シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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演習Ⅳ | 2024 | 秋学期 | 金3 | 商学部 | 宇田川 幸大 | ウダガワ コウタ | 4年次のみ | 2 |
科目ナンバー
CM-IF4-14XS
履修条件・関連科目等
3年次配当の事前登録科目です。
演習Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・論文はセット履修科目です。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
〔テーマ〕現代世界の総合的研究―歴史・政治・哲学・文化
この演習では、1~2年次までの学修を発展させ、自らの課題を設定し、学術論文(演習論文)へとまとめてゆくことが、唯一にして最大の目標になります。ゼミでの主な作業は、1、各自の研究テーマの設定、2、研究報告(個人報告)、3、演習論文の草稿発表、となります。
このゼミでは、歴史学、政治学、国際法、国際関係、哲学、社会学などの分野の知見を活かしながら、現代世界のかかえる様々な問題を分析・解釈・批判してゆく能力を養い、それを学術論文(卒業論文)という形で表現してゆくことを目指します。人文科学・社会科学の良質な成果に学びつつ、総合的な学識を養ってゆくこととなります。「学問を通して現在の社会を分析する」「学問を使って自分自身の問いを立て、解を導き出したい」という想いを持った方に向いているゼミです。また、このゼミでは議論・研究の奥行きを重視します。どのようなテーマ、領域を追究するにせよ対象となるテーマをめぐる基礎的事実関係(歴史的経緯)、国際社会の中での位置づけ、日常生活とのかかわり、他分野との関係など、自身のテーマを相対化して幅広い視野からアプローチしてゆく作法を重視します。近視眼的なアプローチでは問題の本質には迫れないので、幅広い学識の獲得を目指しながら各自の研究を進めてもらうことにします。本ゼミの「総合的研究」とは、そうした意味も含んでいます。
なお、このゼミの担当教員(宇田川)の主たる専門領域は歴史学(特に日本現代史)ですが、歴史学はあらゆる学問分野と密接不可分の関係にある分野です。政治史、経済史、経営史、音楽史、文化史、思想史、という具合に、全ての学問分野に歴史的アプローチを行う領域があります。すなわち、歴史学は哲学、政治学、社会学など、あらゆる領域と密接不可分の関係にある学問領域なのです。こうした歴史学の総合性や「奥行き」も生かしながら、ゼミ参加者の皆さんにいろいろな角度からのアドバイスや指導をしてゆきたいと思います。
ただし、ゼミは参加者自身の主体的な問題意識と取り組みがあってはじめて成立するものです。「座っているだけで単位になる」という安易で消極的な考えの者の履修は絶対に認めません。
科目目的
この科目は、カリキュラム上の「商学部アドヴァンスト科目」であり、商学部スタンダード科目及び商学部分野別専門科目の発展的な科目として位置づけされています。この科目での学習を通じて、主体的学習能力を習得することを目的としています。
学術論文という手段で、自らの問題意識、発想、論証過程、結論を示すことができるようになることが最大の目標です。
到達目標
演習論文の完成が最も重要な到達目標です。(従って、演習論文の提出が、履修の前提条件となります。)
また、毎回の個人報告において、調査・研究の新たな成果を報告できるようになること(研究を毎回更新してゆくこと)も目標になります。
授業計画と内容
※感染状況、社会状況によってはオンライン授業(同時双方向型)での実施とする。
以下の内容はあくまで現時点での予定だとお考え下さい。ゼミは履修者の人数、報告内容に応じて臨機応変に運営します。なお、演習Ⅰ開講前に、数回にわたって今後の運営方針や演習Ⅰ開講前に行っておくべきことを確認する機会を設けます。詳しくはゼミ参加者と相談の上、進め方を決定したいと思います。
(3年次)
第1回:オリエンテーション。各自の研究テーマの発表と共有。
第2回:推薦図書・論文の発表(各自の分野に不可欠と思われる名著、古典、基礎文献などを紹介しつつ今後の議論の準備を行う。)
