シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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海外インターンシップ演習 | 2024 | 前期 | 火3 | 経済学部 | 松村 みか | マツムラ ミカ | 2年次配当 | 2 |
科目ナンバー
EC-TR2-92XS
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
<学位授与方針と当該授業科目の関連>
この科目は、協調性及び自己管理力(専門知識を活かせるだけでなく、チームワークの経験から学んで、他人と協調し、自己を管理することができる)の修得に関わる科目です。また、創造的思考力(総合的な学習体験に基づいて、ものごとを創造的に思考することができる)の修得に関わる科目です。
<概要>
ビジネスも国際協力も、相手国の歴史・社会・文化を理解しようとする姿勢が不可欠です。本講義では、まず、東南アジアと日本の関りについての基本情報を学びます。さらに読書を通してタイ・シンガポール・インドネシアなどの東南アジア諸国を自分なりの切り口で理解し、アジアで仕事をする上での課題を考え、発表してもらいます。各自が読んだ本の内容と感想を学生同士で議論することで、アジアへの理解を深めます。
海外で活動する中大OBOGとのWEB講義も企画しています。バンコク白門会、シンガポール白門会、インドネシア白門会,、ベトナム白門会のネットワークを活かし、先輩方のWEB講義に参加し、直接質問することができます。現地で仕事をする面白さや難しさについて、見分を広めていただく稀有な機会です。本講義は出席を前提とした対面講義なので、海外のOBOGとのインターネット講義についても教室で接続して参加することを基本とします。
試験は行いませんが、講義の中で、対象国に関するレポートなどを提出したり発表をしていただきます。成績は、課題提出、プレゼンテーション内容、授業参画度などの平常点で評価します。
※産学協議会の分類上、「タイプ2」に相当します。
科目目的
本講義では、タイ、シンガポール、インドネシア、ベトナムの文化・社会・経済を学び、近現代における日本とのかかわりや法人企業の事例などについて理解を深めます。また、対象国を舞台にした小説や書籍を読んで、日本人がそれらの国でどのようなビジネスをしてきたかについて考えます。更に、自分が調査研究や書物によって得た知識・感想などをクラスメイトに発表し、議論することで、多様な考え方を共有します。
WEB講義では、実際に東南アジアで働いている中大OBOGの体験談を聴くことができます。また、直接疑問に思ったことを、先輩後輩という親しみのある関係性で質問したり、議論したりすることができます。海外で活躍する先輩たちと交流する機会は貴重なものですし、日本の固定観念を超えた発想で生きる先輩たちの「力強さ」と「しなやかさ」から学ぶものは大きいと思います。
本講義の最後には自ら興味を持った国を対象として、自分なりの定番ツアーとは一味違った渡航計画を立ててもらいます。大学として渡航計画を実施することはありませんが、講義に参加して実際に興味を持った国に渡航し、先輩を訪ねてみる学生もいます。中央大学の先輩たちから現地の話を伺ったことを参考にして、自分で計画して現地を訪問するという積極的な取り組みで思考力と行動力を身につけていただきたいです。
到達目標
世界には日本の常識とは異なる社会習慣があり、制約や可能性も様々です。人生にも色々な選択肢があり、自ら望んで海外に仕事に出ることもあるし、会社の要請で海外に転勤になることもあります。
本講座では、東南アジアの基礎知識を学ぶだけでなく、海外で人生のターニングポイントをいくつも経験した先輩方と話をすることができるので、就職活動も人生も、世界を見渡せばどこででも生きていける、と思えるきっかけになるのではないでしょうか。
海外で仕事をしたいと思っている学生、就職活動に不安を感じている学生、日本社会と異なる可能性を探している学生が、自分なりの道を探すヒントを見つけられたらと思います。
講義において積極的に質問したり、議論に参加する学生を望みます。また、国際情勢に感心があり、日々のニュースを新聞やネットなどで確認するなど、知的好奇心を持っていただきたいと思います。日常的に社会報道にアクセスする習慣を身に着け、世界の中にある日本の立ち位置を常に意識できる人材を求めます。また、そういう人材になりたいと考えている学生を求めます。
授業計画と内容
授業計画と内容
1.ガイダンス 本講義の概略説明
2.アジアと開発経済① 概論:戦前戦後の日本とアジア
3.アジアと開発経済② 概論:国際協力とインフラ輸出による産業振興
4.アジアと開発経済③ 概論:国際協力からビジネスパートナーへ
5.プレゼンテーション①:東南アジアの社会・経済(読書感想)
6.中央大学OBOGの講義と交流①:タイの日本企業と駐在生活について
7.プレゼンテーション②:東南アジアの文化・芸術(読書感想)
8.中央大学OBOGの講義と交流②:インドネシアの企業と駐在生活について
9.中央大学OBOGの講義と交流③:シンガポールの企業と駐在生活について
10.中央大学OBOGの講義と交流④:ベトナムの企業と駐在生活について
11.海外在住の中大OBOGとインターネットでつないだ国際会議
12.アジア視察計画の立案(もし現地に行くならどこで何を観たいかを考える)
13.アジア視察計画の発表
14.総括・まとめ・到達度確認
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
