シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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情報と国家安全保障 | 2024 | 前期 | 月2 | 国際情報学部 | 岩隈 道洋 | イワクマ ミチヒロ | 3・4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
GI-IL3-IL29
履修条件・関連科目等
情報と憲法・行政法(情報行政法)・情報法・情報通信法・刑事法(概論)(サイバー犯罪の刑事規制)(サイバーセキュリティと刑事法)(デジタル・フォレンジック)・情報セキュリティ論
国際関係論・外交政策論・情報と国際政治・情報と外交
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
安全保障や軍事・公安政策の分野は、外交と国際政治・国際法・国内公法・組織論や管理論、そして情報セキュリティとインテリジェンス(諜報や外交情報分析)が複雑に絡み合う複合的な実務・研究分野である。
担当者の専門性と、国際情報学部のカリキュラム・他の設置科目と分業の観点から、本講義では、まず①国家安全保障(防衛・軍事)の基本的な制度的枠組みを法学(国際法・公法)と政策論・組織論の観点から概観する。そして、他の科目との兼ね合いを考えながら、各論的分野として、②国際紛争と情報技術 ③ネットワーク戦とサイバーテロ対策 ④インテリジェンス 等のトピックについて、ゲスト講師の講義や、受講生諸君のリサーチ&プレゼンテーションを交えながら、理解を深めたい。
科目目的
①国際法・憲法・行政法をベースとした、公安・防衛・安全保障分野を規律する法制度と、担当組織の基本的枠組みについて理解する。
②安全保障に関する法制度により構築される組織の活動と、国際関係や外交の相互関係を分析するための理論的枠組みについて理解する。
③安全保障の分野に、情報技術(ICT)やインテリジェンスがどのように活用されているかを知り、また今後どのように活用し得るかを構想・議論するための基本概念を習得する。
到達目標
①安全保障分野を理解するための国際法(国連法も含む)や国際レジームの最低限の基礎知識を獲得する。
②憲法と公安・防衛関連行政法と、それに関連する組織(警察・防衛等)を、他国のそれらと比較して理解し、説明できるようになる。
③憲法・行政法・刑事法および国際法・国際関係分野の既知の知識を、安全保障・情報セキュリティ分野に適用してシステムや体制づくりができる視座を獲得する。
④ダイナミックな国際関係の中における、現行安全保障分野の諸制度・諸政策の到達点と限界を把握し、各人の研究や事業、進路決定に活用できるようになる。
授業計画と内容
第1回 :情報と国家安全保障―総説
第2回 :国際法の基礎(1)ウェストファリア体制と国家・領域・国際組織
第3回 :国際法の基礎(2)国際連合と集団安全保障体制
第4回 :国際法の基礎(3)戦争と国際紛争解決
第5回 :安全保障と情報の国際法(1)タリン・マニュアルを読む(反転授業)
第6回 :安全保障と情報の国際法(2)米軍のサイバー戦争法資料を読む(反転授業)
第7回 :自衛隊・警察(日本)と軍(米国)の法体制
第8回 :日本と各国のサイバー戦争対策
第9回 :中国の安全保障政策と情報技術(仮:ゲストスピーカー)
第10回:情報とテロリズム
第11回:日本と各国のサイバーテロ対策
第12回:国家秘密とインテリジェンス―制度
第13回:国家秘密とインテリジェンス―運用(仮:ゲストスピーカー)
第14回:日本の安全保障外交と情報(仮:ゲストスピーカー)
※国際情勢の変化や、ゲストスピーカーの都合により、順番や内容に若干の変更がもたらされる場合がある。
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
・授業期間中に、何回か英文の資料(国連憲章、安保理決議、タリン・マニュアル、米軍文書など)を事前配布し、予習を要求する場合がある。
<第8回以降・該当者のみ>発表のための準備・調査等
授業時間外の学修に必要な時間数/週
毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 60 | 下記の各項目に20%ずつ配点する。 ・授業で示した安全保障論の概念が明瞭に用いられていること。 ・「公正な引用慣行」に即した文献の引用が付されていること。 ・論評の立場が明確であること。 |
