シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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行政法(情報行政法) | 2024 | 後期 | 金2 | 国際情報学部 | 大手 英明 | オオテ ヒデアキ | 2年次配当 | 2 |
科目ナンバー
GI-PU2-IL16
履修条件・関連科目等
<既習が望ましい科目>
「法学概論」「情報と憲法」「民事法」「刑事法(概論)」「情報法」「情報倫理」「情報政策概論」
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
国や地方自治体は法律や条例に基づき個人・法人の権利を制限し、義務を課すことができるなど、非常に大きな力を持つことになるため、行政活動を裏付け又は規律する法律は数多く存在する。雑多な行政関係の法律を一貫して流れる行政法の原理を理解できるようにし、情報政策に関連する行政法の運用事例についても概説する。行政法については、公務員試験や司法試験、行政書士試験の科目であることに加え、日本の「個人情報の保護に関する法律」や欧州連合の"GDPR"は行政法の一種であるように、社会全体のデジタル化の推進を受け、民間ビジネスにおけるICTコンプライアンスの局面においても行政法は無視できない存在になっていることに留意する必要があり、こうした観点も踏まえて概説する。
科目目的
①千種類以上もある雑多な行政法令の条項を「初見」で読み解くことができる法解釈力を身につける。
②情報の蓄積や流通に関わる特殊個別行政法の知識を的確に身につけ、当該諸法令の運用や対応ができるようになる。
③ICTはもちろん、その他の事業分野においても、行政法による規制について情報収集し、分析し、官公庁と交渉できる(官公庁を目指す場合は、適切な政策形成や執行ができる)基礎力を涵養する。
到達目標
1、行政法の基本的な知識、考え方を理解。具体的には、行政作用や諸手続きの性質がわかり、正確に調査できるように理解する。
2、過去の行政法に関する事例(判例など)を的確に読み解き、理解し、行政法の考え方に基づいて論じられるようになること。また、行政法令や判例に基づいた推論ができる。
3、情報政策と行政法の関係について把握すること
授業計画と内容
第1回: イントロダクション(行政法とは何か(総則、各論))
第2回: 行政組織(1)行政組織の位置づけと活動
第3回: 行政組織(2)行政主体の機関である「行政庁」とそれを支える各種機関
第4回: 公務員・公物、行政作用総論
第5回: 権力的作用(1):行政立法
第6回: 権力的作用(2):行政行為(1):行政行為の分類(具体的な法律効果別)
第7回: 権力的作用(3):行政行為(2):行政行為の特殊な効力
第8回: 権力的作用(4):行政強制・行政罰(行政上の義務履行の確保の手段)
第9回: 非権力的作用:行政指導、行政計画、行政契約等
第10回:適正手続・透明性等の確保:行政手続法、情報公開制度等
第11回:行政救済(1):行政不服審査法、行政事件訴訟法(1):類型
第12回:行政救済(2):行政事件訴訟法(2):処分性、原告適格と訴えの利益
第13回:行政救済(3):国家賠償法・損失補償制度
第14回:総括
*進度やその他の事情により変更する可能性があります。
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
・各回の授業において、各自記録したノート等を再検討した上、不明な個所をチェックし、必要に応じて教科書・参考書をチェックし、質問事項をまとめておく。
・新聞や雑誌を読み、テレビ・ウェブサイトなどを見ると、毎日のように行政活動に関わる事件が扱われており、またそれに関わる裁判なども取り上げられていることが分かるため、このような記事に注目し、それがどのような法と関わっているのか、考察してまとめておく。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 60 | 下記の項目に確認する。 ・行政作用や諸手続きの性質など行政法に関する基礎的な理解ができていること ・授業で示した法概念が用い、論点に対して一定の解釈に基づき、いわゆる法的三段論法に基づく当てはめを行ったうえで、論じられること |
平常点 | 40 | 各回ごとの出席、課題の提出に基づき、評価する。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
PBL(課題解決型学習)
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
クリッカー
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
クリッカーにより簡単な意向調査を行いながら行う場合がある。
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
2005年から2007年までの間、中央省庁等再編基本法、国家行政組織法、行政手続法、行政不服審査法を所管する行政管理局において実務に従事。2007年に日本版ノーアクションレター(法令適用事前確認手続)の改正に従事。2010年から2013年までの間、総務省情報流通行政局係長・課長補佐として教育ICT促進関係予算施策の企画立案に、また、2013 年から同省総合通信基盤局課長補佐として電気通信事業法に基づくガイドラインの策定、電気通信事業法の改正に向けた検討などに携わった。2015年から2017年までの間、内閣府(2016年まで内閣官房)知的財産戦略推進事務局においてデータ・AIに関する検討に携わった。2017年からNISC参事官補佐として、2018年のサイバーセキュリティ戦略の策定において全体とりまとめを担当するとともに、同年のサイバーセキュリティ基本法改正などに携わった。
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
実際に総務省等において実務担当者として行政法の運用に携わった経験を踏まえ、学術的な観点と実務を関連付けて説明を行う。
テキスト・参考文献等
<テキスト>
池村正道「行政法第4版」弘文堂(2022)
塩野宏「行政法総論 第6版」有斐閣(2015)
<判例集>
・宇賀克也ほか『行政判例百選I・II(第7版)』有斐閣(2017)
・大橋真由美ほか『行政法判例50!』有斐閣(2017)