自分で読みたい海外を舞台にした本を探して、読書し、内容のあらすじと感想を発表してもらいます。同時に、小論文も提出してもらいます。以下は参考ですが、自分の興味のある本であれば何でも構いません。ただしハウツー本は除きます。
【タイ】
深田祐介 バンコク喪服支店 文春文庫
トムヤンティ (著), 西野 順治郎 (翻訳) メナムの残照 角川文庫
三島由紀夫 豊穣の海ー暁の寺 新潮文庫
馳 星周 マンゴー・レイン 角川書店
【シンガポール】
サマセット・モーム(著) 、中野好夫(翻訳) 雨・赤毛―モーム短篇集I― 新潮文庫
橘玲 タックスヘイヴン 幻冬舎
【インドネシア】
深田祐介 神鷲(ガルーダ)商人〈上・下〉 文春文庫
城山三郎 毎日が日曜日 新潮文庫
松村美香 利権聖域-ロロ・ジョングランの歌声 角川文庫
古内一絵 赤道 星降る夜 小学館文庫
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 30 | 関連図書に関するレポート |
平常点 | 40 | 議論参加への積極性 |
その他 | 30 | プレゼンテーション |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
PBL(課題解決型学習)/ディスカッション、ディベート/グループワーク/プレゼンテーション
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
タブレット端末/その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
企業ではパソコンが一般的なので、できれば書類作成にはパソコンを使用してほしいと思います。
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
1985年の青年海外協力隊に参加して以降、社会経済分野を専門とする国際開発コンサルタントとして、農村開発、農業、道路、電力、給水、医療、ジェンダーなど横断的な事業の開発調査・実施・評価に携わってきました。主な業務対象国はインドネシア、フィリピン、カンボジア、ベトナム、タイ、マレーシア、ネパール、インド、パキスタン、モンゴル、パレスチナ(イスラエル)、エチオピア、ザンビア、ボリビア、パラグアイ、ポーランドなどです。
また、経済小説家として発展途上国を舞台にしたビジネス小説をKADOKAWA、中央公論新社などから出版しています。
授業では、アジア諸国の社会経済のみならず海外駐在の現状について学ぶため、開発コンサルタントとしての豊富な駐在や出張の実務経験が講義に役立ちます。
以下は、これまでの所属先です。現在はフリーの開発コンサルタントとして仕事をしています。
1985年 青年海外協力隊 (日本語教師)
1990年 一般財団法人日本総合研究所 (旧ソ連・東側諸国への市場経済化支援担当)
1992年 海外貨物検査株式会社 (農産物流通改善・市場経済化担当)
2001年 株式会社コーエイ総合研究所 (社会・経済専門家)
2018年 エイト日本技術開発 (社会・経済専門家)
2019年 中央大学経済学部客員講師
受賞歴:第一回城山三郎経済小説大賞(2008年)
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
海外インターンシップ演習の対象国は何度も渡航したことのある国であるため、学生たちに経験談を交えて講義を行うことができます。
長年携わってきたODAの国際開発コンサルタントの仕事は、調査計画や計画実施、事業評価などで、相手国のカウンターパートへの技術移転や人材育成が重要な業務でした。省官庁職員から地方住民までさまざまな相手を対象とした立場や理解度に合わせた指導手法は、学生指導にも通じるものです。特に、地域開発では相手のニーズをよく聞き、それに沿った関連情報をもとに解決策を共に考えて提案するというプロセスを踏みます。授業も、学生に寄り添った形で進めたいと思います。
学生の将来希望する職種は様々ですが、世界40カ国の渡航経験と、農村開発やジェンダー主流化のようなソフト開発から道路や電力開発などのハード開発など多様な業務に従事した経験は、学生たちの進路アドバイスにも役立つと思います。
国際社会は日本の常識では通用しないことが多々あります。逆に、日本では望めなくても、世界では自由に挑戦できることがあります。世界の面白さや可能性を、生の経験談を通して学生の皆さんに是非知ってもらいたいです。
追記)ポーランドではアウシュビッツへも訪問しホロコーストについて考えさせられましたが、その10年後イスラエルで経験したことは、同様か、それ以上に衝撃でした。パレスチナ人に対するイスラエル占領政策の残酷さを世界は見ないふりをしていました。それが現在のガザの状況につながっていることに心を痛めています。本講義は東南アジアコースですが、パレスチナ問題に対するアジア諸国やグローバルサウスの動き、イスラエルの占領政策についても学生と議論できたらと思います。
テキスト・参考文献等
自分で読みたい本を探して、最低一冊は、渡航先を舞台にした本を読んでもらいます。
以下は参考です。
【タイ】
深田祐介 バンコク喪服支店 文春文庫
トムヤンティ (著), 西野 順治郎 (翻訳) メナムの残照 角川文庫
三島由紀夫 豊穣の海ー暁の寺 新潮文庫
【シンガポール】
サマセット・モーム(著) 、中野好夫(翻訳) 雨・赤毛―モーム短篇集I― 新潮文庫
【インドネシア】
深田祐介 神鷲(ガルーダ)商人〈上・下〉 文春文庫
城山三郎 毎日が日曜日 新潮文庫
松村美香 利権聖域-ロロ・ジョングランの歌声 角川文庫