シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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国際情報演習Ⅰ | 2024 | 後期 | 木5 | 国際情報学部 | 岩隈 道洋 | イワクマ ミチヒロ | 2年次配当 | 2 |
科目ナンバー
GI-IF2-SM02
履修条件・関連科目等
法学概論・民事法・刑事法・情報と憲法・情報法・情報プライヴァシー権法
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
情報法制を理解するために不可欠な法学一般の基礎知識を身につけることを前半の作業とし、後半は公法(憲法・行政法・国際法)的な視点から問題を掘り下げることができるように、公法に関する理論や判例を中心とした専門的文献の輪読を行う。そして情報分野における法律問題に、得た知識を応用できるよう、時事的な情報問題を、法的な言葉を用いて分析する試みも行う。また、インターネットをめぐる問題やサイバーテロなど、国境を超えて問題となるが、このような法的ルールがまだ未成熟な問題を考える基礎体力をつけるため、時々倫理(法思想・法哲学・情報倫理)や、比較文化(比較法・外国法・法制史・宗教法)的なトピックを取り上げたり、他のゼミとの合同ゼミなども行ってみたい。
科目目的
法学の調査・研究・実践に必要な基礎知識を習得するため、法令・判例といった法学特有の一次資料の読解方法や調査方法をマスターすることを当面の目標とする。上記の目標が概ね達成でたら、憲法を中心とした実定法学の基本書や文献を精読し、法学文献読解のスキルを身につけることを目ざす。また、公務員・LS・法律系資格試験等の受験希望者は歓迎するが、予備校ではないので、受験勉強そのものについてはゼミのタスクをこなした上で、サブゼミ等の対応を考えることとなろう。
到達目標
1、法令の検索をアナログ資料(主に六法)およびデジタル資料(総務省法令データ提供システム、国会図書館日本法令索引、商用データベースなど)で的確に行えるようになる。
2、判例の検索をアナログ資料(民刑集、判時、判タなど)およびデジタル資料(裁判所WEB、商用データベースなど)で的確に行えるようにする。
3、法学文献(二次資料)の検索を書誌で的確に行えるようにする。
4、[1、2、3]を実践するために必要な実定法および法源論の知識を獲得する。
授業計画と内容
1、Ice braking(構成員の関心の相互確認)
2、法学基礎論(法源論)
3、法学基礎論(立法制度論)
4、法学基礎論(法令論)
5、法学基礎論(司法制度論)
6、法学基礎論(判例論)
7、法学基礎論の総合討論
8、公法基礎論(法律行為と事実行為)
9、公法基礎論(権力的な国家作用)
10、公法基礎論(人権法と法律(法令))
11、公法基礎論(憲法訴訟と判例)
12、公法基礎論(行政法)
13、公法基礎論(国際公法)
14、公法基礎論の総合討論
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
初回 : 自己の現在の関心分野を3分程度で発表できるようまとめておく。これまでの「情報の法律」系科目で身についた理解を表現できるよう想起しておく。
第2回以降 : 前回の内容で未消化な部分を質問できるよう準備する。課題がある場合は取り組んで成果を報告できるよう準備しておく。予定されている内容につき、指定の文献やwebサイトに目を通し、自分なりの理解をまとめておく。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 60 | 判例評釈を作成するが、下記の各項目に20%ずつ配点する。 ・授業で示したスキルが明瞭に用いられていること。 ・「公正な引用慣行」に即した文献の引用が付されていること。 ・論評の立場が明確であること。 |
平常点 | 40 | 各回ごとの課題の達成度の合計が、全体の40%となるように配点する。項目は下記の通り。 ・対象法情報の性質がわかり、正確に調査できる。 ・調査した法情報を的確に読み解くことができる。 ・法情報に基づいた推論ができる。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
PBL(課題解決型学習)/反転授業(教室の中で行う授業学習と課題などの授業外学習を入れ替えた学習形式)/ディスカッション、ディベート/グループワーク/プレゼンテーション/実習、フィールドワーク
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
PCを前提としたデータベースの検索実習のウェイトが高い。
タブレット端末やスマートフォンでの実習も不可能ではないが、PCの利用が望ましい。
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
LexisNexis JapanおよびWestlaw Japan において、法情報データベースの営業・講習業務や、搭載データ(判例・法令)に関する調査・キーワード抽出等の作業に従事した。また、法律事務所や大学(法学部・法科大学院)図書館への法情報データベース利用に関するニーズ調査なども行っていた。
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
法情報調査のツール中、有料データベースの活用に係る部分につき、当該データベースのインターフェイスやデータ構造のみならず、データの生成過程や、サービスに対する法律家顧客ニーズに関する知見も活かしつつ、単なるデータベース検索実習だけでなく、法情報サービスのマーケットや、初歩利用者のつまずきやすいところも意識しつつ授業を総合的に展開できる。
テキスト・参考文献等
ロー・ライブラリアン研究会『法情報の調べ方入門(補訂版)』日本図書館協会(2017)
『憲法判例百選 I』『憲法判例百選II』[第7版]有斐閣(2019)
芦部信喜『憲法(第7版)』岩波書店(2019)
その他のものは教場で指示する。
その他特記事項
国家と国民(憲法・行政法)、そして国家と国家(国際法)の間の関係を取り扱う公法分野を中心に、情報法制その他の法律問題を多角的に検討したい。情報の流通に関わる法制度としては、憲法の観点からは古典的な精神的自由権の問題が注目されてきたが、インターネットその他の情報通信デバイスの発達とともに、経済的自由や身体的自由の問題も、「情報法」化してきている。個人情報保護法制は行政法の仕組みを用いるが、これと憲法上の権利との関係をどのように整理し実装するかは現在最先端の問題であるといえる。またインターネット上を巡る情報は国境を超えるため、その問題解決のために国際法的な枠組み(地域共同体法も含む)や外国法文化の理解も不可欠な時代となっている。こういった公法分野の古典的~現代的諸問題を、関心のある皆さんと考えて行きたい。