平常点 | 40 | 各回ごとの課題の達成度の合計が、全体の40%となるように配点する。項目は下記の通り。 ・対象の法制度や国際関係理論の意味がわかり、正確に説明できる。 ・関連文書を的確に読み解くことができる。 ・学習した理論ゃ制度に基づいた推論ができる。 ・ゲストスピーカーの回に行った質疑や、リアクションペーパーの内容によっては、加点する場合がある。 |
成績評価の方法・基準(備考)
・第7回目授業以降(ゲストスピーカーの回は除く)は、希望者がいれば事前に資料提供や到達点の示唆を行った上で、当該学生の発表を中心とした授業展開を行うことができる。希望者が多すぎる場合は調整させて頂くことがあり得る。
・当該発表を行った学生については、発表と質疑応答の成果につき、授業担当者(岩隈)が評価を学期末までに60点満点で採点して伝達する。その点数を見て、発表を行った学生は期末レポートを提出するかどうかを自由に決めることができる(つまり、期末レポートの提出を発表に代えることができる。)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
PBL(課題解決型学習)/反転授業(教室の中で行う授業学習と課題などの授業外学習を入れ替えた学習形式)/プレゼンテーション/その他
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
・第5・6回は、英文の国際法資料を事前に配布し、予習を前提とした講読を、学生発言(当てます。発言は日本語でよい)中心の反転授業形式で行う予定である。(効果的であれば、他の回でも適用する可能性がある。)
・第7回目授業以降(ゲストスピーカーの回は除く)は、希望者がいれば事前に資料提供や到達点の示唆を行った上で、当該学生の発表を中心とした授業展開を行うことができる。希望者が多すぎる場合は調整させて頂く。
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
<テキスト>
・国際法・
加藤,植木,真山ほか『ビジュアルテキスト国際法』〔第2版〕有斐閣(2020)
ISBN-13 : 978-4641046863
・サイバーテロ・サイバー犯罪・
中野目・四方『サイバー犯罪対策』成文堂(2021)
ISBN-13 : 978-4792353346
・国際政治学、国際関係論・
今井宏平『国際政治理論の射程と限界』中央大学出版部(2017)
ISBN-13 : 978-4805711545
(国際政治・国際関係論については、西村先生の「国際関係論」「情報と外交」「外交政策論」や、竹内先生の「情報と国際政治」を前後または併せて履修することで体系的な理解を得ることもできるでしょう。)
<参考文献>
[安全保障論]
宮岡勲『入門講義 安全保障論』慶應義塾大学出版会 (2020)
ISBN-13 : 978-4766426793
[サイバーテロ・サイバー戦争・国際情報セキュリティ]
Samuli Haataja(ed.)”Cyber Attacks and International Law on the Use of Force”Routledge(2020)
Brian M. Mazanec”The Evolution of Cyber War”Potomac Books(2015)
Michael N. Schmitt”Tallinn Manual 2.0 on the International Law Applicable to Cyber Operations”Cambridge University Press(2017)
Walter Gary Sharp”Cyberspace and the Use of Force”Aegis(2003)
土屋大洋『サイバーセキュリティと国際政治』千倉書房(2015)
伊東寛『サイバー戦争論』原書房(2016)
アレックス・ローランド(塚本勝也訳)『戦争と技術』 創元社(2020)
土屋大洋(監修)『仮想戦争の終わり サイバー戦争とセキュリティ』(2014)
道下徳成『「技術」が変える戦争と平和』芙蓉書房出版(2018)
喬良,王湘穂(劉琦訳)『超限戦 21世紀の「新しい戦争」』角川新書(2020)
ダン・バートン(星睦訳)『ブラックアイス――サイバーテロの見えない恐怖』インプレス(2003)
[防衛法(憲法・行政法)]
小針司『防衛法概観』信山社(2002)
木村草太『自衛隊と憲法』晶文社(2018)
長谷部恭男『戦争と法』文藝春秋(2020)
田村重信『新・防衛法制』内外出版(2018)
水島朝穂『現代軍事法制の研究』(1995)
[警察法・刑事法]
田村正博『全訂 警察行政法解説』〔第二版補訂版〕東京法令出版(2019)
河村,上冨,島田(編)『概説サイバー犯罪』青林書院(2018)
西貝吉晃『サイバーセキュリティと刑法』有斐閣(2020)
四方光『サイバー犯罪対策概論』立花書房(2014)