シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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特殊講義(犯罪者の更生と再犯防止) | 2024 | 前期 | 木2 | 法学研究科博士課程前期課程 | 今福 章二 | イマフク ショウジ | 1年次配当 | 2 |
科目ナンバー
JG-OL5-205L
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
「犯罪者の更生と再犯防止」は刑事政策の重要な論点です。特に、近年は、犯罪者処遇制度の基本法(刑法や更生保護法など)の改正や再犯防止推進体制(再犯防止総合対策や再犯防止推進法など)の整備が図られ、実務上の充実強化も急ピッチでなされています。しかし、いまだ進化の途中であり、今後に残された課題も多く存在します。そこで、本講義では、近年の新たな動き等を紹介しつつ、犯罪者処遇制度全般についての課題について論じます。また、処遇事例や施策の具体例を事前に提示しますので、そこから考え得る有効な方策等についての考察結果を発表してもらい、全体で討議したいと思います。
科目目的
犯罪や非行は社会を映す鏡であると同時に、犯罪や非行に対するアプローチ、取り分け再犯防止の在り方もその時代の社会の在り方や考えを反映しています。多角的な視点を持ちつつ、犯罪者・非行少年や犯罪被害者の姿を具体的に考えながらあるべき犯罪者処遇施策を考察することにより、受講生が実効性のある刑事政策についての理解を一層深めるとともに、刑事政策に対する発展的な知識を習得することを目的としています。
到達目標
この科目では、犯罪や非行、その主体や環境に対してどのような刑事政策アプローチをとるべきかという課題を、多角的に考察し、実践的な方策を提案できる能力を身につけることを到達目標とします。
授業計画と内容
第1回
・犯罪・非行の現況
・犯罪者処遇と法制度・再犯防止対策の概要
・今後の授業の進め方について
第2回
・施設内処遇と社会内処遇
第3回
・犯罪者処遇の基本アプローチ(1)RNR原則
第4回
・犯罪者処遇の基本アプローチ(2)デジスタンス
第5回
・薬物依存からの回復のための処遇(1)-薬物依存と回復のための処遇
第6回
・薬物依存からの回復のための処遇(2)-仮釈放と刑の一部執行猶予
第7回
・性犯罪者の再犯防止-認知行動療法と性犯罪防止のための様々なアプローチ
第8回
・触法精神障害者の処遇と医療観察
第9回
・多機関連携・協働による高齢・障害者の社会復帰支援
第10回
・多機関連携・協働による就労・住居支援
第11回
・息の長い支援(更生緊急保護と地域援助)と満期釈放者対策
第12回
・被害者の思いに応える更生保護
第13回
・市民参加に支えられた処遇制度の意義
第14回
・非行少年の立ち直り
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 50 | 内容における理解度・問題意識の明確さ・表現の適格性・新規性等の状況を基準とします。 |
平常点 | 50 | 課題への取組・内容・発表のわかりやすさ・理解度・討論への参加態度等の状況を基準とします。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート/プレゼンテーション
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
保護観察官や保護観察所長を経て法務省保護局長を務めるなど、主に更生保護分野の処遇・施策立案業務に36年間携わる。また、国連アジア極東犯罪防止研修所教官として国際協力業務に3年間携わる。
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
更生保護等の施策立案業務に携わった経験を踏まえ、ニーズや課題の掘り下げ、諸利益の考量、実効性や納得性等の検討を踏まえた持続可能性のある政策立案の難しさと醍醐味に触れながら授業を行う。また、国際協力関係業務に携わった経験を基に、比較法制的視点を踏まえた授業を行う。
テキスト・参考文献等
【テキスト】
相谷登・今福章二・椿百合子編著『刑事司法と福祉』ミネルヴァ書房 2023年 ISBN:978-4-623-09554-4
【参考文献】
今福章二・小長井賀輿編著 『保護観察とは何か-実務の視点から考える』 法律文化社 2016年 ISBN:978-4-589-03745-9
松本勝編著 『更生保護入門』 第6版 成文堂 2022年 ISBN:978-4-7923-5357-5
法務総合研究所 『犯罪白書』 令和5年版 2023年
法務省 『再犯防止推進白書』 令和5年版 2023年
朴元奎・太田達也編 『リーディングス刑事政策』 法律文化社 2016年 ISBN:978-4-589-03715-2
日本更生保護学会編 『更生保護学事典』 成文堂 2021年 ISBN:978-4-7923-5341-4 C3532
伊藤冨士江ほか 『司法福祉・実践と課題-少年司法、刑事司法、医療観察、被害者支援』 ぎょうせい 2021年 ISBN:978-4-324-11066-9
その他特記事項
授業内容の復習および報告にあたっての準備を十分にしていただきたい。
他学部院生からの受講も歓迎します。