シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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特殊講義(フランス公法講読) | 2024 | 後期 | 火2 | 法学研究科博士課程前期課程 | 村上 裕章 | ムラカミ ヒロアキ | 1年次配当 | 2 |
科目ナンバー
JG-OL5-205L
履修条件・関連科目等
博士前期課程で公法専攻に在学中の大学院生であり、今後フランス公法を学習しようという意欲のあることを、履修条件とする。
また学部在学中に行政法総論や行政救済法などの行政法関係の科目を履修していることが、望ましい。こうした科目を未履修の場合は、行政法関係科目を、今後並行して自学自習することを求める。
授業で使用する言語
日本語/フランス語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
フランス語でフランス公法の専門的な文献を読みこなし、日本語への翻訳を適切且つ迅速に行うことができるようにする。それと同時に、日本の法学者がフランス法の基礎に流れる法的考え方について日本語で執筆した文献を講読し、フランス法全般への広い視野からの高度な理解を獲得するための授業を行う。
科目目的
わが国の公法学(憲法や行政法など)は、主にドイツ公法学を通してヨーロッパ大陸法の伝統を受け継いでおり、またヨーロッパ大陸公法の諸原則は、フランス公法の諸原則、なかでもフランス行政法の諸原則からスタートしている。したがって、フランス行政法の歴史と基本原理を学ぶことを通して、わが国の公法学の基盤となる考え方を身に着けることが、本科目の目的である。
到達目標
フランス公法に関する長文のフランス語文献の講読を通して、頻繁に仏和辞典に頼ることなく読み進めることにより文意を大雑把に把握することができるようなレベルにまで、フランス語の読解力を向上させることを、この科目の第1の到達目標とし、また、フランス語の長文を前後の文脈を踏まえて正確かつ適切に翻訳することができる力を身に付けることを、第2の到達目標とする。
また同時に、フランス法全般にわたる法的なものの考え方を理解し、日本法と比較しながらその特質を把握することができるようになることを、この科目の第3の目標とする。
授業計画と内容
以下の順番に従った文献講読を通して、フランス法とフランス行政法に関する授業を進行する。
第1回 フランス公法に関する概説
第2回 「余暇と法」及び「近隣と法」:大村敦志『フランスの社交と法』第1章と第2章を読む
第3回 「結社と法」及び「『新しい人』はめざめるか?」
:大村敦志『フランスの社交と法』第3章と結章を読む
第4回 フランス行政法における適法性原理:J. Walineの行政法教科書を読む(その1)
第5回 法源としての憲法及び組織法律:J. Walineの行政法教科書を読む(その2)
第6回 法源としての国際条約:J. Walineの行政法教科書を読む(その3)
第7回 法源としての欧州共同体規範:J. Walineの行政法教科書を読む(その4)
第8回 法源としての欧州人権条約:J. Walineの行政法教科書を読む(その5)
第9回 法源としての法律と行政命令の関係:J. Walineの行政法教科書を読む(その6)
第10回 法源としての判例規範と法の一般原則:J. Walineの行政法教科書を読む(その7)
第11回 国際条約及び欧州法の憲法適合性審査:J. Walineの行政法教科書を読む(その8)
第12回 法律の憲法適合性審査:J. Walineの行政法教科書を読む(その9)
第13回 法律の国際条約適合性審査:J. Walineの行政法教科書を読む(その10)
第14回 授業のまとめと小テスト
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
第1回目の授業で、日本人法学者が執筆したフランス法の考え方に関する文献及びフランス行政法に関するフランス語の文献について、それぞれ報告分担者を決定する。
第2回目と第3回目は、日本人法学者が執筆したフランス法の考え方に関する文献の中で各自分担した章について報告するため、事前の準備を十分に行い、報告レジュメを作成・配布して報告を行うことを求める。
第4回目以降は、フランス語文献の翻訳について各自報告分担した箇所について、事前に単語の意味や文法などを丁寧に調べて、報告当日の翻訳を行うことを求める。またフランス語の発音も重要なので、事前準備に当たっては、フランス語の文章を何度も音読するするように求める。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 20 | 自分の研究テーマとの関係で、フランス公法のどのようなテーマに興味を持ったか、またどのような特徴があると思ったか等が、明快且つ的確に論じられているか否かを基準に、評価する。 |
平常点 | 80 | 各自が担当する報告テーマに関する報告内容及び報告後の質疑応答並びにフランス語読解力の向上の程度に基づいて評価を行う。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
日本人法学者がフランス法の考え方について執筆した文献として、以下の文献を用いるので、この本については、受講者各自において、授業開始前に購入しておくことを求める。
:大村敦志『フランスの社交と法』有斐閣、2002年、ISBN 4-641-04793-6 又は 978-4-641-04793-8
また、フランス行政法に関するフランス語の文献として以下の文献を講読するが、この文献については、必要な部分をコピーして配布するので、各自購入する必要はない。
:Jean Waline, Droit administratif, 26e edition, Dalloz, 2016. ISBN 978-2-247-16193-5