シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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国際情報演習Ⅱ | 2024 | 前期 | 木4 | 国際情報学部 | 平野 晋 | ヒラノ ススム | 3年次配当 | 2 |
科目ナンバー
GI-IF3-SM03
履修条件・関連科目等
- 選択科目〈法と経済学〉(2年次以降設置科目)を履修していないゼミ員は、〈法と経済学〉を履修して下さい。∵法と経済学の考え方が、製造物責任やAI・ロボット法を理解する為には不可欠なので。
- 〈国際契約の起案学〉(3・4年次設置科目)も、出来るだけ履修下さい。メタバースの法の在り方について理解する上で、アメリカ契約法の基礎知識が必要になるので。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
AI・ロボット法等に関連する諸課題と解決策について研究できるように成る為に、AI・ロボット法等に関連する基本的な仕組みと技術の理解や、法律以外の社会規範や倫理等の理解も深めて、課題と解決策の案を多面的に捉える能力の養成も目指しつつも、法律学の知識と思考力の養成を基本に据えます。
演習では、課題となる資料を事前に読んで、その内容の要約を行い、これを演習の場にて発表して、皆で議論します。課題となる資料としては、日本及び米国の裁判例、並びに日本及び外国の有識者会議の公開資料等の政策関連文献や論文等を扱う予定です。
なお今期は特に、製造物責任法と不法行為法の理解を深めて、これにより、欧州に於いて提案されたAI規則案、及びAIを実装した場合の危険性に対する民事賠償責任の立法提案(EU指令案)や、派生型トロッコ問題等の研究に繋げていきます。
科目目的
iTLの学びの三つの柱である、主に情報法を理解する為に必要な、AI・ロボット等の情報基盤と情報実践に関わる基本的な仕組みを理解した上で、サイバー法を扱う際に不可欠な論文や裁判例のリサーチの仕方と読み方を修得して、かつグローバル教養に関わる先進的欧米地域の考え方と欧米の法的思考力の基本を理解することに向けて、製造物責任法の深い理解や、派生型トロッコ問題の理解や、欧州の民事賠償責任のEU指令案等々の基本的な理解や、サイバー法の理解等々が〈科目目的〉です。
到達目標
iTLの学びの三つの柱である、主に情報法を理解する為に必要な、AI・ロボットやメタバースの情報基盤と情報実践に関わる基本的な仕組みを理解した上で、情報法を扱う際に不可欠な論文や裁判例のリサーチの仕方と読み方を修得して、かつグローバル教養に関わる先進的欧米地域の考え方と欧米の法的思考力の基本を理解することに向けて、AI採用問題や製造物責任法の深い理解や、派生型トロッコ問題の理解や、欧米の姿勢等々の基本的な理解や、サイバー法の理解等々が〈到達目標〉です。
授業計画と内容
原則として、以下の順序で進行します。
第1回 AIを用いた採用活動の問題・その1
- 大湾秀雄「(資料1)人事データ活用への関心とガイドライン作成に向けての議論」3頁 in 総務省「AIネットワーク社会推進会議・AIガバナンス検討会(第2回)」平成30年12月10日, https://www.soumu.go.jp/main_content/000589116.pdf (last visited Feb. 13, 2024).
- エントリーシート(ES)をAIで振るい分けすることの問題は何か
- AIが落としたESをヒトが最終判断するだけではダメな理由は
- ヒトはAIを過剰に信頼するのか:〈自動化バイアス〉対〈アルゴリズム回避〉
- 欧米におけるAI採用活動規制: EU AI規則案22条 / NY市のAI面接規制条例
第2回 法学系合同ゼミ「英米法他・判例DBの概要」 岩隈先生・ Westlaw社
第3回 AIを用いた採用活動の問題・その2
- 採用活動にデータマイニングを用いる問題は何か
- ゲアリー・スミス「仮説なきデータマイニングが陥る『ファインマン・トラップ』という落とし穴」 WIRED, Apr. 9, 2019, https://wired.jp/2019/04/09/exaggerated-promise-of-data-mining/ (相関関係しか示さないビッグデータに何らかの意味を持たせようとする危険性を指摘),
- 相関関係と因果関係の違いは何か
最4回 AIを用いた採用活動の問題・その3
- FAT(Fairness, Accountability, and Transparency)とは何か
- 内閣府「人間中心のAI社会原則」/ 「OECD AI原則」
- 日本企業はFAT原則を遵守しているか
- 監査の必要性
第5回 ロボット兵器の問題・その1
- 完全自律型ロボット兵器とは何か
- ヒトの役割とAIの役割の適切な分担とは
- INTERNATIONAL COMMITTEE OF RED CROSS, ETHICS AND AUTONOMOUS WEAPON SYSTEMS: AN ETHICAL BASIS FOR HUMAN CONTROL?, 13, Apr. 3, 2018, https://www.icrc.org/en/document/ethics-and-autonomous-weapon-systems-ethical-basis-human-control
- Charles P. IV Trumbull, Autonomous Weapons: How Existing Law Can Regulate Future Weapons, 34 EMORY INT’L L. REV. 533 (2020).
