シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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民法特講2(G) | 2024 | 後期 | 火5 | 法学研究科博士課程前期課程 | 笠井 修 | カサイ オサム | 1年次配当 | 2 |
科目ナンバー
JG-CI5-402L
履修条件・関連科目等
本科目は、債権法に関連したテーマを研究しようとする受講生に対し、要件事実の構造に関する理解とともに、研究論文のテーマの設定のしかた、リサーチの進め方、執筆の手順などについて実際的な示唆を提供するものです。
民法全般に関する、法学部卒業程度の一般的知識を習得していることが前提となります。あわせて、民法財産法関係の関連分野を履修することが望まれます。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
下記に指示したテキストにつき、1回の授業あたり1テーマを取り上げ、授業では、受講生の報告を基に、問題の背景と要件事実論の現状を教師が説明します。そのうえでクラス全体で、主張立証責任の分配における要件事実論の役割を議論し、望ましい契約紛争の解決のあり方を検討します。
その中で、修士論文を書く場合の方法論について、具体的な進め方と研究技術を提案します。
科目目的
債権法に関する深い理解を獲得するとともに、わが国における要件事実論の成り立ちと役割を正確に把握し、主張立証責任の分配のあり方についてその必然性を読み取ることが目標です。債権法上の個別の問題点につき、どのような要件事実論が展開されているかを理解し、またどのような論点が残されているかを見通して議論するための基礎知識を獲得します。
あわせて、研究論文を執筆するうえでの様々な手法を身につけることを目指します。
到達目標
債権法の規律の趣旨とそこから導かれる要件事実論の構造を理解するとともに、債権法のテーマについて研究論文を執筆するうえでの研究手法を修得することが目標です。修士論文の執筆にとって必要十分な知識と技術を獲得します。
授業計画と内容
以下のような順番で、各テーマを取り上げます。
第1回 要件事実論の基本構造
第2回 法律行為
法律行為の規定が抱えている問題と解決の方向を要件事実の観点から検討する。
第3回 消滅時効
消滅時効制度の統一化について要件事実を分析する。
第4回 債務不履行
新しい不履行法の理念が要件事実にどのように反映されるかを理解する。
第5回 解除・危険負担
契約解除制度の変革と新しい要件・効果を検討する。
第6回 債権者代位権・詐害行為取消権
債権者代位権・詐害行為取消権の新しい任務と要件事実の上での課題を考察する。
第7回 連帯債務・保証債務
民法改正の影響を理論・実務の情報をもとに分析する。
第8回 債権譲渡
譲渡性・対抗要件を中心に要件事実論上の問題点を検討する。
第9回 弁済・相殺
民法改正の影響を理論・実務の情報をもとに分析する。
第10回 契約の成立・定型約款
約款規制の新しい仕組みを要件事実の観点から検討する。
第11回 売買
契約不適合責任の規律を中心に要件事実を分析する。
第12回 賃貸借
不動産賃貸借の規律を中心に要件事実を検討する。
第13回 請負
役務提供型契約としての特質の明確化と、割合的報酬の規律について検討する。
第14回 委任
役務提供型契約としての特質の明確化と、新しい取引形態への対応について議論する。
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
毎回、テキストの指定された箇所と配布された資料を読み、対応する日本法の問題点を検討することが求められます。
予習等について質問がある場合には、予約のうえオフィスアワーを利用することができます。連絡用のメールアドレスは、第1回の授業の際に連絡します。
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 50 | 授業において口頭のレポートを担当したテーマにつき、その内容を十分に理解し、適切な手法で分析して結論に到達したかによって評価する。 |
平常点 | 50 | 各回のテーマにつき、積極的に議論に参加し自己の見解を展開したかによって評価する。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
・テキスト
伊藤滋夫編著『新民法(債権関係)の要件事実Ⅰ、Ⅱ』(青林書院、2017年)
・参考文献
必要に応じて印刷配布します。
その他特記事項
常に積極的に自分の頭で考え、自分の結論を導く練習を心がけることが、よい研究を進めるうえで重要なことです。