シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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演習1 | 2024 | 通年 | 月5 | 経済学部 | 丸山 佳久 | マルヤマ ヨシヒサ | 2年次のみ | 4 |
科目ナンバー
EC-OM2-01XS
履修条件・関連科目等
事前に「私がゼミで研究したい課題」というテーマで、シラバス内容を踏まえた形で簡単な見解を提出してもらいます(A4×1枚以内)。これをもとに教員が面接をし、問題意識と研究意欲とに重点を置いて、合否を判定します。過去の履修状況・成績等は問いません。
<履修条件>
(1)3年次のゼミナール大会(学内、あるいは、関東・全国)に出場すること。
(2)3年次にプレ卒論を書くこと。
(3)4年次に演習論文(卒業論文)を書くこと。
(4)やむを得ず授業を欠席する場合には教員だけでなくチームメンバーにも必ず連絡をすること。
(5)3年次に「環境会計論」(MA333)及び「マクロ会計論」(MA341)を履修することが望ましい。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
<学位授与方針と当該授業科目の関連>
この科目は、協調性及び自己管理力(専門知識を活かせるだけでなく、チームワークの経験から学んで、他人と協調し、自己を管理することができる)の修得に関わる科目です。また、創造的思考力(総合的な学習体験に基づいて、ものごとを創造的に思考することができる)の修得に関わる科目です。
<概要>
日本の国土面積の66%は森林ですが、森林管理を担う林業は「顧客」を適切に認識できておらず、また、サプライチェーン・産業クラスターとして結びつく木材関連産業(木材加工業や建築業、木質系バイオマス事業等)との協力体制や情報共有ができておらず、低付加価値・高コスト構造になっています。林業は採算が取れないため、中山間地域は疲弊し、森林は管理が放棄されて荒廃しています。森林という"資源"を活かして、補助金に頼らずに林業および関連産業・地域の活性化を図るためには、企業や自治体等が連携して、新たなビジネスモデルを作っていかなければなりません。本ゼミは、林業および関連産業・地域の活性化を図るビジネスプランを具体化させます。
ビジネスプランの具体化にあたっては、売上のあがり方やコストのかかり方、サプライチェーン・産業クラスターを通じた経済効果・社会影響等に対して、経営・会計手法を用いて分析を行ないます。これは、資源管理や地域管理を対象とした環境会計、すなわちメソ会計の実践です。演習では、ビジネスプランの企画化と、それに基づくイベントの企画・運営や新商品の開発・販売等という実践を通じて環境会計を学びます。
科目目的
資源管理や地域管理を対象とした環境会計(メソ会計)の実践として、林業および関連産業・地域の活性化をビジネスプランとして具体化/実践させることを、授業の最終的な目的とします。文献調査やフィールドワーク調査等から、林業および木材関連産業が抱える課題を明らかにし、先進事例と組合せ課題の解決を図ります。調査レポートの作成、協力者に対するプレゼンテーションの実施まで実践的に学びます。
本ゼミでは、チームでの成果物の作成能力を重視します。メンバーとコミュニケーションをとり、調査・議論・アウトプットの作成・プレゼンテーションに至る全ての局面で、チームで協力してPDCA体験を得ることを目的とします。
到達目標
上記の目的を達成するために、具体的には以下の到達目標を設定します。なお、演習1から演習3に至るまで、ゼミの活動は、原則としてチーム別のグループワークとして行います。
【演習1】ビジネスプランの作成を通じて、以下の目標を達成します。
①経済・社会・環境の観点から林業および木材関連産業を文献調査・フィールドワーク調査して、これらの産業が抱える課題を明らかにできるようになること。
②文献調査・フィールドワーク調査を通じて、林業および関連産業・地域の活性化に取り組む各地の先進事例を収集・整理できるようになること。
③ケーススタディの対象とする地域を選択し、文献調査・フィールドワーク調査から、その地域が持つ"強み"および"弱み"を明らかにできるようになること。
④対象地域の"強み"および"弱み"を活用し、林業および関連産業・地域の活性化の先進事例と組みあわせ、林業および木材関連産業が抱える課題の解決を図るビジネスプランを作成できるようになること(企画書の作り方、スケジュールの立て方等)。
【演習2】ゼミナール大会の参加およびプレ卒論の作成を通じて、以下の目標を達成します。
①企業や自治体等に対しビジネスプランを説明して、ビジネスプランを実践するための協力を得ることができるようになること。
②イベントの実施や新商品の開発・販売等として、ビジネスプランを(部分的な検証という形でも)実施できるようになること。当初計画と実施結果を比較し成果の検証および計画の見直しができるようになること。
③計画の作成から実施・検証・計画の見直しに至るまでの取り組みをまとめ、筋道を立てて物事を考え、自らの活動をPPTや論文等で説明できるようになること。
【演習3】演習論文の作成を通じて以下の目的を達成します。
①チーム毎に研究テーマを深め、卒業論文の執筆を通じて、3年次に養った筋道を立てて物事を考える力を基礎に、論理的な思考方法を身につけること。
