シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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産業クラスター論 | 2024 | 春学期 | - | 国際経営学部 | 北嶋 守 | キタジマ マモル | 3・4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
GM-OM3-EP12
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
この授業では、国内外の産業クラスターの動向を紹介した上で、日本の産業クラスター形成の特質と課題について検討します。「クラスター」という言葉は様々の要素が集まった「葡萄の房」のような状態を意味しますが、今回私たちが直面したコロナ禍では度々「クラスター発生」という表現が使われました。しかし、それは「集団感染者」を意味しています。新型コロナの場合は「ウイルス」が感染拡大していますが、産業クラスターの場合はウイルスではなく「情報や知識」の伝播を意味します。人やイベントを介して拡散する点は新型コロナの集団感染者の場合と産業クラスターの場合も同じですが、新型コロナの場合は「ウイルス」が感染拡大するのに対して、産業クラスターの場合は産業のイノベーションに必要な「情報や知識」が伝播されるわけです。つまり新しい何かが起きる(イノベーション)という点では同じ原理ですが、一方はウイルス(人間にとってマイナス要素が多い)の拡散であるのに対して、産業クラスターの場合は情報や知識といった地域産業にとってプラスの効果をもたらす点で異なっている訳です。本授業では、この「産業クラスター」について地域産業イノベーションとの関係から、国内及び海外の事例を中心に講義を行います。また今、世界は脱炭素社会に向かっています。そこで後半では日本の再生可能エネルギーに関連するクラスター形成の状況も紹介したいと思います。
科目目的
産業クラスター論は、M.Porterが提唱し世界に広がった概念です。この概念は産業集積論と深く関係していますが、産業クラスター論は、従来の産業集積論とは異なる視点と戦略を持っています。この疑念を活用した地域産業政策が世界各国で展開されていますので、国際経営の視点から学ぶ学生諸君にも役立つ概念です。近年では、産業クラスター論に加え地域イノベーションや産業エコシステムといった概念も登場してきていますが、産業クラスター論は1990年代以降、地域経済や産業政策に最も影響力を持った概念であり、広域クラスターといったように国や地域を跨ぐような産業クラスターも想定されますので、本授業は国際経営を指向する皆さんにとっても有益な情報や知識を提供することになると思います。
到達目標
本授業では、国内外の産業クラスター形成の事例を紹介します。よって、学生諸君には、各事例から産業クラスターの特徴や課題を析出することを期待します。さらに国際経営の視点との関係では、「グローカル」という言葉があります。つまり、「グローバルに思考しながら、ローカルに行動せよ」という考え方です。学生諸君は外資系企業や日本企業の国際部あるいはNGOや海外勤務が国際経営と思っている人も多いと思いますが、それは国際経営の一側面でしかありません。また学生諸君の中には将来日本各地の地方都市に勤務する人も少なくないと思いますが、国際経営はそうした地方から世界に地場のサービスや製品を発信していく上で重要となる学問領域です。その意味で「産業クラスター論」は地方で活躍したい学生諸君にも大いに役立つ理論です。自分が将来生活し働く場所を想定しながらどのような産業をクラスター化し発展させることができるかについて各自が纏めることが本授業の到達目標となります。またその際、日本の産業政策や産業クラスター形成の課題を整理してみることも到達目標に含まれることになります。
授業計画と内容
第1回 イントロダクション:社会科学の方法論、概念の重要性について
第2回 産業集積論から産業クラスター論に至る系譜について
第3回 産業クラスター国内編(1)半導体クラスター
第4回 産業クラスター国内編(2)航空機クラスター
第5回 産業クラスター国内編(3)医療機器クラスター
第6回 産業クラスター国内編(4)ワインクラスター
第7回 産業クラスター国内編(5)知財戦略クラスター
第8回 産業クラスター国内編(6)新交通システムクラスター
第9回 産業クラスター海外編(1)シリコンクラスター(米国・シリコンバレー)
第10回 産業クラスター海外編(2)ハイテククラスター(フィンランド・オウル)
第11回 産業クラスター海外編(3)航空機クラスターー(カナダ・モントリオール)
第12回 再生可能エネルギークラスター(1)岡山県真庭市
第13回 再生可能エネルギークラスター(2)長野県飯田市
第14回 最終回 授業のまとめ
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
日常的に日経新聞、日経ビジネス、日経産業新聞、日刊工業新聞などを読む習慣をつけること
授業で紹介した中で興味のある事例については自分で調べてみること
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 80 | 期末試験は「レポート形式」で実施する。 指定した参考文献の概要を整理し、自分の意見を提示しているかで判断する。 |
平常点 | 20 | 授業への積極性、授業内容や参考文献・資料に関する質問を重視する。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
課題の提出傾向、内容の傾向について論評した上で、創造的な思考方法について紹介する。
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
文部科学省知的クラスター創成事業・審査会・委員歴任
地方自治体・中小企業向け助成金審査会・委員長歴任
地方自治体産業振興策(クラスター形成)関連委員会・委員長歴任
産学官連携関連事業・講演会・講師歴任
機械産業・地域産業の調査研究に30年余り携わり、またその成果を活用した学術書を複数刊行している
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
長年にわたる国内外での実態調査や調査研究レポート作成などから蓄積された知見や経験について授業の中でトピックスとして取り上げる時間を設ける
テキスト・参考文献等
テキスト:特に指定しない 毎回、パワーポイント資料を用意する
参考文献:
山﨑朗編著『地域産業のイノベーションシステム』(学芸出版社)2019年
北嶋守著『ヘルスケア産業クラスター形成の日本的特質』(同友館)2020年
他、参考文献、資料等については適宜授業で紹介する
その他特記事項
学生諸君に刺激を与えられるような授業を目指します。
健康管理を徹底し一緒に頑張りましょう。