第3回:各自の研究分野における基礎的文献に関する報告・議論(1)
第4回:各自の研究分野における基礎的文献に関する報告・議論(2)
第5回:各自の研究分野における基礎的文献に関する報告・議論(3)
第6回:基礎的文献をめぐる議論を通して考える今後の研究課題
第7回:各自の研究分野にかかわる学術論文に関する報告・議論(1)
第8回:各自の研究分野にかかわる学術論文に関する報告・議論(2)
第9回:各自の研究分野にかかわる学術論文に関する報告・議論(3)
第10回:演習Ⅰ期末レポートに関する説明
第11回:史資料とは何か。報告・議論
第12回:史資料とデータの読み解き方
第13回:夏休み中の研究計画の立案・相談
第14回:演習Ⅰのまとめ
第15回:夏休み中の調査内容の報告(1)
第16回:夏休み中の調査内容の報告(2)
第17回:夏休み中の調査内容の報告(3)
第18回:今後の課題の整理(演習Ⅱ期末レポートに関するガイダンス)
第19回:卒論章構成と卒論草稿作成に向けた相談
第20回:卒論章構成もしくは卒論草稿に関する個人報告・議論(1)
第21回:卒論章構成もしくは卒論草稿に関する個人報告・議論(2)
第22回:卒論章構成もしくは卒論草稿に関する個人報告・議論(3)
第23回:卒論章構成もしくは卒論草稿に関する個人報告・議論(4)
第24回:卒論章構成もしくは卒論草稿に関する個人報告・議論(5)
第25回:卒論章構成もしくは卒論草稿に関する個人報告・議論(6)
第26回:卒論章構成もしくは卒論草稿に関する個人報告・議論(7)
第27回:卒論章構成もしくは卒論草稿に関する個人報告・議論(8)
第28回:3年次のまとめと演習Ⅱ期末レポートの提出
(4年次)
4年次は、就職活動の状況に応じて計画を適宜変更します。ただし、卒論の章構成(仮)と論文全体の見通しをたてるところまでは、演習Ⅲの期間中(夏休み前)までに確実に完成させる。
第1回:演習Ⅱの期末レポートへの講評
第2回:卒論章構成草案と研究計画の検討(1)
第3回:卒論章構成草案と研究計画の検討(2)
第4回:先行研究の検討(1)
第5回:先行研究の検討(2)
第6回:資料所蔵状況に関する報告・検討(1)
第7回:資料所蔵状況に関する報告・検討(2)
第8回:人文科学の名著を読む。
第9回:社会科学の名著を読む。
第10回:自然科学の名著を読む。
第11回:学際的分野の名著を読む。
第12回:科学、学問という場を考える。
第13回:演習Ⅱの期末レポート(改訂版)の発表と演習論文章構成(仮)の発表。
第14回:演習Ⅲのまとめ
第15回:演習論文草稿の発表(書き上がった章の報告)(1)
第16回:演習論文草稿の発表(書き上がった章の報告)(2)
第17回:演習論文草稿の発表(書き上がった章の報告)(3)
第18回:演習論文草稿の発表(書き上がった章の報告)(4)
第19回:演習論文草稿の発表(書き上がった章の報告)(5)
第20回:演習論文草稿の発表(書き上がった章の報告)(6)
第21回:演習論文草稿の発表(書き上がった章の報告)(7)
第22回:演習論文草稿の発表(書き上がった章の報告)(8)
第23回:演習論文草稿の発表(書き上がった章の報告)(9)
第24回:演習論文草稿の発表(書き上がった章の報告)(10)
第25回:演習論文草稿の発表(書き上がった章の報告)(11)
第26回:演習論文草稿全体の発表(1)
第27回:演習論文草稿全体の発表(2)
第28回:演習論文草稿全体の発表(3)
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
毎回の報告で、各自が新たな研究成果を報告できるようにしてゆきます。従って、先行研究の整理、文献購読、資料調査、レジュメの準備など、授業外での膨大な準備が必要不可欠になります。ただ授業に出席するだけではゼミは成立しませんし、演習論文も完成しません。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 50 | 独自性ある視点を提示できているか、論理的な行論がなされているか、科学論文の基礎的な書き方と作法(脚注の付け方など)が守られているか、を総合的に評価します。詳しくは授業中に説明します。 |
