シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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国際公法特講1(B) | 2024 | 前期 | 火2 | 法学研究科博士課程前期課程 | 西海 真樹 | ニシウミ マキ | 1年次配当 | 2 |
科目ナンバー
JG-IL5-301L
履修条件・関連科目等
本特講は、国際公法演習1と連動しているので、国際公法演習1も合わせて履修すること。
授業で使用する言語
日本語/英語/フランス語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
次の書物を講読する。Emmanuelle Tourme-Jouannet, Le droit international public, Que sais-je? no. 3966, pfu, 2013. 著者のエマニュエル・トゥルム・ジュアネは、パリ政治学院(IEP)教授。国際法理論および国際法史研究において優れた業績をあげている、フランスの気鋭の研究者である。ジュアネは、最近刊行された書物のなかで、脱植民地後・冷戦後の国際社会に「経済的・社会的格差」と「法的平等と文化的相違との間の緊張」という2つの問題が生じていると言い、前者については「(新たな)開発の国際法」が、後者については「承認の国際法」が、それぞれ形成されつつあるとの認識を示し、それぞれの法内容の意義、限界を考察している。
本書もその1つであるクセジュ文庫とは、市民のために人文・社会・自然科学分野の重要な成果・課題をわかりやすく論じるフランスのコレクションである。本書は、国際法の単なる技術的・専門的解説書ではなく、ジュアネが抱く上記の認識枠組のもとに、国際法の歴史と現状を批判的に捉えている。本書を講読することは、これから国際法の分野で修士論文、博士論文を執筆しようとする人のみならず、国際法の歴史、機能、限界を学びたいと考えている他専攻の人にとっても、有益であることは疑いない。
フランス語未修の人でも、読み進んでいるうちに、次第に慣れてくるからあまり心配することはない。ただし文法はしっかり自習すること。法や政治を広い視野から勉強するためには、英語能力は当然として、さらに外国語をもう1つ修得することが望ましい。それは、多様な文化的背景をもつ諸国や人々の世界観、社会観、法律観を理解するために不可欠である。この機会にフランス語を学び、それを自身の研究に生かそうという意欲ある諸君の参加を歓迎する。
なお、本書の英語版がケンブリッジ大学出版部から刊行されている。→Emmanuelle Tourme-Jouannet, A Short Introduction to International Law, Cambridge UP, 2014. 英語版は、本書を読み進めていくなかで適宜参照する。受講者は原書と英訳書をそれぞれ入手しておくこと。
科目目的
国際法の歴史、機能、課題を学ぶ。
到達目標
国際法の歴史、機能、課題を学び、それを授業参加者それぞれの今後の研究に活かす。
授業計画と内容
本書の序論(3頁~5頁)および第Ⅰ章「歴史的・文化的産物としての国際法」(7頁~24頁)を講読する。おおよそ以下のように読み進む予定。ただし、受講者の能力に応じて変更することがある。
第01回 ガイダンス
第02回 序論 : 国際法とは何か?
第03回 第1節:多元的・自由主義的法1:国家主権
第04回 第1節:多元的・自由主義的法2:国家意思
第05回 第1節:多元的・自由主義的法3:中立原則
第06回 第1節:多元的・自由主義的法4:リベラルな法
第07回 第2節:紛争解決手段としての武力行使の合法性1:正戦論
第08回 第2節:紛争解決手段としての武力行使の合法性2:無差別戦争観
第09回 第2節:紛争解決手段としての武力行使の合法性3:Jus ad belumとJus in bello
第10回 第2節:紛争解決手段としての武力行使の合法性4:集団安全保障と戦争の違法化
第11回 第3節:文明国の法1:文明国と非文明国
第12回 第3節:文明国の法2:植民地化・国家の差異化
第13回 第3節:文明国の法3:不平等条約とその克服
第14回 第3節:文明国の法4:脱植民地化と主権平等の普遍化
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
1.各担当者は、次の項目から成るレジュメを事前に配付する。①担当箇所の和訳。②担当箇所のなかで疑問・興味を抱いた箇所について独自に調べた結果。他の受講者は事前配付されたレジュメに目を通し、必ず必要な予習を行った上で授業に臨むこと。
2.次の心構えで勉強を進めること。
*社会現象は多面的であり、そこには法、政治、経済、社会、歴史、文化といったさまざまな側面がある。法的側面をしっかり把握することは、多面的社会現象を深く理解し、問題の解決を見いだすための必要条件である(十分条件ではないことに注意)。
*実学としての法学:現代社会の政治、経済、文化の大量現象を処理し、多様化した人間の欲求を整序していくために法技術は不可欠。そうした技術としての法学を学修することは、他の法分野と同様、国際法においても重要である。
*虚学としての法学:国際法学にかぎらず、法学は法技術の修得に尽きるものではない。自らの立場を相対化し、事象を多面かつ根本的に認識する態度・方法を修得することも、大学における法学教育の大切な役割である。そこにおいては、法の論理と機能の解明を通じて、自分の依拠する前提・常識を疑い、自己を相対化する視点を獲得することが求められる。
*国際法がかかわる問題には身近な問題も少なくない。これらの問題について、自己の偏見を自覚しつつ、他国・他者の主張の是非を冷静に判断するためには、国際法の理解とそれを通じての「自己の対象化」という知的訓練がぜひとも必要。授業を通じて、また、授業以外の場で、そのような態度を身につけてほしい。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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平常点 | 100 | 授業中、適宜、訳出を分担する。(40%) 前期末に講読した箇所の全訳を提出する。(60%) |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキストは次のとおり。
Emmanuelle Tourme-Jouannet, Le droit international public, Que sais-je? no. 3966, pfu, 2013.
参考文献は次のとおり。
Emmanuelle Tourme-Jouannet, A Short Introduction to International Law, Cambridge UP, 2014.
Emmanuelle Tourme-Jouannet, Qu’est-ce qu’une société internationale juste? Le droit international entre développement et reconnaissance, Pedone, 2011.
Emmanuelle Tourme-Jouannet, What is a Fair International Society? International Law Between Development and Recognition, Hart Publishing, 2013.