シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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演習Ⅱ | 2024 | 秋学期 | 火4 | 商学部 | 江口 匡太 | エグチ キョウタ | 3年次のみ | 2 |
科目ナンバー
CM-IF3-12XS
履修条件・関連科目等
3年次配当の事前登録科目です。
演習Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・論文はセット履修科目です。
ミクロ経済学、マクロ経済学を履修していることが望ましい。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
〔テーマ〕
経済学の学習を通して、反証可能な仮説を立て実証的に検証する方法を学ぶ
今回は、ゲーム理論を勉強することから始めます。ゲーム理論とは戦略的行動を考える理論で、経済学、経営学、政治学、心理学などほぼすべての社会科学分野に大きな影響を与えています。ゲーム理論を学ぶと以下のようなことが分かるようになります。
・以前バスケットボールでは3点シュートのラインが広げられました。3点シュートの割合が減るように思いますが、3点シュートの得点に占める割合は変わらなかったと言います。なぜでしょうか。
・企業内で昇進していくと昇給します。係長から課長へ昇進するより、課長から部長へ昇進する方が昇給額は大きいです。当たり前に見えますが、どうしてそんなことをするのでしょうか。同じように、テニスのトーナメントでも、1回戦の賞金額よりも決勝戦の賞金額の方が大きいです。各回の試合の賞金額を同額ににしないのは何か理由があるのでしょうか。
・法廷で争っているAとBがいます。AはBに100万円しか払わないと主張し、BはAに500万円払えと主張しています。どちらの言い分ももっともで、どちらが正しいか判別できません。さて、解決方法には二つの方法があります。一つは両者の折衷案をとってAが真ん中の金額300万円を支払って解決させる方法です。もう一つはAとBのどちらかの言い分を一方的に認めることです。どちらがいいのでしょうか。(後者の方がふつう望ましいです。なぜでしょうか)
前期
まず、ゲーム理論の入門的なテキストを読みます。テキストは手始めに、鎌田雄一郎著『ゲーム理論入門の入門』(岩波新書)を用いる予定です。そこで、ゲーム理論の雰囲気をつかんでもらい、次の本を読むことにします。扱う本はゼミの進行と参加者の関心に即して決めますが、以下を考えています:
・天谷研一『図解で学ぶゲーム理論入門』(日本能率協会マネジメントセンター)
・伊藤元重著『ビジネスエコノミクス』(日本経済新聞出版)
後期
引き続いてゲーム理論を学びますが、実験やデータ分析を視野に入れたテキストを読む予定です。具体的には
・小林佳世子著『最後通牒ゲームの謎』(日本評論社)
・スティーヴン・D・レヴィット著『ヤバい経済学:増補改訂版』(東洋経済新報社)
進行状況にもよりますが、ゲームをして理論を体感することもします。その後、統計学や計量経済学の基礎を学び、エクセルやstataなどのソフトを使って簡単なデータ分析ができることが最終目的です。 原則として、卒業論文を提出してもらう予定でいます。
なお、自分はこう思うみたいな主観的な主張はあまり重視しません。むしろ、客観的に仮説を立てて検証することを重視します。「どうすべきか」より、「どうなるか」を重視します。
科目目的
この科目は、カリキュラム上の「商学部アドヴァンスト科目」であり、商学部スタンダード科目及び商学部分野別専門科目の発展的な科目として位置づけされています。この科目での学習を通じて、主体的学習能力を習得することを目的としています。
到達目標
現代では、すべての社会の問題に対して経済学的なアプローチをとることがふつうになっています。本演習では定量的な分析を重視し、テキストの輪読を通じて、経済学的な考え方、ゲーム理論的な考え方、統計学的な考え方を習得することを目的とします。現実の社会で個人、企業、政府の行動にはどのような意図があるのか、経済理論的にはどのように説明できるのか、できないのかが理解できます。また、その説明が本当に確からしいのか、データで検証する初歩的な方法(回帰分析)を学ぶことができます。
授業計画と内容
おおよそ以下の予定を考えています。進行状況次第で変更もあり得ます
3年生前期
第1回 イントロダクション
第2~14回 テキストを用いて、ゲーム理論を学んでいきます。
3年生後期
第15~27回 引き続いてゲーム理論のテキストを学びますが、実際にゲームをして理論を体感してもらうことも考えいています。
第28回 卒論テーマについて
全員が予習している前提ですすめます。
4年時は、
前期
第29回 イントロダクション:卒業研究の進め方とデータ分析の学習について
第30回~第42回 統計学または計量経済学の学習と卒業研究の進捗状況の報告
前期は、卒業研究については個別指導を中心に行う予定です。
統計学または計量経済学については、テキストを輪読するというより、エクセルなどで行う作業や課題を通してデータ分析の基礎を学ぶつもりです。
後期
第43、44回 進捗状況報告
第45~54回 進捗状況を順番に報告
第55、56回 最終発表
後期は、月に1回ぐらいのペースで進捗状況を発表してもらいます。自分の発表を人に聞いてもらうと同時に、他人の発表を聞き、有益なコメントができるように努めてください。卒論の進捗発表をしない場合は、ゲーム理論や計量経済学の基本的なことを学びます。
