シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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金融情報システム論 | 2024 | 前期 | 金5 | 国際情報学部 | 新野 隆 | ニイノ タカシ | 3・4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
GI-FI3-SE29
履修条件・関連科目等
特になし、金融論等の受講により金融の基礎的知識を習得しておくことで理解が早まることが期待できますが、本学部では金融論の講座は開講されていないようなので、導入時に基礎的な話を補いながら進めます。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
日本語で行います。ただし受講生の関心により、ゲスト講師を呼ぶこともあり、その場合英語話者になる可能性もあります。必要に応じて担当教員が日本語で補足を入れます。
Current Topicを扱う場合、資料が英語となる場合もありますが、基本的には日本語の資料でおこないます。
授業の概要
業としての「金融」の社会での位置付けを理解しながら、現代情報社会において切り離せないものである情報システムと金融業との関わりを、金融における情報の取り扱いの経緯などを交えながら全体像の理解を促すような話をしたいと思います。
受講生の関心に沿って、現在の我が国における金融情報システム管理の典型例であるFISC安全対策基準等を参照しながら、勘定系を中心とした実際の運用の話題、金融情報システム関連の具体的事象についても解説をする予定です。
また、近年の情報システムのオープ ン化や情報法セキュリティ関連(アンチ・マネーロンダリング、デジタルフォレンジック、パーソナルデータ保護など)の金融業への影響、オムニチャネルやエンベデッドファイナンス等のトピックについても解説していきます。
その一方で、表層的な現状の把握、理解にとどまらず、背後にある社会的文脈への理解も深めていけるような授業にしていきたいと思います。
科目目的
「金融」「情報」「システム(技術的なものにとどまらずコンセプトとしての)」の社会の中での位置付けと社会の変容の影響について理解をもち、その表出として金融業での情報システム運用の現状を知る。
金融業界で働くことに興味がある方、ニュースに出てくる金融関連の情報について興味がある、もっと理解したい。金融というとなんだかわからなくなる、なんとなく、よい/良くない イメージを持っている。といった方の受講を期待します
到達目標
科目目標に対し自分なりの理解と立場を確保し、他の授業も含め習得した自分の技術を用いて問題の解決、または新たな問題の発見への道筋を考えられるようになって欲しいです。
授業計画と内容
受講生の関心によって4回目以降の内容は変更されることもありますが、概ね以下のような内容で進める予定です。講義内容に関連するCurrent Topicが発生した場合には、その解説等を行うことがあるかもしれません。
第1回 導入、受講者の関心の確認と講義の方向性の提示、金融概論、業としての金融業
第2回 金融概論、金融の発達と業としての金融業の発展
第3回 金融におけるシステミックリスクの発現としての金融危機
第4回 金融と情報の接点、情報としての貨幣
第5回 近年の高度資本主義社会と高度情報化社会の接点としての金融業
第6回 金融機関における情報システムの運用の概要−組織内の情報システムの変遷
第7回 金融機関における情報システムの運用の概要−組織間及び国際情報システム
第8回 金融情報システム事例 各社共有インフラとしての情報システム(共同決済システム等)
第9回 金融機関における情報システムに関するインシデントとその後の対応
第10回 近年の金融機関におけるシステムのオープン化について
第11回 金融機関社内における情報システム及び情報統制の実態
第12回 情報システム外部からの統制(業法、規制及び自主管理等)
第13回 社会の高度情報化と金融機関の位置付け
第14回 まとめ、またはゲスト講師による具体的な個別事例
授業時間外の学修の内容
その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
・第一回までに、この講座を受講する動機を自分なりに考え共有してください。漠然としたもの(映画を見て金融に憧れた等や何かのニュースに出た事象で興味を持った等)でも構いませんし、金融機関への就職に興味がある、等どんな理由でも大丈夫です。受講生の皆さんの関心を知っておきたいという理由です。勿論受講中に変化していくこともあると思います。
・導入時期は、金融論、金融機関の活動に関する知識の共有を行いますので、事前の学習は必要としません。その後個別の内容に入ったところで、皆さんの関心に合わせて事前のreadingを要求していくことがあるかも知れません。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 85 | 授業を通じての問題意識の立て方と具体的問題点への自分なりの回答の導き方 |
平常点 | 15 | クラスへの様々な形での貢献の度合い |
成績評価の方法・基準(備考)
講座に対する受講生自身の関心の持ち方と、そこから生じた疑問に対する取り組み方を考慮します。
課題や試験のフィードバック方法
その他
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
・授業時間においても可能な限り対話形式で、疑問点については都度質問を受け付けながら行っていきたいと思います。
・授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行います。また授業及びそこから派生する質問についてはmanabaに限らず常に受け付けながら可能な限り速やかに対応したいと思います。
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート/その他
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
・知識習得が中心の授業とはなりますが、個別トピックについてのディスカッションや、社会環境が落ち着けば実際の金融機関への訪問等が行うことができれば行いたいと考えています。
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
理解の助けとなる方法は柔軟に採用していきますが、事前に使用を前提とするものはありません。
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
担当教員自身が実務家で有るのに加え、必要に応じてゲストで他の実務家を呼ぶこともあります。
金融機関においてコントローラーの立場で全社的な業務の流れを計数を中心に管理する仕事をしております。
実務の経歴
JPモルガン 経理部
ゴールドマンサックス・アセットマネジメント 業務部
ブラックロック 経理部
バークレイズ・ウェルス 経理部長兼ビジネスマネージャー
ニューバーガー・バーマン 経理部長
ブラウン・ブラザーズ・ハリマン コントローラー部
BNPパリバ・アセットマネジメント 経理部長
タレット・プレボン 経理部長
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
金融機関における情報システムの導入、運用について実体験を交えた授業を行います。必要に応じてIT部の職員等をゲストとして呼ぶことも考えています。
業界に20年超身を置くものとして、その間に起きた出来事について、内部から見た視点の提供をしていきたいと思います。
テキスト・参考文献等
事前の指定テキストは設定しませんが、最新版の「金融情報システム白書」に沿った説明を行う部分があります。ただし講義の内容はこの白書に限られるものでは無く、触れない部分も多いため、購入の必要はありません。講義において必要な部分は直接説明します。
金融論の基礎的な知識の導入として、ちくま新書「現代の金融入門」池尾和人又はより読みやすいものとして、植田和男「大学4年間の金融学が10時間で学べる」等に目を通しておくと導入の理解がしやすいかもしれません。導入期はこれらの本の内容の解説を行う予定です。受講者の関心に合わせて講義内容の比重を変えることもありますので、講義期間中でも、興味・関心がある分野があればそれに沿った参考文献を提示します。