②他人の演習論文に対して原稿段階からコメントすることを通じて、単なる非難ではない鋭い批判的能力を身につけること。
授業計画と内容
【演習1】(2年次)
2年次は、林業および木材関連産業を文献調査・フィールドワーク調査して、これらの産業が抱える課題を明らかにするとともに、林業および関連産業・地域の活性化に取り組む各地の先進事例を収集・整理します。そして、ケーススタディの対象とする地域を選択し、対象地域の"強み"および"弱み"を活用し、活性化の先進事例と組みあわせ、企画書・行程表という形で、林業および木材関連産業の課題の解決を図るビジネスプランを作成します。
<前期>
1. ガイダンス
2. 文献調査-森林・林業が抱える課題-
3. 文献調査-森林・林業と木材加工業・建築業の関係-
4. 文献調査-森林・林業と木質系バイオマス事業等の関係-
5. 文献調査-中山間地域の衰退と過疎化・高齢化-
6. 中間整理(林業および関連産業・地域の関係)
7. テーマ別・アプローチ別チームの編成
8. 先進事例の収集・整理-森林施業の集約化と機械化-
9. 先進事例の収集・整理-林業と木材関連産業との連携-
10. 先進事例の収集・整理-その他のアプローチ-
11. 対象地域の選定-対象地域の風土や経済・社会特性等-
12. 対象地域の選定-基本構想および総合計画を読む-
13. 対象地域の選定-地域が持つ"強み"および"弱み"-
14. まとめと確認(前期)
(夏期休暇中に選定予定の対象地域を、チーム毎に現地調査する。)
<後期>
15. 企画書の作り方とスケジュールの立て方の説明
16. ワークショップの実施-「こうなってほしい未来像」を思い描く-
17. ワークショップの実施-チームテーマを決定する
18. ワークショップの実施-ビジネスプランの具体化と企画書の作成-
19. ワークショップの実施-企画を実現するためのスケジュールの検討-
20. 中間整理(地域にある"資源"を活用し先行事例と組みあわせたビジネスプランの作成)
21. 対象地域における協力者の選定と協力者へのアプローチ方法の検討
22. フィールドワーク調査の準備-協力者に何をどこまで手伝ってほしいのか-
23. フィールドワーク調査の準備-協力者に対して提示する企画書・行程表を作成する-
24. フィールドワーク調査の準備-フィールドワークプログラムを作成する-
25. 企画書・行程表のプレゼンテーション(第1班・第2班)
26. 企画書・行程表のプレゼンテーション(第3班・第4班)
27. 企画書・行程表の見直しと協力者への連絡
28. まとめと確認(後期)
(フィールドワーク調査の実施にあたっては、原則として、自分たちで対象地域・協力者を選定し協力者にアポイントメントを取り、企画書を用いて協力者に説明する形になります。もしも協力が得られない場合、ビジネスプランを実現する代替手段の検討が必要です。フィールドワーク調査はチーム単位で行い、実施時期は、2年次の夏期休暇中・春期休暇中、あるいは、後期のうち授業に支障がでない期間です。基本的には、協力者として①対象地域の自治体の担当部局、②林業および木材関連産業の企業・事業体の両方が必要になります。)
【演習2】(3年次)
2年次に立てたビジネスプランを単なる計画で終わらせるのではなく、3年次には、企画書を対象地域の企業や自治体等に持っていって企画書・行程表をもとに説明し、彼らの協力を取り付け、イベントの実施や新商品の開発・販売等、企画の商業展開まで(部分的な形になるかもしれませんが)目指します。例えば、2016年度は、遠野木工団地(森林のくに遠野協同機構)と道の駅 遠野風の丘の協力を受けて、遠野の木と森の文化を伝えるスギのマクラを試験製造し、道の駅で大好評のうちに完売させることができました。
そして、これら計画の作成から実施に至るまでの取り組みを、画像や映像資料等を用いてレポートやPPT資料としてまとめ、学内プレゼンテーション大会で発表するともに、3年次の終了時には、チーム毎に2年間にわたる活動を取りまとめプレ卒論を作成します。
<前期>
1. ガイダンス
2. フィールドワーク調査の振り返りと課題の整理
3. ワークショップの実施
-フィールドワーク調査を踏まえたビジネスプラン・スケジュールの見直し-
4. ワークショップの実施
-長期的に何を実現したいのか、そのために短期的に何をどこまで達成させるのか-
5. ワークショップの実施
-長期的な商業展開に向けて、どのように短期計画の検証を図るのか-
6. 修正された企画書・行程表のプレゼンテーション(第1・2班)
7. 修正された企画書・行程表のプレゼンテーション(第3・4班)
8. 商業展開に向けた活動の準備
-東京でもできることと現地でしかできないことを分ける-
9. 商業展開に向けた活動の準備
-自分たちでやること・協力者に依頼すること(役割分担の明確化)-
10. 商業展開に向けた活動の準備-イベント実施や試作品製作・試験販売の用意-
11. 商業展開に向けた活動の準備-アンケートを始め、活動をどのように検証するのか-
12. 商業展開の実施計画・スケジュールの確認(第1・2班)
13. 商業展開の実施計画・スケジュールの確認(第3・4班)
14. まとめと確認(前期)
