シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
進化経済学 | 2024 | 秋学期複数 | 水3,水4 | 商学部 | 植村 博恭 | ウエムラ ヒロヤス | 3・4年次配当 | 4 |
科目ナンバー
CM-EO4-12XL
履修条件・関連科目等
Web登録科目です。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
経済システムを進化的に把握するには、経済システムがどのように構成され、変化しているか理解しなければならない。古典派経済学は本質的にこのような理解のうえに成り立っていた。進化経済学も古典派経済学以降、制度学派や複雑系経済学、さらに政治経済学などいくつかの源泉がある。現在、制度と選好・行動の共進化、経済制度の進化的多様性、システムの構成要素の相互依存性と動態的調整に関する最新の理解を用いて、経済システムの進化と多様性を分析を発展させている。
従来のテキストでは、経済合理性の仮定と均衡論的思考によって、経済システムの内生的進化は排除され、同質的な企業や家計から市場均衡が結果するとされる。しかし、構成要素の異質性と進化の分析なしには、経済システムを理解できない。このような観点から市場システム、金融システム、雇用システム、企業システムなどに関する制度的・進化的理解及び経済システムの進化的多様性と動態について学ぶ。
科目目的
この科目は、カリキュラム上の商学部分野別専門科目の経済・法律系の科目として位置付けられていることから、この科目での学習を通じて、学生が進化経済学、経済制度分析、複雑系科学などに対する認識を深めるとともに、制度と進化の政治経済学及び資本主義の進化的多様性と動態に関する基礎的な知識を習得することを目的としています。
到達目標
この授業では、学生が進化経済学、経済制度分析、複雑系科学などの最新の認識と方法を用いて、制度と進化の政治経済学の分析方法を学び、経済システムの進化的多様性と動態の特徴を十分に理解し説明できることを到達目標としています。
授業計画と内容
授業計画 前半
1. ガイダンス:経済学の現状と進化経済学の発展
2. 経済学の歴史と諸学派の進化:新古典派、マルクス、ケインズ、シュンペーター
3. 資本主義の多様性と比較制度分析:経済システムの進化と構造変化
4. 資本主義の多様性の進化と経済政策:モラル・エコノミーの可能性
5. 市場システムの制度分析:競売買と相対取引
6. 価格決定(マークアップ原理)と多段階的数量調整
7. 貨幣・金融システムの循環と変動
8. 金融不安定性と金融システムの制度的多様性
9. 労働力商品の特殊性と雇用システム
10. 雇用システムの制度的多様性:日本・アメリカ・ヨーロッパ
11. 企業システムの進化と多様性
12. 技術革新と市場構造の進化:技術パラダイムと技術軌道
13. 日本的企業システムの制度分析:組織能力と適応的進化過程
14. 所得分配と経済格差:市場・企業と市民社会(コミュニティー)と国家
後半
15. 経済システムの動態的調整メカニズム(レギュラシオン):重層的複雑系における定常性
16. ケインズのマクロ経済理論(1):有効需要の原理と非自発的失業
17. ケインズのマクロ経済理論(2):投資決定と流動性選好
18. ケインズ経済学の現代的意義
19. カレツキとハロッド:ケインズと同時代のマクロ経済学
20. ハロッド成長理論とソロー成長理論:成長理論の2つの源流
21. マクロ経済における生産要素間代替の非現実性と産業進化の重要性
22. 経済成長と所得分配:需要形成・賃金-利潤決定の相互作用
23. 累積的因果連関と経済発展の経路依存性:フォーディズムの成長レジームの経験
24. 産業構造の高度化と脱工業化:社会的共通資本の重要性
25. 国際的技術体系と古典派国際貿易論の現代的展開
26. 国際金融システムの変動と不安定性
27. アフター・コロナの地域経済統合の進化:EUと東アジアにおける相互依存性
28. グローバル時代の経済政策:日本経済の現状と将来
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出/その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
毎回の授業で、授業時間外の学修の範囲を示すとともに、定期試験前などに質問時間を設定し、最終的な授業理解を促進します。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
---|---|---|
中間試験 | 40 | 進化経済学(主として制度分析)に関する基礎知識を十分に理解し説得的に説明できるかどうかを評価します |
期末試験(到達度確認) | 60 | 進化経済学(主としてマクロ分析と産業分析)に関する基礎知識を十分に理解し説得的に説明できるかどうかを評価します |
成績評価の方法・基準(備考)
試験においては、manabaレポートを使用します。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
授業時間内に理解が進むよう工夫している 。
アクティブ・ラーニングの実施内容
PBL(課題解決型学習)
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
対面授業を基本としつつ、manabaを活用して資料配信等を行います。
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
講義は講義レジュメに沿って行います。必要に応じてレジュメはWebで公開しダウンロード可能にできるようにします。参考文献として以下を挙げます。講義を聞くことと読むことは別個の作業なので、授業で直接参照することはありませんが、読んでおくことを薦めます。
進化経済学会編『進化経済学ハンドブック』共立出版,2006年.
青木正直・青山秀明・有賀裕二・吉川洋監修『50のキーワードで読み解く経済学教室:社会経済物理学とは何か』東京図書,2011年.
青木昌彦『比較制度分析に向けて』NTT出版,2003年.
磯谷明徳・植村博恭編『制度と進化の政治経済学:調整の重層性と多様性』日本経済評論社,2022年.
植村博恭・磯谷明徳・海老塚明『社会経済システムの制度分析』名古屋大学出版会,2007年.
サミュエル・ボウルズ『制度と進化のミクロ経済学』(塩沢由典・磯谷明徳・植村博恭訳)NTT出版,2013年.
サミュエル・ボウルズ『モラル・エコノミー:インセンティブか善き市民か』(植村博恭・磯谷明徳・遠山弘徳訳)NTT出版,2017年.
塩沢由典・有賀裕二編著『経済学を再建する』中央大学出版会,2014年.
瀧澤弘和『現代経済学:ゲーム理論・行動経済学・制度論』中公新書,2018年.
藤本隆宏『能力構築競争―日本の自動車産業はなぜ強いのか』中公新書,2003年.
脇田成『日本経済論15講』新世社,2019年.
Robert Boyer, Hiroyasu Uemura, Toshio Yamada and Lei Song (eds.) Evolving Diversity and Interdependence of Capitalisms: Transformations of Regional Integration in EU and Asia, Springer, 2018.
Hiroyasu Uemura, Japanese Institutionalist Post-Keynesians Revisited: Inheritance from Marx, Keynes and Institutionalism, Springer, 2023.
Yoshinori Shiozawa, Masashi Morioka and Kazuhisa Taniguchi, Microfoundations of Evolutionary Economics, Springer, 2019.
その他特記事項
ソフトウェアの利用なし