以上の概略を進めるにあたり、これまでの経験から各回の進行ペースは以下のような感じになります(少し詰めすぎなので、この通りに進むことはほぼありません):
3年前期
第1回 イントロ:自己紹介や今後の進め方について
第2回 ゲーム理論とはどういうものか
第3回 囚人のジレンマの特徴
第4回 ナッシュ均衡
第5回 チキンゲーム:複数均衡
第6回 ゲーム1:寡占企業の価格競争
第7回 混合戦略
第8回 身に回りにあるナッシュ均衡の例
第9回 ホテリングの立地モデル:基本
第10回 ホテリングの立地モデル:応用
第11回 ゲーム2:投票行動と選挙制度
第12回 展開型ゲーム
第13回 部分ゲーム完全均衡
第14回 A beautiful mind
3年後期
第15回 イントロ2:これまでの復習
第16回 交渉ゲーム:逐次手番
第17回 交渉ゲーム:ナッシュ交渉
第18回 交渉ゲーム:裁判の例:和解するか否か
第19回 繰り返しゲームと長期的関係
第20回 ゲーム3:寡占企業の繰り返される価格競争
第21回 不完全情報ゲーム:情報集合
第22回 不完全情報ゲーム:完全ベイズ均衡
第23回 不完全情報ゲームの応用:シグナリング
第24回 不完全情報ゲームの応用:チープトーク
第25回 ゲーム4:オークション
第26回 オークションの理論といろいろなオークション
第27回 ゲーム理論で想定していることと、プレーヤーが認識していること
第28回 The imitation game
4年前期
第1回 イントロ3:卒業研究の進め方
第2回 エクセルによる統計入門:平均分散
第3回 エクセルによる統計入門:大数の法則と中心極限定理
第4回 相関係数と共分散
第5回 相関関係と因果関係
第6回 卒論テーマ個別相談:テーマの探し方
第7回 エクセルによるグラフの見せ方
第8回 エクセルによる統計入門:回帰分析の基礎
第9回 Stataの使い方
第10回 卒論相談:データの集め方
第11回 Stataによる回帰分析
第12回 ダミー変数を入れた回帰分析
第13回 卒論進捗発表
第14回 夏季休暇中の作業について
4年後期
第15回 夏季休暇中に行った作業について
第16回 限定合理的なプレーヤーと合理的なプレーヤー
第17回 最後通牒ゲーム:公平性
第18回 最後通牒ゲーム:利他的なプレーヤー
第19回 最後通牒ゲーム:設定を変更した場合
第20回 最後通牒ゲーム:ペナルティの与え方
第21回 卒論途中経過報告
第22回 様々なゲームの実験からわかってきたこと
第23回 ゲーム理論を通して現実を見る:人事管理制度:成果主義
第24回 ゲーム理論を通して現実を見る:人事管理制度:昇進と転職
第25回 卒論中間発表
第26回 ゲーム理論を通して現実を見る:国際関係と国内政治
第27回 卒論作成作業:修正と推敲
第28回 卒論最終発表
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
・毎回のゼミの予習は必須です。
・課題を出すことがあります。
・受講生の人数や希望にもよりますが、例年、8,9月にゼミ合宿、1月の卒業生を呼んだ会合を催していました。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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平常点 | 100 | 授業への積極的な参加、授業後に適宜出される課題で評価します |
成績評価の方法・基準(備考)
授業態度不良の学生は受講を認めない場合があります。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/その他
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
受講生には、必要があればメールでフォローします
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート/グループワーク/プレゼンテーション
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
エクセルやStataなど、データ分析に用いるソフトをパソコン上で使用します。スマホだけでは対応できません。パソコンを持っていない学生は大学の計算機室を利用してください。また、授業は学生個々人が使用できるパソコンが備え付けられている教室を使用する予定です。
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
〔テキスト〕
テキストは全員に購入してもらいます。
詳しいことはゼミに参加することになった学生に直接連絡します。
その他特記事項
このゼミに関心のある人で担当教員に尋ねたいことがある場合は、応募する前に担当教員にメールで問い合わせてください(eguchi@tamacc.chuo-u.ac.jp)。必要があれば大学内で直接会って話をするか、Webexを用いてオンラインでお答えします。もちろん、説明を聞いたからといって、応募する必要は一切ありません。気軽な気持ちでメールをください。 なお、応募学生の人数や特性によってはゼミの定員は増減することがあります。
〔募集人数〕
15名
〔募集方法〕
〇レポート
〇面接試験
〔国外実態調査〕
実施しない
ゼミで使用するソフトウェアは、状況によりますが、エクセルとstataです。
参考URL
教員ホームページ http://c-faculty.chuo-u.ac.jp/~eguchi/index.html
中央大学研究者データベース http://ir.c.chuo-u.ac.jp/researcher/profile/00015858.html