シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ベーシック演習Ⅰ | 2024 | 春学期 | 木6 | 商学部 | 河邑 肇 | カワムラ ハジメ | 1年次配当 | 2 |
科目ナンバー
CM-AD1-01XS
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
Black or White?「優良企業」でなぜKaroshi(過労死)が?
Karoshiという単語は、2002年のオックスフォード英語辞典にその意味が初めて掲載されて以来、日本語がそのまま英語として認定されている、数少ない言葉の一つである。
なぜか?それはKAROSHI(過労死)という言葉によって表現されている現実が、世界の他の国や地域のどこにも存在しない現象だからだ。
例えば、これまでに公的に過労死や過労自殺を引き起こしている企業、病院、学校には次のようなものがある。
トヨタ自動車、電通、三井物産、三菱電機、みずほ銀行(旧富士銀行)、中部電力、東京海上日動火災保険(旧日動火災保険)、日立造船、Nikon、川崎製鉄、コマツ、日研化学、カルビー、オタフクソース、JTB、AGF(エージーフーズ)、エース証券(野村證券系列)、TIS(TOTO子会社)、小田急レストランシステム、土浦協同病院(外科医)、佼成病院(小児科医)、東京都新宿区立小学校(教師)、愛知県名古屋市立中学校(教師)、愛知県尾張旭市立小学校(教師)、千葉県船橋市立中学校(教師)、静岡県立高校(教師)
この中には皆さんが大学卒業後に働いてみたいと感じていた「優良企業」も数多く含まれていることだろう。それではなぜ、世界でも日本でだけ過労死が発生しているのだろうか。その仕組みを知り、過労死のない世界を展望することが、この授業の目的である。
科目目的
日本企業の現状を知り、その現実を受け止めた上で、大学時代には何をすべきなのか、卒業後はどのような分野の職業に就くべきなのか、その現実にどのようにアプローチすべきなのか、自ら考えるベースとなる知性を獲得すること。
到達目標
日本の経済と企業の現状を知り、それを今後の自らの生き方に反映させるために、自分とは異なる様々な背景や考え方を持つゼミの他のメンバーと議論し、個人としては得られない認識を獲得すること。そのための前提として、考察の素材となるテキストを正確に読み込み、自分なりの理解を得ること。そしてそれを他の人に理解できるように文書化し口頭で報告する力量を形成すること。
それらの能力を獲得した上で、最終的にはこの授業を離れても、自らの力で日本の経済と企業の現状に関するオリジナルの見識を身につけることができるようになること。
受講生がそのような力量を形成する授業になります。
授業計画と内容
春学期
第1回 授業ガイダンス(通年)
第2回 特異な日本の採用・就職
第3回 入社式と新入社員研修
第4回 会社の共同体的上部構造
第5回 従業員組合ー「非常に非常識」な「労働組合」
第6回 会社による従業員の全時間掌握
第7回 自己変革できないBlack and White企業
第8回 「願うことはただ一つ、5時間以上寝たい」
第9回 「残業月平均15時間」の求人票
第10回 朝早くから夜遅くまで行動を管理され
第11回 災害対応による過労の末に
第12回 「給料泥棒!」と罵倒されて
第13回 脅迫された被害者なのに左遷されて
第14回 総括と課題
秋学期
第1回 ある証券マンの過労死
第2回 トラック労働者の群像
第3回 工場・建設労働者の過労死
第4回 ホワイトカラーとOLの場合
第5回 斃れゆく教師たち
第6回 管理職と現場リーダーの責任
第7回 日本的生産システムと過労死
第8回 多発する20代若者の過労自殺と大学生の就活自殺
第9回 ハラスメントと過重労働のもたらす死
第10回 賃金不払い残業の手法と実態
第11回 日本的働きすぎと労働時間の二極分化
第12回 企業中心社会はいかにして成立したか
第13回 どうすれば過労死はなくせるのか?
第14回 全体の総括
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出/その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
インターネット、新聞、雑誌、書籍などで、日本企業と日本社会の働き方の現状について、意識的にリサーチすること。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
---|---|---|
平常点 | 100 | 授業のテーマに関する個人的なリサーチ、チームとしての準備、作成したレジュメの内容、報告の仕方、議論への関わり方、議論の水準などを総合的に、観察し、評価する。 |
成績評価の方法・基準(備考)
ゼミナール形式の演習科目では、受講生自身の主体的な参加が最も重要です。欠席や遅刻は大きな原点になります。授業時間以外のフィールドワークなどへの参加についても同様です。主体的に参加する意思の無い人は受講を控えてください。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート/グループワーク/プレゼンテーション/実習、フィールドワーク
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキスト
①野村正實『「優良企業」でなぜ過労死・過労自殺が?ー「ブラック・アンド・ホワイト企業」としての日本企業』ミネルヴァ書房、2018年。
②熊沢誠『過労死・過労自殺の現代史ー働きすぎに斃れる人たちー』岩波現代文庫、2018年。
参考文献
鎌田慧『自動車絶望工場【新装増補版】』講談社文庫、2011年。
森岡孝二『過労死は何を告発しているかー現代日本の企業と労働ー』岩波現代文庫、2013年。
川人博『過労自殺(第二版)』岩波新書、2014年。
渡邉正裕・林克明『トヨタの闇ー利益2兆円の「犠牲」になる人々ー』ビジネス社、2007年。
出井康博『ルポ ニッポン絶望工場』講談社α新書、2016年。
その他特記事項
ソフトウエアの利用は特になし。