(夏期休暇中に、対象地域の協力者とともに、企画書・行程表に基づき、商業展開に向けた活動として、イベント実施や試作品製作・試験販売等をフィールドワークとして実施します。)
<後期>
15. 商業展開の振り返りと課題の整理
16. ワークショップの実施-ビジネスプラン・スケジュールの見直し-
17. ワークショップの実施-補足的な文献調査・フィールドワーク調査の検討-
18. 学内プレゼンテーション大会に向けたチーム活動の取りまとめ
19. 活動してきた順番から発表・論文の構成にまとめ直す
20. 学内プレゼンテーション大会の発表リハーサル(第1・2班)
21. 学内プレゼンテーション大会の発表リハーサル(第3・4班)
22. 学内プレゼンテーション大会の振り返り
23. プレ卒論および卒業論文(演習論文)の書き方の説明
24. プレ卒論(テーマ・概要・目次・主要参考文献)のプレゼンテーション(第1・2班)
25. プレ卒論(テーマ・概要・目次・主要参考文献)のプレゼンテーション(第3・4班)
26. プレ卒論をもとにしたプレゼンテーションとディスカッション(第1・2班)
27. プレ卒論をもとにしたプレゼンテーションとディスカッション(第3・4班)
28. まとめと確認(後期)
【演習3】(4年次)
3年次の終わりに提出してもらったプレ卒論を発展させる形で、4年次には、原則として、チーム別に卒業論文(演習論文)を作成します。チーム別に、月2回程度の打ち合わせを行います。なお、ビジネスプランおよびスケジュールによっては、4年次にフィールドワークを追加で実施するチームがあります。
<後期>
1. 演習論文の書き方について(報告順番の確定)
2. 第1回報告(第1班)テーマ・概要・目次・主要参考文献
3. 第1回報告(第2班)テーマ・概要・目次・主要参考文献
4. 第1回報告(第3班)テーマ・概要・目次・主要参考文献
5. 第1回報告(第4班)テーマ・概要・目次・主要参考文献
6. 第2回報告(第1班)α版原稿
7. 第2回報告(第2班)α版原稿
8. 第2回報告(第3班)α版原稿
9. 第2回報告(第4班)α版原稿
10. 第3回報告(第1・2班)β版原稿
11. 第3回報告(第3・4班)β版原稿
12. 演習論文の完成に向けた最終確認(形式チェック)
13. 第4回報告(第1・2班)完成原稿
14. 第4回報告(第3・4班)完成原稿
なお、ビジネスプランの作成・実施にあたっては、学外者との打ち合わせが多数生じるため、アポイントメントがうまく取れるかに応じて、また、学内プレゼンテーション大会の実施時期に応じて、授業計画が変更になることがあります。
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出/その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
(1)大会等への参加
・経済学部ゼミナール連合会主催のプレゼンテーション大会へは毎年参加しています。
(2)サブゼミ
・2年次および3年次では、例年、授業時間以外に、グループワークのために、チーム毎にサブゼミが自主的に開催されています。特に、「サブゼミで準備⇒授業時間に報告・教員や他の班からのコメント⇒サブセミで修正」という一連の作業が重要になりますので、サブゼミにも時間を費やせるよう、チームメンバーのなかでスケジュールを調整してください。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/その他
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
・提出された意見があれば、授業中にリプライするか、メール等で回答します。
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート/グループワーク/プレゼンテーション/実習、フィールドワーク
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
・企業や自治体の協力者とは、メールや電話、テレビ会議等のツールも活用します。
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
さしあたり以下のような文献を提示します。但し、開講時に受講生と相談のうえ確定するので、まだ購入しないでください。
・林野庁『森林・林業白書』(https://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/hakusyo/)
・塩地博文・文月恵里 他(2022)『森林列島再生論』日経BP
・遠野みらい創りカレッジ(2019)『SDGsの主流化と実践による地域創生』水曜社。
・遠野みらい創りカレッジ(2017)『学びあいの場が育てる地域創生 産学官民の協働実践』水曜社
その他特記事項
・ゼミを欠席することは、他の講義科目とは異なり、チームでの作業が停滞して、仲間のゼミ員の勉強にも支障を来すなど、多大な迷惑をもたらします。前述の通り、やむを得ず欠席する場合には、必ず教員およびチームメンバーへ連絡してください。
・ゼミでの勉強は、2年生での基礎固め⇒3年生での共同研究⇒4年生での研究の取りまとめの3年間で完結します。その点から、4年次の演習論文も執筆を必修としていますので、この点をよく理解しておいて下さい。