シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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ジャーナリズム論/特殊講義A2(ジャーナリズム論) | 2024 | 後期 | 金4 | 国際情報学部 | 松野 良一 | マツノ リョウイチ | 1年次配当 | 2 |
科目ナンバー
GI-ME1-SE15
履修条件・関連科目等
ドキュメンタリー論(2年次配当)と併せて履修することが望ましい。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
デジタル時代におけるジャーナリズムとは何でしょうか?
国内外で起きていることを伝えることは1つの重要な役割です。
しかし、「伝えること」なら、今やネットの方が早いですし、安くでできます。
スマホを持っていれば事件事故の現場に居合わせた一般ユーザーがツイートすることもできる時代です。
では、ジャーナリズムは不要な時代になったのでしょうか?
私は、そうは思いません。
ジャーナリズムは、紙や電波やネットというメディアではなく、精神活動です。
ジャーナリズムは、単純に伝えることではなく、必ず「取材」という活動を伴います。
「取材」によって、目に見えていない隠されている事実、埋もれている事実を掘り起こし、人々に伝えていくことができます。
では、面白おかしく掘り起こし、面白おかしく伝えることもジャーナリズムでしょうか?
私は、そう思いません。
それらは、スクープ意識や視聴率、利益主義に囚われてしまっており、「真のジャーナリズム」とは言えないと思います。スクープ意識や視聴率は、ある程度は、仕事の原動力として必要です。しかし、それらが過度になれば、結果的に、誤報・捏造などの虚偽報道、あるいは過剰な演出やヤラセ、重大な人権侵害につながってしまいます。
ジャーナリストとパパラッチは、区別すべきです。。
「真のジャーナリズム」には、哲学があります。それは、伝えることだけではなく、埋もれた事実を掘り起こして可視化させ「国民の知る権利」にこたえていくこと、貴重な証言を記録し後世に残していくこと、市民の行動を制限したり時には戦争に駆り出すほどの影響力を持つ権力組織を監視すること、差別されたり偏見の対象となっている弱者の代弁をすること、組織内で解決できない不祥事を「内部告発」として受け付け裏付け取材を行って報道すること、そして最終的には、平和で民主的な社会の構築に寄与するというものです。
本講義では、「ジャーナリズムとは何か」について、歴史的な事例を通して、その哲学に迫りたいと思います。
科目目的
メディア、マスコミ、ジャーナリズムの違いと定義をしっかり学び、インターネット時代におけるジャーナリズムの重要性について理解する。ジャーナリズムは「幹」と「枝」から構成されていること、民主主義に貢献する8つの重要な役割をもっていることを学ぶ。
到達目標
①ジャーナリズムの哲学を十分に理解する
②中央大学とジャーナリズムの歴史を理解する
③具体的な事例において、ジャーナリズムはどう機能したのかを理解する
④社会問題の可視化から解決までジャーナリズムはどう機能するのかを理解する
⑤誤報・捏造、過度な演出、やらせが生じる原因と克服する方法について理解する
⑥権力の監視、弱者の代弁という社会的役割をジャーナリズムはどう果たしてきたかを理解する
⑦大学におけるジャーナリズム活動の可能性を理解する
授業計画と内容
ジャーナリズムは樹木のように、基本編(幹)とテーマ編(枝)から構成されます。第1回から第7回まで「幹」部分を事例を通して学び、第8回から第14回まで「枝」部分を学びます。
<基本編>
第1回 ガイダンス(ジャーナリズムとは何か)
第2回 マスコミはマスゴミか?
第3回 現場で取材すること(3.11,大地震を学生はどう取材したか?)
第4回 Act Locally, Think Globally(「地域」が出発点)
第5回 視点を地域から国内、世界へ広げる方法論(シバ君、野良猫、ノネコ)
第6回 報道の現場から①(事件事故、ゲスト講演)
第7回 報道の現場から②(海外報道、ゲスト講演)
<テーマ編>
第8回 住民運動と国家ー砂川闘争から沖縄問題まで
第9回 事件事故と報道ー日航123便墜落事故から不起訴まで
第10回 生命倫理と報道-臓器売買事件を追う
第11回 音楽ジャーナリズム(ゲスト講師)
第12回 原爆と原発問題
第13回 戦争の記憶①ー中央大学と特攻
第14回 戦争の記憶②ー婚約者を残して
ゲスト講演のコマは、日程や順番、内容が変更になる可能性があります。
授業時間外の学修の内容
授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業後に、リアクションペーパーを期限内に提出すること。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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平常点 | 100 | 毎回、授業後にリアクションペーパー(課題)を提出してもらいます。14回分の評価を集計して最終評価とします。ただし、8割以上の出席(課題提出)は最低条件です。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
基本的に対面授業であるが、回によっては、事前にオンデマンド動画を視聴してもらい、授業でディスカッションを行う可能性がある。
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
朝日新聞記者(1982-1992)として、科学万博、巣鴨子供置き去り事件(記事が映画『誰も知らない』に)、中国残留孤児問題、フィリピン臓器売買事件、昭和天皇病状報道、日本航空123便墜落事故不起訴事件、リクルート事件、国際航業株価操作事件、巨額脱税事件(記事が映画『マルサの女』に)などを担当した。TBS報道局時代(1992-2003)には、「報道特集」「ニュースの森」などのディレクター・プロデューサーを担当し多くのドキュメンタリー番組を制作した。日本ジャーナリスト会議奨励賞、クリントン対筑紫哲也対談のWeb同時配信で日本インターネットアワード企画賞などを受賞。中央大学FLPジャーナリズムプログラム担当者会議委員長。FLP松野ゼミが制作したドキュメンタリー作品は、毎年、国内外のコンテストで入賞している。
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
新聞記者としての実務経験は主に以下の回に活かされている。特に、取材の実体験に基づいて解説を行う。
第1回、第2回、第8回、第9回、第10回。
TV局ディレクターとしての実務経験は以下の回に活かされている。実際のドキュメンタリー制作の現場体験をもとに解説する。
第3回、第4回、第5回、第12回、第13回、第14回。
さらに、松野ゼミ生が制作したドキュメンタリー作品を使用して、大学生にも可能なジャーナリズム活動についても解説を行う。
テキスト・参考文献等
なし
その他特記事項
毎回、リアクションペーパーを提出してもらう。