シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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日本法リーガルリサーチ | 2024 | 前期 | 木5 | 法学研究科博士課程前期課程 | 佐藤 信行 | サトウ ノブユキ | 1年次配当 | 2 |
科目ナンバー
JG-OL5-216L
履修条件・関連科目等
日本法の法源論、法情報調査手法(法情報データベースの操作法を含む)について体系的学修を受けたことのない方、とりわけ留学生や社会人院生を念頭に開講する授業です.
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
日本法を学修・研究するに際して必要となる日本法の法情報調査の基礎知識を習得すると共に、法情報データベースの利活用方法等の技能修得を行う科目です。
科目目的
この科目では、日本法の学修及び研究を行う大学院生として必要である、日本法に係る法情報調査能力を獲得することを目的とします。
到達目標
法情報データベース等の法情報調査ツールを利活用し、事実や法的課題に対して適用すべき法規範とそれらに係る行政公定解釈、判例及び学説等を体系的に顕出し、かつ、その結果を適切に評価して、自らの法解釈に繋げることができるようになることが、この科目の到達目標である。
授業計画と内容
第1・2回 法情報の考え方と調査の対象
法過程が、(a)事実に対して、(b)法を適用して、(c)法的紛争を解決するというものであることを理解し、特に、適用すべき法自体にかかる資料(一次資料;Primary Legal Materials)と付随情報(二次資料;Secondary Legal Materials)を調査発見する重要性について学修し、中央大学が提供する主要なデータベースの利用方法について概観する。
第3回 制定法の調査その1
制定法主義の下で、第一次的又は基礎的法源となる制定法について、その制定法の諸形式(憲法、法律、政令・省令・規則・訓令・通達、裁判所規則、条例・長の規則等)と形式効力の関係を理解した上で、制定法の読み方(編成方式、制定法に固有の用語法等)及び改正の形式と追跡方法を学修する。
第4・5回 制定法の調査その2・その3
制定法について、その媒体上の存在形式を学修する。具体的には、いわゆる「六法」、「官報」の2種の重要なPrimary Legal Materials、さらに、その他の紙ベース資料(法令全書等)の特徴を概観した上で、コンピュータ上の制定法データベースの使い方を学修する。なお、旧法令の調査方法及びその効力方法の判定についても学修する。
第6回 判決(判例)の調査その1
まず、裁判所の階層構造と機能(含む審級関係)について概観した上で、制定法主義の下における法源としての判決の意味を考える。また、判決の諸形式(判決・決定・命令)、判決の諸類型(民事(行政事件)・刑事、本案判決・仮処分)、判例集や「要約集」の存在形式といった基礎的事項について学修する。
第7回 判決(判例)の調査その2
判決の読み方について、(a)その定型構造面(主文、理由、仮執行宣言、訴訟費用等)、(b)内容面(Ratio decidendiの抽出等)、(c)他の判決との関係面(他の判決の引用や判例変更等)について学修する。
第8・9回 判決(判例)の調査その3・その4
具体的な判例集及び判例要約集を利用して、その使い方を学修するとともに、コンピュータ上の判例データベースの使い方を習得する。特に、合衆国におけるShepard'sやWest KeyCiteのような権威あるCitatorが存在していない状況下での、Citatorとしてのデータベースの活用について考える。
また、Primary Legal部分の総括として、判例調査実習等を行う。
第10回 二次資料の調査その1
それ自体が直接の法源性を有さない法資料であるSecondary Legal Materialsの存在形式と意義について学修し、具体的な「論文」の読み方を習得する。
第11回 二次資料の調査その2
量的に膨大であるSecondary Legal Materialsを使いこなすために必須のツールであるコンピュータ上の二次資料データベースの使い方について学修する。とりわけ、集合論理演算を行う際に必要な法情報学的前提について習得する。
第12・13回 その他の法情報の調査
前回までに学修した以外の法情報について、とりわけPrimary Legal Materialsを中心に学修する。具体的には、慣習法、部分社会法(コーポレート・ガバナンスコード)、「特殊な判決」(国財不服審判所審決等)の存在形式と意味について考え、その調査方法を知る。また、行政情報、国会情報及び統計資料等の法及び事実に関する資料の意味とそれらへのアクセス方法について学修する。
第14回 法情報調査の活用・まとめ
大学院での学修や実務にとって、法情報調査がどのような意味をもつのかについて、これまで得た知見等を総合して考え、実習する。
授業時間外の学修の内容
その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
自宅等授業時間以外の環境において、法情報データベースの操作自習を行うこと。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 70 | 期末に提示する法情報調査課題に対して、実際に法情報調査を行い、その結果をまとめたレポートを評価する。発見した法規範の適切性(悉皆性、体系性を含む)、当該規範を与えられた課題に適用することの適切性(判例の評価を含む)等を総合的に評価する。 |
平常点 | 30 | 授業中の発言等、授業への参加度・貢献度を平常点として評価する。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実習、フィールドワーク
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
法情報データベース等の法情報調査ツールの操作実習を行います。
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
担当教員である佐藤は、1980年代以降、法情報データベースの構築・運用に関する実務に関与している。具体的には、法情報データベース実装について、中央大学自身が構築するものに関与したほか、複数の法情報データベース・ベンダーの開発に協力すると共に、法情報データベースの運用・利用について、多くの実務教育プログラムを開発している。
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
法情報データベースの実習について、利用者サイドのみならず、設計者・開発者サイドの視点を加えて授業を行う。
テキスト・参考文献等
テキストは使用しません。第1回にこの授業で使用する資料(実習課題を含む)を配付します。
なお、参考文献として、指宿信ほか『リーガル・リサーチ[第5版]』(2016年、日本評論社)があります。