その他 | 50 | 報告・議論内容50%とします。報告準備が入念になされているか、独自性ある視点を提示できているか、論理的な行論がなされているか、を基に総合的に評価します。詳しくは授業中に説明します。 |
成績評価の方法・基準(備考)
なお、無断欠席者、無断遅刻者、レポート未提出者は無条件で不合格とします。また、演習Ⅰ~Ⅳの評価に際しては、レジュメの内容、提示されている資料、考察内容、論点析出など、事前準備がどれだけできているかを重視します。従って、授業外での膨大な学修活動・準備を行えることが、ゼミの履修と評価の前提になります。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/その他
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
研究・学修の相談は随時受け付けたいと思います。
メールなどの手段も駆使しながら、丁寧な指導・相談体制を構築したいと思います。
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート/プレゼンテーション
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
〔テキスト〕
特に用いません。各自が配布するレジュメに基づいて議論します。
〔参考文献〕
展開に応じて、適宜、教員が必要な文献や史料を紹介します。(ご紹介する文献、史料は極めて重要な内容になりますので、しっかり確認・講読するようにしてください。)
その他特記事項
〔募集人数〕
15名
〔募集方法〕
〇レポート(manaba「レポート」利用)
〇オンライン面接試験
〔課題図書〕
〔注意事項〕
積極性のない者、「出席するだけで単位がとれるので講義より楽」といった安易な考えの者は、意欲のある受講生の妨げになるだけでなく、この演習の目標・趣旨にも反しますので、こうした者の履修は認めません。ゼミ開始後であっても、周囲に迷惑をかける者は退出を命じます。
なお、努力を重ねる、意欲のある履修生へのサポートは全力を挙げて行います。ゼミや研究は、一生懸命に取り組めば取り組むほど、たくさんの疑問や悩みが生じます。質問は遠慮なく出していただければ幸いです。「切磋琢磨、学問に向き合う空間を作る、現代の世界を多角的に分析する」。これが宇田川ゼミの方針です。こうした場は、皆さんの人生の財産になると思います。どの職業に就くにしても、最終的に問われるのは、その人物の教養と「人間的奥深さ」です。膨大な教養の上に、実践は成り立つ。こうしたことを、みんなで共有していかれればと思います。
〔国外実態調査〕
実施しない
宇田川ゼミでの学修を志す皆さんへ
宇田川ゼミ(および宇田川担当授業)で最も大切なこと(「履修資格」といっていいでしょう)は、「学問を通して学びたい」という意欲です。
自ら学びたいという意思があるからこそ、日常的に文献を調査・点検することが苦でなくなり、むしろそれが楽しみになってゆくのです。夢中で作業に取り組んでゆくうちに、自身の問題意識や視野が広がってゆく、幸福な感覚を味わうこともできるのです。
「作業量が多いゼミ」「厳しいゼミ」であることは間違いないと思います。しかし、これはもう少し厳密に言うと、意欲のない者にとっては「作業量が多く、厳しいゼミ」と表現した方が正確かもしれません。
宇田川ゼミは、これまで「学問を通して学びたい」というメンバーで集まり、展開してきました。「学びたいという意思を持ったメンバーで集まり、議論するからこそ、次々と行うべき作業―というより行いたい作業―が増えてゆく」というゼミです。換言すれば、意欲のない人にとっては絶対に向かないゼミだが、学問を通して何かを学びたい、という人にとっては向いているゼミである、ということになると思われます。宇田川ゼミは、意欲あるメンバーで集まり、互いに切磋琢磨することで各自が大きく成長してきたゼミです。意欲ある「学問を通して学びたい」という履修者の皆さんをお待ちしています。
なお、指導教員の著作を何も読まずに入ゼミするのは、初対面の者同士がいきなり共同生活を開始するようなものです。教員の問題意識や学者としての「人柄」を知る意味でも、拙著『東京裁判研究―何が裁かれ、何が遺されたのか』(岩波書店、2022年)、同『考証 東京裁判―戦争と戦後を読み解く』(吉川弘文館、2018年)の「あとがき」だけでも図書館などで読んでおいてください。