第6回 ロボット兵器の問題・その2
- 「意味のあるヒトの判断」とは何か
- 核戦争を回避したソ連将校Stanislav Petrovの有名事例:〈アルゴリズム回避〉は正しいのか
第7回 自動運転の製造物責任・その1
-〈演習I〉の復習(製造物責任法・過失/欠陥推認則:_res ipsa loquitur_; malfunction doctrine)
第8回 自動運転の製造物責任・その2
-「_Robot Ipsa Loquitur_」論文を読む
- 過失/欠陥推認則で対応可能か
第9回 自動運転の派生型トロッコ問題
- ドイツの倫理報告書の問題は
- 9.11同時多発テロの際のチェイニー副大統領による旅客機撃墜命令をどう捉えるか
- 義務論は絶対か・地上の無辜な人々が心中を強要されて良いのか
- 乗員の保護を歩行者より優先させるメーカーの理由は
第10回 メタバースにおける法の在り方
- 平野「メタバースの法とガバナンス:先行研究サイバー法のデジャ・ブ」国際情報学研究第3号147頁(2023年3月).
第11回 法学系合同ゼミ:外部講師による講演
第12回 法学系合同ゼミ:報告会(二つの法学系ゼミからの報告)
第13回 法学系合同ゼミ:報告会(二つの法学系ゼミからの報告)
第14回 法学系合同ゼミ:報告会(二つの法学系ゼミからの報告)
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[関係する具体的な職歴:1984年8月~1989年6月+1991年9月~1993年8月に富士重工業㈱の法務担当者として海外の製造物責任訴訟事件や海外契約交渉事案等に対応。加えて1989年9月~1991年5月に同社人事部付海外法務研修員として、コーネル大学法科大学院にて米国第三次不法行為法リステイトメント製造物責任の共同起案者J.A.ヘンダーソン, Jr.教授に師事して米国製造物責任法を研究。これらの経験から得られた知見は、以下の資料も通じて、製造物責任法に関する授業の内容に深く関係します。平野晋「製造物責任法リステイトメント起草者との対話:日本の裁判例にみられる代替設計 "RAD" の欠陥基準」NBL 1014号(商事法務, 2013年12月)。平野晋「アメリカ不法行為法第三次リステイトメント製造物責任法における“機能的”設計欠陥基準:"無過失責任の死"と"欠陥責任の皮を被った過失責任"(上)(中)(下)」損保企画663, 664, 666号頁(損害保険企画, 1997年12月)。平野晋『アメリカ不法行為法――主要概念と学際法理』(中大出版部, 2006年10月)。]
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
manaba等を通じて提示される課題(裁判例や論文等)を事前に読んでその要約を作成しつつ自分の意見も記載して下さい。
ゼミの際にはそれを発表して、皆さんの質疑に応答しつつ、皆さんと意見を交換してもらいます。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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その他 | 100 | 後掲の〈成績評価の方法・基準〉を参照下さい。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題の発表70%、クラス・パーティシペイション(発言)30%
但、無断欠席は落第と評価します。すなわち、やむを得ない場合を除き原則として毎回出席することが単位取得の最低条件なので、毎回の出席ができない学生は当演習を履修しないで下さい
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
PBL(課題解決型学習)/ディスカッション、ディベート/グループワーク/プレゼンテーション
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
タブレット端末
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
1984年8月~1989年6月+1991年9月~1993年8月に富士重工業㈱の法務担当者として海外の製造物責任訴訟事件や海外契約交渉事案等に対応。加えて1989年9月~1991年5月に同社人事部付海外法務研修員として、コーネル大学法科大学院にて米国第三次不法行為法リステイトメント製造物責任の共同起案者J.A.ヘンダーソン, Jr.教授に師事して米国製造物責任法を研究。
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
前記の経験から得られた知見は、以下の資料も通じて、特に製造物責任法の内容に深く関係します。平野晋「製造物責任法リステイトメント起草者との対話:日本の裁判例にみられる代替設計 "RAD" の欠陥基準」NBL 1014号(商事法務, 2013年12月)。平野晋「アメリカ不法行為法第三次リステイトメント製造物責任法における“機能的”設計欠陥基準:"無過失責任の死"と"欠陥責任の皮を被った過失責任"(上)(中)(下)」損保企画663, 664, 666号頁(損害保険企画, 1997年12月)。平野晋『アメリカ不法行為法――主要概念と学際法理』(中大出版部, 2006年10月)。
テキスト・参考文献等
・平野晋『アメリカ不法行為法 ~主要概念と学際法理~』(中央大学出版部, 2006年).
・平野晋『ロボット法:AIとヒトの共生にむけて(_新_増補版)』(弘文堂, 2024年__月発刊予定).
参考文献
・指導教授がmanaba等を通じて毎回提示する文献。例えば、政府の有識者会議の資料や、裁判例や、国際機関の資料や、米国の裁判例や、米国の論文、等を使用する予定です。以下の例示資料を参照下さい。
・総務省「AIネットワーク社会推進会議」の資料
・内閣府「人間中心のAI社会原則検討会議」の資料
・OECD(経済協力開発機構)のAI原則に関わる資料
・不法行為法/製造物責任法に関する日本の裁判例
・不法行為法/製造物責任法(Torts / Products Liability)に関する米国の裁判例
・不法行為法/製造物責任法やロボット・AIに関する日本の論文
・不法行為法/製造物責任法やロボット・AIに関する英語の論文
その他特記事項
選択科目〈法と経済学〉を履修していないゼミ員は、〈法と経済学〉を履修して下さい。∵法と経済学の考え方が、製造物責任やAI・ロボット法を理解する為には不可欠なので。
参考URL
- 平野晋「ロボットの製造物責任」(2018年2月21日)
- 他