シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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財政学 | 2024 | 春学期複数 | 火4,金2 | 商学部 | 小原 拓也 | オバラ タクヤ | 3・4年次配当 | 4 |
科目ナンバー
CM-EO3-11XL
履修条件・関連科目等
Web登録科目です。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
公的債務の累積、年金改革、消費増税や所得税制の改正など、財政健全化、社会保障、税制改革に関する様々なニュースを私たちは毎日テレビや新聞等で目にします。本講義では、「財政は持続可能なのか?」「社会保障給付費をなぜ上げなければならないのか?」「なぜ法人税ではなく、消費税や所得税を増税するのか?」などの疑問に対して制度面および経済学的観点から答えを模索する。政府の活動は我々の生活に密接に関連するので、学生の問題意識を高めるために幅広く様々なテーマを扱う予定です。
講義で用いる自作のパワーポイント資料を事前にmanabaに載せるので、印刷ないしはPCを持参して講義に出席してください。また、公務員試験等で出題された問題を講義内容の理解を深めるためにmanabaに掲載します。
科目目的
この科目は、カリキュラム上の専門教育科目として位置付けられていることから、この科目を学習することで、学生が政府の活動に対する認識を深めるとともに、財政学に対する基礎的な知識を習得することを目的としています。
到達目標
財政学の基本的な内容を習得することで、政府はどのような目的で多岐に渡る経済活動を行っているのか経済学的に理解できるようになることです。さらに、様々な日本が抱える問題に対して政府は今後どのように行動するべきなのか自分の意見をもてるようになることです。
授業計画と内容
第1回:ガイダンス: シラバスを読む、財政学概論
第2回:市場と政府: 市場の失敗と政府の役割
第3回:財政の仕組み(1): 財政制度(一般会計と特別会計、税制と社会保障制度、政府間の財政移転制度)
第4回:財政の仕組み(2): 財政指標(国民負担率、基礎的財政収支、世代会計)
第5回:公共財理論: 公共財の例と分類、公的供給と私的供給、最適供給条件、ただ乗り問題
第6回:外部性: 外部経済と外部不経済、外部性の内部化(ピグー税、コースの定理)
第7回:費用逓減産業: 自然独占、価格規制(限界費用価格規制、平均費用価格規制、インセンティブ規制)
第8回:社会保障制度(1): 情報の非対称性(逆選抜、モラルハザード)、社会保障の必要性と問題点
第9回:社会保障制度(2): 年金制度(日本の年金制度の仕組みと問題点)
第10回:社会保障制度(3): 医療・介護制度、生活保護制度(不正受給と漏給の問題)
第11回:応用(1): 労働政策(ベーシック・インカム、ワーク・ライフ・バランス、給付付き税額控除)
第12回:応用(2): 子育て政策(賦課方式と子供の外部性、子供補助、女性の社会参加と外部施設の役割)
第13回:応用(3): 教育政策(外部性の観点、再分配政策の観点)
第14回:中間まとめ: 第1回〜第13回の講義のポイントを総復習
第15回:税制の設計: 望ましい税制とは(効率性、公平性、簡素性の観点)、税の分類(直接税と間接税)
第16回:租税(1): 消費税(従量税と従価税)、軽減税率と逆弾力性ルール
第17回:租税(2): 労働所得税(個人単位、世帯単位)、日本の所得税の仕組みと近年の改正
第18回:租税(3): 資本所得税(課税の正当性:アリとキリギリスを例に、異時点間の消費選択への影響)
第19回:租税(4): 法人税(会計上の利益と税務上の利益の違い、実効税率と名目税率の違い、投資への影響)
第20回:租税(5): 国際的な資本・労働移動の下での課税(法人税と労働所得税の観点から)
第21回:租税(6): 税の転嫁と帰着(消費税と法人税を例に)
第22回:所得再分配(1): 所得再分配の根拠と効果、所得の不平等度(ジニ係数とローレンツ曲線)
第23回:所得再分配(2): 現金給付と現物給付、定額補助金と定率補助金、最適課税論入門(最適所得税率の推計、軽減税率の評価)
第24回:国債: 国債の種類、財政赤字の現状と問題点、国債の理論(ドーマー条件、中立命題)
第25回:経済政策(1): 経済の安定化とは、マクロ経済学の復習①(財市場と貨幣市場)
第26回:経済政策(2): マクロ経済学の復習②(IS-LM分析)
第27回:経済政策(3): 裁量的財政政策と問題点
第28回:期末まとめ: 第15回〜第27回の講義のポイントを総復習
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
公務員試験等で出題された問題をmanaba上に掲載するので、知識の定着のために活用すること。理解しているところとそうでないところを明確にし、講義資料や参考文献の該当箇所で補うこと。また、現実に起こっている経済・財政に関連する問題を理解し、自分なりの意見をもてるようになるために、日頃からニュースを見るないしは新聞を読む癖を身につけること。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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中間試験 | 50 | 第1回〜第13回の内容における基礎的な理論、制度、現実の財政問題を理解しているかどうかが問われます。 |
期末試験(到達度確認) | 50 | 第15回〜第27回の内容における基礎的な理論、制度、現実の財政問題を理解しているかどうかが問われます。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
・manabaに掲載する確認問題の簡単な解説を講義冒頭で行う予定である。
・中間試験と期末試験の解説をmanabaに掲載する予定である。
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキストは指定しません。自作のパワーポイント資料を使用します。参考書は以下の通りです。
1. 麻生良文・小黒一正・鈴木将覚著, 『財政学15講』, 新世社, 2018年
ISBN-10: 488384269X
ISBN-13: 978-4883842698
2. 佐藤主光著, 『公共経済学15講』, 新世社, 2017年
ISBN-10: 4883842657
ISBN-13: 978-4883842650
3. 土居丈朗著, 『入門公共経済学 第2版』, 日本評論社, 2018年
ISBN-10: 4535558914
ISBN-13: 978-4535558915
4. 西村幸浩・宮崎智視著, 『財政のエッセンス』, 有斐閣, 2015年
ISBN-10: 4641150230
ISBN-13: 978-4641150232
5. 山重慎二著, 『財政学』, 中央経済社, 2016年
ISBN-10: 4502175315
ISBN-13: 978-4502175312
その他特記事項
必要に応じてミクロ経済学とマクロ経済学の基礎的な内容を講義内で復習する。また、必要最低限度の数学の知識(特に一次関数と微分)が求められますが、グラフを書きながら直感的に説明することを心掛けるので多くの学生に履修していただきたいです。ただし、授業中の私語は他の学生の妨害になるので厳禁とする。ソフトウェアの利用なし。