シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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政治学演習1(B) | 2024 | 前期 | 月4 | 法学研究科博士課程前期課程 | 山崎 望 | ヤマザキ ノゾム | 1年次配当 | 2 |
科目ナンバー
JG-PS5-703S
履修条件・関連科目等
この演習は、月曜3限の「政治学特講1(B)」(山崎担当)と一体的な運用を行います。
「政治史演習1(B)」(山崎担当)のみの受講は認めません。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
近年の民主主義論をめぐる議論として「抑制された資本主義/自由民主主義/国民国家」の組み合わせを擁護する議論が大きな流れとなっている。こうした議論の「収斂」傾向は、グローバル化や「資本主義の暴走」、ポピュリズムや大規模デモの噴出により、自由民主主義が危機に陥っている中では穏当な提案のようにも思える。しかしこうした規範的な民主主義構想には陥穽がないだろうか。本演習では、こうした民主主義論に異議を唱え、長期間にわたり独自の考察をしてきた柄谷行人の思想に着目し、代替的な社会の可能性を模索する。
科目目的
本演習では、政治学の専門におさまりきらない日本を代表する思想家のテキストを精読することを通じて、隣接諸分野(とりわけ文化人類学や経済学、社会学)との関係を視野に入れ、政治学というディシプリンを再検討することを、目的の一つとする。
また「政治学特講1(B)」(山崎担当)と併せて、民主主義論の幅の広さを認識することを通じて、規範的な民主主義論の射程について考察を深めることも目的の一つである。
到達目標
この演習は「政治学特講1(B)」(山崎担当)と一体で運用されます。両者を通じて、政治史/政治思想史による民主主義論の知見、さらに文化人類学や経済学、社会学における民主主義論の知見を参照して、現代政治理論の刷新に寄与する力をつけることが到達目標です。
授業計画と内容
第1回 イントロダクション
第2回 交換様式論
柄谷行人『世界共和国へ』序・第Ⅰ部
第3回 世界帝国
柄谷行人『世界共和国へ』第Ⅱ部
第4回 世界経済(1)国家と産業資本主義
柄谷行人『世界共和国へ』第Ⅲ部(1・2章)
第5回 世界経済(2)ネーションとアソシエーション
柄谷行人『世界共和国へ』第Ⅲ部(3・4章)
第6回 世界共和国
柄谷行人『世界共和国へ』第Ⅳ部
(参)ネグリ&ハート『帝国』
第7回 交換様式と力
柄谷行人『交換様式と<力>』序論
第8回 交換様式A(共同体)
柄谷行人『交換様式と<力>』第一部(予備的考察・第1章)
(参)岩野卓司『贈与論』
第9回 交換様式B(国家)とC(資本主義)
柄谷行人『交換様式と<力>』第一部(第2・3章)
第10回 交換様式D
柄谷行人『交換様式と<力>』第一部(第4章)
(参)大澤真幸ほか『戦後思想の到達点』
第11回 古典古代から絶対王政/宗教改革まで
柄谷行人『交換様式と<力>』第二部
第12回 資本主義の展開
柄谷行人『交換様式と<力>』第三部
第13回 社会主義の行方
柄谷行人『交換様式と<力>』第四部
(参)第11~13回 柄谷行人『世界史の構造』
第14回 総合討論:交換様式Dをめぐって
(参)D・グレイバー『民主主義の非西洋的起源について』
澤田直・岩野卓司編『はじまりのバタイユ』
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
報告者は、課題文献の要約(レジュメ)と私見を作成し、事前に配布してください。
配布方法などは初回に伝えます。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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平常点 | 100 | 議論への参加、報告回数における報告を評価します。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート/プレゼンテーション
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
レジュメの配布などにmanabaを使用予定です。
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
【テキスト】
・柄谷行人、『世界共和国へ』岩波新書、2006年
・柄谷行人、『力と交換様式』岩波書店、2022年
※テキストは開講前まで、購入もしくは図書館から借りるなどして準備しておいてください。
【参考文献】
・柄谷行人、『世界史の構造』岩波書店、2010年
・大澤真幸・柄谷行人・見田宗介、『戦後思想の到達点』NHK出版、2019年
・岩野卓司、『贈与論』青土社、2019年
・D・グレイバー、『民主主義の非西洋的起源について』以文社、2020年
・澤田直・岩野卓司編、『はじまりのバタイユ』、法政大学出版局、2023年