が抱きうる問いに向き合っているか、科学者の社会的責任を構造的に捉えているかといった点を総合的に評価する。 |
成績評価の方法・基準(備考)
成績評価にあたっては、特定の結論や見解の正否のみを基準とするのではなく、授業内容を踏まえた考察の過程や理解の深さを重視する。平常点については、発言量のみで評価することはせず、レスポンスシート等を含めて総合的に判断する。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
PBL(課題解決型学習)/ディスカッション、ディベート/グループワーク/プレゼンテーション
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
【テキスト】
特定のテキストは使用しない。授業では、教員が作成する資料を用いる。
【参考文献】
藤垣裕子『科学者の社会的責任』岩波書店、2018年(ISBN:9784000296793)
金森修『科学の危機』集英社、2015年(ISBN:9784087207828)
【参考資料】
日本学術会議「科学者の行動規範」
https://www.scj.go.jp/ja/scj/kihan/
日本科学技術振興機構(JST)・インタラクティブ教材 The Lab
https://lab.jst.go.jp
eAPRIN(研究倫理教育プログラム)
https://edu.aprin.or.jp
その他特記事項
本授業では、特定の専門分野に関する予備知識は求めないが、自らの研究を社会との関係において捉え直す姿勢を重視する。授業内では積極的な討議や意見交換を行うため、他者の立場や分野の違いを尊重しながら参加することを期待する。授業内容や評価に関する質問・相談は、授業前後または初回に伝える電子メール等を通じて随時受け付ける。